嗚呼、私のチョク孕む子

浦戸湾を別名 「孕(はらみ)湾」という。

その形が臨月の妊婦に似ているから。

その湾の奥に、閂(かんぬき)のように突き出して国分川と湾を隔てているのが

孕半島。

わが母校の校歌に

「孕湾頭  軒高く  兼山碑下に  庭潔し」

と、大町桂月が謳った

優美で母性的な景勝。

しかし

その半島の付け根には

皮肉なことに

保健所の犬猫処分場がある。

近くに潮干狩りの名所があって、

5月のシーズンには親子連れで賑わう

その横で、

誰が放置したのか

野良の仔猫をよくみかける

空はあくまでも青く

湾は陽光にきらめき

薫風と子らのさざめき

草むらに見え隠れする無邪気な幼い猫数匹。

水爆がおちてくればいい

とは思わないが、、、

なんなのだろう

この宇宙の優しい無関心と無慈悲ってやつは。

震災じゃなくても

中東じゃなくても

アフリカじゃなくても

チベットやウイグルじゃなくても

この世は

光と悲惨にあふれている

わたしは祈る

だが

それは何に対しての祈りなのか

今日もわたしは誰かにおいしく食べてもらえるように

浦戸直送の魚を  おろす。

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