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ソード・ワールド2.5シナリオ「幸せの黒い粉」

はじめに

本記事は「ソードワールド2.5」を遊ぶためのシナリオです。
本記事は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作です。(C)GroupSNE(C)KADOKAWA

凡例

太字:読み上げ文章(読み上げることが望ましい)

トレーラー

冒険者の国グランゼール。この国では最近、麻薬が大きな問題になってきている。衛兵隊の手により、その場その場の使用は摘発されるが何故か薬の売人は検挙を逃れ、その魔の手を市民に伸ばしている。
冒険者よ、麻薬の販売経路をたぐり、衛兵に代わってそれを撲滅するのだ。

■想定時間
オンラインのボイスセッションの場合、キャラ作成時間と合わせて、3~4時間を想定しています。

■シナリオ難易度
本シナリオはシティシナリオです。しかし情報項目2つ・プレイ時間3時間と、とても簡単になっています。シティシナリオが苦手という方でも気楽に遊べるでしょう。

■戦闘
戦闘は全て、通常戦闘で行います。
味方後衛、乱戦エリア、敵後衛を設置して下さい。

■判定
行為判定を指示する場合、~判定(X)と表記しています。これはその判定の難易度がXであることを示しています。

シナリオの背景

闇ギルド〈フォールン・スター〉は酒場〈幸福亭〉を経営しつつ、麻薬を売りさばいています。ドワーフのマスター、トーマスの目的は単純明快。
金を稼ぎ、自由にやることです。
彼はその豊富なコネや人脈から王国内の動きを殆ど把握しています。
もちろん、今回の冒険者ギルド&王国連盟の依頼も把握していますが、冒険者に調査が一任されていることもあり、詳細は理解していません。
しかし、いつも以上にその警戒を張り巡らせ、もし冒険者が酒場に突入してきた場合は、隠れ道から逃げようと画策しています。

冒険者たちは犯罪の痕跡を追いながら、トーマスを捕らえることが目的となります。

用語集

ギルド〈灯火の守り手〉

冒険の国、グランゼールの入門街区に居を構える冒険者ギルドです。
典型的な正道のギルドであり、駆け出しを積極的に教育しています。
また街の再開発や治安維持にも当たっており、町民からの信頼も高いです。

ギルドマスター〈レシェク〉

人間/男/39歳
〈灯火の守り手〉のギルドマスターです。
初老を迎える今も現役の冒険者であり、神官戦士を担っています。
思慮深く、穏便ながらも人々を守るためには固い決意を感じさせることがあります。6年前、現国王と組んで街の治安維持に〈灯火の守り手〉を噛ませました。

〈幸福亭〉

闇ギルド〈フォールン・スター〉の隠れ蓑となっている酒場。
〈幸福を一杯〉という合い言葉を述べることで、内部に入ることができる。
酒場といいながらも物品の密輸入、奴隷の売買、蛮族の手引き、暗殺など幅広く仕事を行っており、仕事の仲介所としての役割もある。
なお、普通の冒険者ギルドと異なり、サービスの費用は極めて高く、誰もここには居座ろうとしない。仕事の連絡のためだけに出入りするのが山だ。

ギルドマスター〈トーマス〉

ドワーフ/52/男
邪悪なる男、トーマス。金のためであれば何でもする。
戦闘は得意では無く、商人としての気質が強い。創立した闇ギルドも金稼ぎの場所であり、職業訓練や相互補助などの意味合いは殆ど無い。
なお、厳密にはドワーフではなくダークドワーフであるが些細な問題のため、GMが採用するかどうかは各自にお任せする。

〈フェアリー・ヌーン〉

見識判定:15
毒性値:18(服用した際の生命抵抗力)
ドロップ形状1つ:500G
粉末薬1つ:2000G
注射液1つ:5000G

けしの乳液にゾンビの眼球と血色の花びらを調合し、1週間以上寝かせることで粉末状になる薬剤。吸い込んだものは夢見ごごちになり、半睡眠状態と半覚醒状態を行き来する。また精神の感覚が麻痺し、痛みや絶望をシャットアウトできる。ただし、服用が続くと精神の小さな起伏にも耐えられなくなり、この薬がない状態では命を絶ってしまうという。

レギュレーション

■プレイ人数:2~4人
■ソード・ワールド2.5基本Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
☆スタートガイド「冒険の国グランゼール」があると便利かもしれません
■キャラクター作成
追加経験点:+27000点(累計30000点)
成長回数:17回
所持金:36000G
名誉点:350点
レベルキャップ8

導入

冒険者ギルドでいつものように過ごしていた冒険者たち。
そんな折り、ギルドマスターのレシェクから声がかかる。
「おいお前たち、ちょっといいか?大事な話がある」
個室に呼ばれた君たちを前に、マスターはゆっくりと話を始めた。

