太陽と詩人

詩人はその領域に
指一本も触れられない
森で巨大な熊に出会った武道家が
瞬時にすべてを判断し
座して運命を受け入れようとするのと
同じように
詩人はここを踏み超えることをしない
目の前に在る灼熱の太陽に
触れないのと同じように  

もし太陽に触れたならば
詩人の手は無事では済まないし
恐らく存在が消滅してしまうだろう  

太陽は常に熱い
詩人は温度や形がぐにゃぐにゃと
変化するからやたらに悩むのだ
羨望のまなざしで詩人は太陽を見る
太陽の苦悩を詩人は知りえない  

苦悩というのは
個々人によって違うものだ
詩人が悩んでいる事を
太陽は悩まないし
太陽の苦悩を詩人は知りえない  

想像することは
できるだろうか  

詩人が太陽になりたいと
子どものころから思っていたとして
大人になった今、太陽の気持ちを
察することはできるだろうか
太陽は熱を開放するのがとてもうまい
詩人は毎度
「えいっ」とか「おりゃっ」とか
気合を入れないと熱が産まれない
しかも産まれた熱に対して懐疑的だ
苦労して偽物を作り出している気もする  

太陽は偽物なんかに悩まない
日頃から常に一定量の
熱を持っているから
苦労せず使いこなせる
太陽の特権だ
でも体調が悪いと持て余す
熱をどこに保管すればいいかわからない
開放しなければ
いつの日か火傷を負ってしまうだろう
太陽の火傷は詩人にはきっと見えない  

想像することしかできない


donor -10/キキ さん- akira osawa さん

akira osawa さんのTumblr
http://sodawater829.tumblr.com/


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