ゆうです。
今日、世界さんにお会いしました。
とりとめのない会話を共有させてください。（世界さん了承済）

🐤＝ゆう
🐔＝世界さん

🐤「お久しぶりです・・・って、どうしたんですかその顔？」
🐔「いや、その、先日酒豪の人と呑んでね。口説こうとしたら」
🐤「なぐられた？」
🐔「いや。顔からコケた」
🐤「自損じゃないですか」
🐔「保険もおりないよね」
🐤「何やってんだか（笑）破天荒がすぎるでしょ」
🐔「破天荒・・・引田天功の新しいお弟子さん？」
🐤「引田天功もプリンセス天功も知らない世代です」

🐔「ゆうさんは元気そうやね。顔に怪我もないし」
🐤「女子は顔からコケたりしません」
🐔「会うのはいつ以来かな」
🐤「あたしが帰国する前に香港で会ったのが 2022年の 3月でした」
🐔「1年と 9ヵ月ぶりか」
🐤「30 になりましたよ」
🐔「スモールヒルやね」
🐤「スモール・・・大台じゃないんだ」
🐔「ビッグヒルは 40 のことらしいね」
🐤「まだまだだわー」
🐔「十年ひと昔やで」
🐤「10年もたつと世の中がガラっと変わっちゃうってことですか？」
🐔「もとはそういう意味やけど、10年なんてあっという間やで、ってのが陽水の解釈やと思うねん」
🐤（世代・・・）

🐤「世界さんの 30代はどんなでした？」
🐔「世界でいちばん熱い夏やった」
🐤「そんな曲もありましたかねー」
🐔「ゆうさんの 30代は？」
🐤「まだわかりません」

🐔「大学はどう？」
🐤「正式に大学院に入ることにしました。マスターをとろうと思って」
🐔「ほう。社会学の？」
🐤「そうです。この 1年半いろんな科目を履修してきて、一番おもしろいのが社会学でした」
🐔「あのゼミの先生は私も知ってる。いい先生やと思う」
🐤「もうじき退官されるんですよ」
🐔「もうそんなお歳か・・・」
🐤「でもいいんです。弟子にしてもらいましたので」
🐔「出世したね（笑）」

🐤「どうして 20年以上も仕事を続けられたんですか？」
🐔「きっつい質問やな～」
🐤「あたしは 2年も続かなかったので」
🐔「20代はただ食うためやと思うてた。30代はドーピング状態や。スキルアップと評価を求めてマゾ的に働いてた。40代はそんな時期の残滓かな」
🐤「ざんし？」
🐔「うん。出世してやろう、って思いが残ってた。同時に、そんな生き方の空虚さに気づいていった」
🐤「香港で出会ったころ？」
🐔「そうやね。2019年やから 47か。あのときはもうキャリアとか捨ててたな」
🐤「何かきっかけとかあったんですか？」
🐔「とくにない。気づくのが遅すぎただけ」
🐤「あたしはたぶん、その気づきにすら到達してないな」
🐔「それでいいと思う。くだらない経済活動で人生の貴重な時間を無駄にすることはないよ」

🐤「あたしの 30代プラン、聞いてもらえますか？」
🐔「どうぞ」
🐤「修士をとって、そのまま大学に残って Ph.D.を目指します。何年かかるかわからないけど」
🐔「大学の先生になる？」
🐤「ムリかなー」
🐔「いや、なれるよ。むいてると思う」
🐤「むいてるかな」
🐔「社会に適応できひん人は象牙の塔にこもるのも悪くない」
🐤「はっきり言いますね（笑）」
🐔「最も居心地のいい場所で生きていけばいいのさ」

🐤「世界さんはその場所を見つけたんですか？」
🐔「まだ見つからへん」
🐤「へえ。意外だな・・・」
🐔「見つけた、と思ったら違ってたりね。ままならんもんやわ」
🐤「一生探し続けるものなのかもしれませんね」
🐔「U2にそんな曲あったね」

🐤「意外と香港が恋しくならないんですよ」
🐔「楽しい言うてたのに？」
🐤「好きな街ですよ。でも日本に帰ってきたらね・・・」
🐔「日本人やから日本になじむのも早いか」
🐤「世界さんは日本を捨てたんですか？」
🐔「捨ててへん（笑）」
🐤「じゃあどうしてずっと海外に？」
🐔「逃げてるんやろね」
🐤「何から？」
🐔「うーん・・・同じような顔の人間集団から、かな」
🐤「ハハハ。同族嫌悪ですか」
🐔「同じルーツをもつ同族集団に囲まれとる感じが嫌やってん」
🐤「海外にいると異分子みたいな感覚になりますよね」
🐔「そうそう。その異分子感が心地よかったのもある」
🐤「でも孤独ですよね」
🐔「孤独のがマシやわ。日本におると、無数の人間からなる社会がときどき大きな家族のように思えてくることがあって、それがああしろこうしろっていろいろ命令してくるんよ」
🐤「だから逃げた？ 鉄の檻から」
🐔「ウェーバーは知ってる世代なんですね」

🐤「世界さん、同じ高校の出身でしたよね。やっぱり、”何者か” になろうとした？」
🐔「したね」
🐤「なれましたか？」
🐔「ならなくていいことに気づいた」
🐤「ならなくていいんだよね」
🐔「ならないほうがいいんだよ。なったら老いるのがつらくなるからね」

🐤「乾杯しよ」
🐔「何者でもない人たちに」
🐤「何者でもないあたしたちに」

カンパーイ！