・ギルドマスター・レシェクから直接、仕事の話をされます。
あまり人に聞かれたくないのは、情報が漏れる可能性があるためです。
今まで情報を元に売人を捕まえようとしたものの、そのどれもが失敗に終わっています。これは内部漏洩が原因ではないかと考えているようです。
・今回の依頼は、麻薬の摘発。成功報酬は1人あたり5000G。
冒険者ギルド&グランゼール王国の連盟による依頼です。
・流通している麻薬の名前は〈フェアリー・ヌーン〉中毒性の高いものです。ドロップ形状のものはここに確保しています。〈フェアリー・ヌーン〉の情報は見識判定(15)で得ることができます。
・主に流通しているのは入門街区南部や下町になります。まずはそこから調査して下さい。

以上がギルドマスターから話される情報です。次の場面に移行しましょう。
なお、入門街区南部か下町かはPCが選ぶことが出来ます。

入門街区南部

入門街区の南部、暗い路地裏がちらつき、閉店した店が多く建ち並ぶその土地にはゾンビのような土気色をした顔をした住民が多く座り込んでいる。
その体には襤褸切れを纏っており、ブツブツと何か独り言を言うものもいた。

入門街区南部では、薬を接種しすぎたせいで廃人同様となっているホームレスの区画が発見できます。元々は名のある冒険者や商人であったが、麻薬で身を持ち崩したものも多いです。
聞き込み判定(15)もしくは500Gの金を使うことで、情報を入手できます。
・薬は三ッ角の売人から買える。
・鐘が三ッなる刻に〈妖精と夢を見たい〉ということで取引をしてくれる
・ビタ一文負けてくれないが、売人にもノルマがあるかららしい

その後、深夜、三ッ角に向かうのであれば簡単に売人を発見できます。
ただし、ビクビクととても怯えて折り、何か攻撃や追いかけようとすれば直ぐさま逃げてしまいます。何か話ながら情報を抜き出すのであれば、聞き込み判定(18)が必要でしょう。この時、商品を買わなければ相手にされません。喋る情報は以下の通りです。

・商品は特定の場所で補充される
・自分も元締の精確な顔は知らない
・一ヶ月で1万Gは儲かる。これに乗らない手はない

相手が冒険者だと解る、もしくは捕まえようとした場合、即座に逃げます。
逃げる際は煙幕を使い、これを追うためには、足跡追跡判定(18)が要求されます。捕まれば、好きな情報を話してくれます。
・薬は〈幸福亭〉で卸して貰う。持ち逃げをしたやつは必ず殺される。
・販売した場合、3割が手元に残る。天引きが酷いが、それでも儲かる
・薬の詳細の効果は知らない。ただ売れと言われているだけだ。

なお、売人は人間の男、32歳です。〈幸福亭〉の詳細な場所は話してくれます。三ッ角に極めて近い場所です。これ以上に情報は無く、特筆すべきモブでもありません。〈幸福亭〉という情報が手に入りますが、これに加えて合い言葉がなければ門前払いされます。
合い言葉は下町のイベントで手に入ります。まだ入手してない場合、下町にに誘導しましょう。

下町

ガタガタの石畳、ボロボロの家、薄く多方面に伸ばされた路地。下町は猥雑でとても綺麗とは言えない印象を冒険者に与えた。しかし、きゃっきゃと子どもの楽しげな声が聞こえてきており、人の活気には満ちているようだ。

下町に入ると、早々に子ども達にぶつかられます。彼らはスリ判定(15)でスリを行ってきます。危険感知判定(15)を冒険者に行わせましょう。

もし子ども達のスリを窘めたり、あるいは攻撃したりするのであれば、子どもたちは屋根や路地裏に散り散りに逃げ去ります。軽業判定(18)に成功するのであれば、子どもに怪我をさせることなく捕まえることができます。
ナップなど手荒な手段を使えば、捕まえられるものの、子どもは怪我をするでしょう。

子どもたちに追いつくと質問が出来ます。
子どもたちが持っている情報は以下の通りです。

・最近、街全体が暗くて怖いことになっている。今までは靴磨きや部屋掃除で稼げていたお金が稼げなくなったし、お店の人や大人たちが何もくれなくなった。乞食たちは餓死しているし、僕たちもこのままだと死んじゃう。
・特に今は子どものアメリ(3歳/ドワーフ/女)が発熱していて、薬を買うお金が必要なんだ。

ここで冒険者が何らかの手段でアメリを治すのであれば、彼らは寂れている原因を教えてくれます。なお、彼女の病気はキュア・ディジーズ(10)で治ります。また薬を買ってあげても良いでしょう。

・寂れているというか、大人たちがおかしくなったのは薬のせいなんだ!
ドロップを食べて変になる子どももいる。多くは入門街区から流れてくるし、そこが原因で間違いないと思っている。
・何でも「幸福を一杯」というと、お店に入って薬を買えるみたい。でも、薬を買うのはだいたい大人でそれも悪い人ばっかりみたいなんだ。
・もし、お店に入るなら警戒をした方がいい。きっと直ぐに襲ってくる。

