透明なこどもたち
坂の上から
透明なこどもたちが
ころがるように
笑いながら歩いていく
太陽は
お役ごめんと
西へ
東京タワーが
オレンジ色に煌めいて
わたしにもひかりが
ほんの少しだけ分けあたえられる
「世界でいちばん美しいものってなんだと思う?」
透明さを鼻にかけたあの人は
たびたびわたしに問いかけた
「なんだろう」
わたしはそのたびに考えた
からまった線をほどいて
イヤフォンを両耳に入れると
思いのほかひんやりとつめたい
気持ちいい冬のつめたさ
答えをひとつに
決めようとすることが
わたしたちの
いちばん大きな違いだった
の、かもしれない
坂の下で
透明なこどもたちは
うたうように
笑いながら消えていく
#写真 #詩
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