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11月23日 沢田研二 『まだまだ一生懸命 PARTⅡ』ツアーファイナルライブ評

11月23日、勤労感謝の日。沢田研二さんの『まだまだ一生懸命 PARTⅡ』ツアーファイナルに参加した。
最速でコンサートレビューで絶賛の嵐であったが、私もコンサートが終わった後に感じたのは昭和歌謡の底力である。
 「沢田研二 75歳」がネットでトレンド入りしたと仄聞した。私が思ったのは、私が幼い時、青春時代を過ごしていた時に活躍していた歌手が多く鬼籍に入ったことである。沢田と同級生の谷村新司。大橋純子、そしてKAN。そしてコンサート終了後暫くしてから沢田研二賛歌と言える貴重な詩を上梓した伊集院静という、沢田と大勢の方が旅立たれた。
その中でオリジナルメンバーが全員現在であるザ・タイガースの存在はグループ・サウンズのレガシーを後世に伝える立場ということで光り輝いている。今回のファイナルでも加橋かつみを除くメンバー3人が今回も沢田を見守っている。
私個人の推測になるが、6月25日に行われた、さいたまスーパーアリーナでのバースデーライブに参加出来なかった地方のファンの為に、そのセットリストを踏襲したライブを披露しようという沢田研二の優しさの発露から企画されたのだと思う。さいたまスーパーアリーナでは第一部はザ・タイガースの曲、第二部、アンコールでは自身の曲とストーンズ等のカバー曲であった。今回のセットリストを分析すると2部のアンコール前のセトリを、そのままにアンコールではザ・タイガースとストーンズのカバー曲で構成された新旧のファンを喜ばせる内容となった。
 最初の曲はライブでは必ず盛り上がる鉄板の「そのキスが欲しい」である。観客は二階席まで総立ち。国際フォーラムが揺れる感覚を味わった。まるで、ジュリー祭りの再現の様だ。そして「おまえにチェックイン」、「サムライ」、「ダーリング」、「勝手にしやがれ」、「時の過ぎゆくままに」、「危険なふたり」とまるでベスト盤の如き、ヒット曲の嵐である。「TOKIO」のオリジナルバージョンでは観客に向かって星を飛ばし続ける。そして、還暦ライブから沢田のロックアンセムとなった「ROCK'N ROLL MARCH 」も冴え渡っている。バックを勤める日本を代表するプログレバンドBARAKAの演奏は秀逸で演奏に厚みを加えている。依知川伸一氏の技巧的なベースや華がある高見さん。重厚なドラムサウンドの平石さん。そして、いつも沢田さんの隣にいる柴山和彦さん。コーラスのすわ親治と山崎イサオの低音ヴォイスも愛おしい。「愛まで待てない 」は、ジュリー祭りでも披露された曲であり、最初の「そのキスが欲しい」を考えると、それまでの曲目を眺めてみればミニジュリー祭りではないか。
そして「いつか君は 」。沢田が主演映画『土を喰らう十二ヶ月』の主題歌である。新しいジュリーのテーマソングとなった感がある覚和歌子が書き上げた名曲である。静かに本編が終わる。
 そしてアンコールでは「河内音頭」である。観客が手拍子するが、ジュリーがそれを制して歌い始める。あの音楽劇『悪名』を思い出す。そして、ザ・タイガースの曲が2曲続く。一曲目は加橋かつみが歌った『花の首飾り』である。もう一度一緒にやろうという、沢田や他のメンバー3人から、かつみへのメッセージに聴こえたのは私だけではあるまい。そして「君だけに愛を」である。ジュリーが会場を指さすと、観客も大いに盛り上がる。やはりグループ・サウンズを象徴する一曲であると会場の盛り上がりを観て私は思ったのである。そしてライブ最後の曲はローリング・ストーンズの「(I Can't GetNo)Satisfaction」。今年、ローリング・ストーンズの新譜が発売され、来年にはツアーが予定されている。ミック・ジャガーも80歳を迎えて現役で活躍している。そしてビートルズも新曲「NOW AND THEN」をリリースして、ビルボードチャートで59年ぶりにトップ10入りしている。そして日本には沢田研二がおり、ザ・タイガースのオリジナルメンバーが現役で音楽、俳優で活躍している。報道でも書かれていたが沢田研二の強靭な「喉」がある。沢田は80歳を超えても「喉」を武器にツアーを続けるであろう。それを確信した11月23日であった。

 
 

01.そのキスが欲しい
02.おまえにチェックイン
03.サムライ
04.ダーリング
05.勝手にしやがれ
06.時の過ぎゆくままに
07.危険なふたり
08.6番目のユ・ウ・ウ・ツ
09.TOKIO (オリジナルVer.)
10.LUCKY/一生懸命
11.ROCK'N ROLL MARCH
12.時計/夏がいく
13.君をいま抱かせてくれ
14.愛まで待てない
15.いつか君は
-----Encore----
16.河内音頭(アカペラ)
17.花の首飾り
18.君だけに愛を
19.タイム・イズ・オン・マイ・サイド (Time Is on My Side) ※original:ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)
20.(I Can't GetNo)Satisfaction ※original:ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)



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