以上が子どもから得られる情報です。
もし、店の位置を知らない場合は、入門街区南部にPCを誘導しましょう。
店の場所を知り、合い言葉を知っている場合〈幸福亭〉に場面を移しましょう。

〈幸福亭〉

幸福亭、その名前に似合わず暗い壁近くの路地裏にその店はあった。
薄ぼんやりと切れそうな照明、ギィギィと鳴りながら少し空いたドア。
そして隙間から聞こえる低音の声、「合い言葉は?入りたいなら喋るんだな」「そしてその気が無いなら失せな、うちは暇じゃねぇ」

ここで冒険者が「幸福を一杯」と復唱するのであれば、扉は開き、薄暗い酒場が開かれます。マスターのトーマスは不機嫌そうな顔をしながらも、席につくように促すでしょう。
「俺はトーマス」「ここに来たってことは、幸福が必要なんだろう?」
「それで、何が必要なんだ?」
得られる情報は以下の通りです。(なお、あんまり意味はありません)
・ギルドに入りいんなら金を払え、5000Gだ。
・薬を買いに来たのなら金を払え、5000Gだ。
・仕事貰いに来たのなら金を払え、5000Gだ。

うかつな情報を喋ったり、あるいは剣を抜いた場合「冒険者か!!案外早いじゃねぇか!お前ら仕事だぞ!」と言って、トーマスはするりと後ろに下がります。(このとき、酒樽の底から隠し通路に降りていきます)
そして奥の部屋から、ぞろぞろと闇ギルドの者が現れ、皆さんを迎撃しょうと戦闘が始まります。

敵前線エリア
大盾を持つ重装護衛兵(Ⅱ、451頁)×1体 *剣欠片あり
熟達した妖精剣士(Ⅱ、451頁)×PC人数

*戦闘の行動指針
#大盾を持つ重装護衛兵
ひたすらHPが最も大きい敵を狙います。〈全力攻撃Ⅱ〉を宣言することをお忘れ無く。また〈かばうⅡ〉をどこかの熟達した妖精剣士にかけておきましょう。

なお、剣の欠片が8個入っています。

#熟達した妖精剣士
1ラウンド目の頭に、必ず味方後衛エリア奥に、ストーンウォールを発動させます。これは冒険者たちを逃がさないというフレーバー的な措置です。
その後は、奇数ラウンドに〈ストーンブラスト〉を〈魔法拡大/数〉しながら前線エリアの冒険者を攻撃。偶数ラウンドで〈魔力撃〉を宣言しながらHPの最も低い冒険者に攻撃を行います。
MPが切れた後は、常に〈魔力撃〉を宣言します。

戦いを終えると、辺りは闇ギルドの者たちが死屍累々となって転がっています。しかし、トーマスの姿はどこにも在りません。
探索判定(18)を行うことで巧妙に隠された隠し通路を発見できます。
判定に失敗した場合、時間によってトーマスには逃げられます。
その時はダイケホーン方向の山道に出ることになります。
判定に成功した場合、地下通路を走るトーマスに追いつくことが出来、無事にお縄に着かすことが出来ます。

トーマスを逃がした場合でも5000Gが手に入ります。
もしトーマスを捕まえていれば、追加で2000Gの報酬が支払われます。

これにてシナリオ「幸せの黒い粉」は終了となります。お疲れさまでした。

リザルト

経験点:1000点+(魔物討伐Lv×10)+(ピンゾロ数×50)
報酬:5000Gもしくは7000G+戦利品
名誉点:〈剣の欠片〉個×1d

あとがき

どうも最近、シナリオを書く気が全然ないDKPです。
ハンドアウトソドワ、1ヶ月以上止まってますわ・・・。何というか難しい。
ついにトレーラーすらnoteのものを使用するようになりました。これはこれで楽ですけどね。はぁ、シナリオ1月に1回投稿は難しい。

実は今回書いたシナリオも、一昨日に遊んだナラティヴソドワのお話を遊べるように簡単に書き起こしたものだったりします。今日、3時間ぐらいで書き上げれたのでとても楽ですわ。
ナラティヴソドワはナラティヴソドワで遊び方を公開したいんですけどね。これもシナリオと同じく遅々として進みませんわ。

まぁ、でも来月中に公開できたら良いかな?
とりあえず何とか今月もギリギリ公開できたということで、来月もシナリオ作成頑張りたいと思います。

次回の更新は11/31に出来たらいいな!!!お楽しみに!!

出所表示

トレーラー画像は ウジェーヌ・ドラクロワ / メトロポリタン美術館 を使用しています。


TRPG。中でも特に『捏造ミステリーTRPG赤と黒』が非常に好きです。