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『踊る大ハリウッド』元来渉著 幻冬社刊 書評

『踊る大ハリウッド』元来渉著 幻冬社刊 書評

 RKO、MGM(メトロ・ゴールデン・メイヤー)が映画全盛期に幅を利かせていた1930年、40、50年代。そしてMGMはAmazonに買収されたが、未だに映画会社の老舗として残っている。
 元来渉氏の『踊る大ハリウッド』は近年稀にみる名著である。何故ならば、30、40年代に活躍したフレッド・アステアやジーン・ケリーの活躍、経歴を仔細に記録した日本語の本はなかなか無いからである。
 それに、ジーン・ケリー、フレッド・アステアのフィルモグラフィーの充実、アメリカ等の引用文献を使い、重要な資料となっている。
 この本の肝はジーン・ケリーの芸歴。幼少期からのダンスレッスン。大学卒業後の演出、映画出演への道筋が詳細に描写されている。『踊る大紐育』、『巴里のアメリカ人』に至るジーンのダンスに対する苦悩を描いている。『雨に唄えば』で、30年代にはなかったストーリーとダンスとの融合が結実した様子を書いている。
 そして、元来氏は医師なので、ジーンとフレッドのダンスから肉体を分析し、医師らしい見解を述べているのが極めて興味深い。アステアの人間性にもきちんと触れているのも興味深い。
 ジーン、フレッドのDVD、ブルーレイは簡単に入手出来るが、2人を分析する書籍はなかなかない。著者は海外から研究書を取り寄せ研究し、一冊の本にした功績は大きい。是非ミュージカル映画ファンは本作を手に取って頂きたい。名作である。

踊る大ハリウッド ケリー、アステアから考えるミュージカル映画の深化 https://www.amazon.co.jp/dp/4344931548/ref=cm_sw_r_cp_api_glt_i_8M8TS04PV4346KKFZWT8



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