引き返すよりは

去年に福岡空港の門限が議論になり、その後に門限に遅れて福岡空港に着陸できなかった航空機が北九州空港に行ったことがニュースになったなと思い出し、調べてみるとそれは6月11日でした。
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20230612/5010020551.html

福岡空港は市街地に近くアクセスしやすいですが、深夜に離発着できず過密ダイヤという課題もかかえていて、北九州空港を代替として検討するという案はコロナ禍前にありましたが、代替案が現実に起きたわけですね。

福岡はアジアに近く、九州の中心都市として発展すると思うので、福岡空港に着陸できず北九州空港が代替となる事例は、今後もいくつも発生する気がします。

そうなると北九州空港の重要性が増すことになります。

記事に出ましたが、北九州空港を福岡空港の代替として利用できる航空会社は今のところスターフライヤーと日本航空だけとなってます。

北九州空港の時刻表を見ると空港就航便の7割以上はスターフライヤーなので、空港の収益はスターフライヤーの業績に左右されると見ていいでしょう。

スターフライヤーの業績について、2020年からのコロナ禍によって売上高が落ち込み、大変な思いをしてここまで乗り切ったことが、決算短信やニュースによって知ることができます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201225/k10012785231000.html

この記事の出た2020年12月末日のスターフライヤーの純資産は9千4百万円しかなく、損失は75億円、年度末までに資本を増強しなければ債務超過になります。

総額110億円規模の増資は記事にあるように年度末までに実行され、スターフライヤーは債務超過の危機を回避しました。

増資の中味は何だろうと2020年12月25日のプレスリリースを見ると優先株と新株予約権でした。

優先株にはA種種類株式とB種種類株式がありました。

A種種類株式と新株予約権の発行を受けたのがIXGSです。

IXSGは、アドバンテッジアドバイザーズが投資機会等の情報提供やコンサルティング等のサービスを提供しているファンドが出資する特別 目的事業体と記述されてます。

アドバンテッジアドバイザーズは、同社はホームで『「上場企業成長支援プライベート投資」という戦略名でサービスを提供しています。』と事業を紹介しています。

B種種類株式の発行を受けたのはANA、他に記事にあった12社とはTOTO、安川電機、宜本興産、ワールドHD、第一交通産業、ハローデイ、ヤナイ、西鉄、九電工、西部瓦斯、サンリブでした。

ANA以外は所在地を北九州市か福岡市とする会社が並んでいて、地元の空港を支援しようという意気込みを感じます。

調達する資金の額はA種種類株式が55億円、B種種類株式が25億円、新株予約権が全て行使された時の額が約302億円、なお発行諸費用が4億2千万円とあり、差引手取概算額は約106億円となってました。

これだけの優先株と新株予約権を発行した以上は、増資後の株主からの経営に対する要求は厳しかっただろうと想像しますが、増資のおかげで債務超過にならずにすんだわけですね。

2021年3月期は100億円の純損失になりましたが、それから新型コロナに対応する努力が実って業績は回復し、2024年3月期の業績予想では営業利益が7億8千万円、純利益が12億3千万円となっていて、こちらは達成できるといいですね。

スターフライヤーの業績が更に伸びて北九州空港の受け入れ体制も拡大し、福岡空港に着陸できないという事態が発生すれば、国内便でも国際便でも北九州空港への代替を希望する航空機は全て北九州空港に着陸できる、そんなことが可能になってほしいと思います。

福岡に行った時は自動車や新幹線が多く、飛行機を使ったのは5回ほどですが、もし飛行機で福岡まで飛んだとして、福岡空港に着陸できなくなったとしたら、引き返すよりも北九州空港で降りた方がまだいいです。

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