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そのDMOは本当に必要ですか?

今回はそもそも論を書きたいと思います。過激なタイトルです笑。私自身もそうですが、雇われて推進をしています。しかも、DMOが何をするかを知らぬまま入社してしまったのです。何年か勤務し、感じていることを綴りたいと思います。

■観光庁の補助金が欲しくて立ち上がった組織

例えばですが、観光庁が補助金を出してくれるから立ち上げたという話であれば、DMOとして機能していないのではないか?と推測します。確かに観光庁の補助金メニューは凄いし、さまざまな支援をしてくれています。しかし、それありきで立ち上げた組織であれば、そもそも論がないので補助金が尽きれば、その組織も尽きるのではないでしょうか?もし該当するようでしたら、木下さんの記事を正座しながら読んだ方がいいと思います。

■誰が主導なのか?

民間事業者が立ち上がり、主導して運営しているDMOももちろんあります。それはDMOがなくとも上手くいっている組織です。なぜなのか?それは地域の事業者が必要としているからです。上手くいっている組織は、何かをやろうとしたときに、主導者が呼びかけ、それに答えるように協力する体制が出来ているものです。これが行政や観光協会が主導になるとどうでしょうか?事業者が必要としていなければ、何をやっても上の空になってしまいます。つまりは、民間事業者のことも分からない人たちが税金を使って無駄なことをしているとしか思われないのです。

観光庁のDMOメニューには専門知識を持つ者、マネージメントが出来る人材を登用する補助金メニューもあります。しかし、行政にや観光協会に必要とされていても事業者や住民に必要とされていない中に飛び込む勇気はありますか笑?高額で雇われたとしても精神が崩壊してしまうと思います。協力している事業者の人たちはほぼボランティアを求められている例が多数ではないでしょうか?その中での成果を出さないといけないプレッシャーたるや相当の覚悟が必要です。民間主導で成果を決めて、実行している例として八ヶ岳ツーリズムを挙げておきます。

■成果は何ですか?

先日、「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」が公表されました。新たに財務責任者(CFO)の設置を義務付けが発表されていました。その業務内容の一例として、運営資源となる宿泊税や入湯税などを行政と交渉していくという話を伺いました。しかし、この成果軸がしっかり見えていなければ、その税金が運営の重荷になると思われます。例えば、KPIを「2025年に年間の宿泊数を1000万人にします」とDMOを作った行政や観光協会が決めたとします。そして登用された専門家は活動していくことになった場合に上手くいくでしょうか?その地域に呼び込むために活動するわけで、その宿泊数を伸ばすために努力しているのは宿泊施設のみなさまだったりするわけです。つまりは誘客のアシスト程度にしかならない。

なので、例えば成果をメディア換算額などにした場合、これだけメディアに出ました!この地域へ呼び込むことが出来ました!などという話になってしまうように思えます。

着地型商品にしても、それで組織の人件費やプロモーションなど旧来の観光協会の予算全てを稼ぐというのは無理がある話のように思えます。

宿泊税や入湯税はとはいえ税金。行政は議会に説明しなくてはいけないし、成果が出ていないとなれば減額になるのは目に見えています。「こんなにメディアにこの地域を紹介してもらいました。今までなかった着地型商品を造成しました」などとプロセスを話しても、結局、国に提出を求められているKPIである「宿泊数」を設定してしまったことで成果が出てないと話になり、せっかく雇った専門知識を持った人材は解雇、組織の人数も減らされ、ついにはDMOがなくなるなんてことも考えられるわけです。

■ブランディングもデータ分析もインバウンドも必要ですか?

このnoteでは私が経験したことを元に考えを書いていますが、そもそもブランディングもデータ分析もインバウンドもDMOが民間事業者の人たちと成果及びプロセスを決めて、行政はそれを手伝いし議会や町民に説明をし、一つになっていく形が作れなければ、上手くいくはずがありません。ブランド作っても使わなければ意味ないし、データ分析も各事業者からデータをもらっても分析して役に立ててもらわなければ意味ないし、インバウンドも海外のお客様に来てもらいたいと思われなければ意味がない。これらは国がやるからやっている、お金がもらえるからやっているというようであれば、先は見えています。

■旗振り役を間違ってはいけない

必要性を実感し、活動する仲間を増やし地域を一つにするといった動きが作れなければDMOという組織は必要ないのではないか?と考えています。行政や観光協会が必要とするのではなく、あくまでも事業者や住民が必要とすべきなのです。旗振り役を間違えば、推進どころが衰退なんてことになってしまいかねません。

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