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あらいもの

先日、愛車のココアを洗った。去年中古で買った、運転席にタバコで焦がした穴がある水色のミラココア。
ガラスや車体に砂埃の跡が多くなっていて単に汚かったのと、なんとなくお手軽に身を清めた気分になれそうな気がした、というのもある。

本当は手洗いで丁寧に洗ってあげたいところなのだが、手軽さとお得さを取ってドライブスルー洗車。
実は自分の車を洗うのはこれが初めてで、ドライブスルー洗車に自分で入るのも初めて。
ちょっと楽しくなってきたのと暇だったのとで、洗車中は写真を撮っていた。


写真も文章も基本的には日常を切りとったものが好きだ。
なんでもない小さなことほど静かに煌めいているような気がする。
ただ、たまに訪れる非日常にもワクワクする。
洗車中の車の中という非日常が面白くて、気が付いたらカメラを向けていた。

ざばざばーごわわわ、ぶおおおおおと窓の外で音が鳴って、あっという間に洗車が終わる。
あれだけ砂埃の跡で薄黄色くなっていた車体が、爽やかな水色に戻っていた。
すごい。文明の利器って感じだ。
なんとなくガラスの水捌けが悪い気がしていたので、コースのランクを上げて撥水コーティングをした。

そしたら、これが大正解。

フロントガラスに伝う雨粒がちゃんと「粒」になってぱたぱたわらわらと走る。ワイパーをかけると端っこの方でスライムみたいにひっついて、わーっと流れていく。なんだかかわいい。
雨が降ると視界も悪いし外にも出たくなくなるしで憂鬱な気分だったけれど、雨粒たちと一緒に走れると思うと雨の日のドライブも少し楽しみになった。

小さいなあ、小さいことだなあ。でもうれしい。雨粒がかわいくて、うれしい。

キラキラしていて高級なお店に行ったりオシャレな街に旅行したりの「丁寧な」毎日も、もちろんすごいなあと思う。
ただわたしは、雨粒がかわいいとか今年はどこ行っても快晴の晴れ女でわたしすごいとか、自分の視点で素敵なものを見つけるほうが幸せは長く続く。と、今は思っている。

ココアを洗って、わたしの気分もちょっとだけ洗われたような気分になった。

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