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子の振舞いは家と学校で全然違う

スイスでインターナショナルスクールに通っている 2人の娘のことで、意外な発見がありました。

最近、長女の「かず」(11歳)は父親とも母親とも距離をとるようになっています。
学校から帰ると、自分の部屋に閉じこもります。
晩ご飯のときは食卓に来ますが、黙々と食べます。
食べ終わると、独り食卓に座ったまま iPad でゲームを始めます。
9時頃にゲームをやめ、浴室に行きます。といっても、我が家には日本のような立派なバスタブがないので、お風呂ではなくシャワーです。長いです。長風呂ならぬ長シャワーです。長シャワまさみか!とツッコんでも、笑ってくれません。

かたや、次女の「さと」(6歳)は、やたら元気です。
私が仕事から帰ってくると「パパ!遊ぶよ!こっち来て!」と、さとの部屋(兼プレイルーム)に強制的に引きずり込まれます。
さとの遊びは、レゴで遊園地を作ったり、プリキュアのキャラの塗り絵をしたり、6歳にしては幼い気もしますが、YouTubeのキッズ系チャンネルを観ているよりはずっと健全だと思っています。

かずも、さとも、4年の香港生活からスイスに移住して 9ヵ月。
スイス生活に溶け込むことは最重要課題です。
長女と次女の家での振舞いを見ていて、私は思いました。
長女かずは、うまく溶け込めていないのではないか。かずは、もともと 1歳~7歳をスイスで過ごした子なので、「ホームに帰ってきた」ように感じてくれると楽観していたのですが、実際はそうではないのかもしれない。
次女さとは、スイス生まれだけど、1歳~5歳を香港で過ごしたので、スイスはほぼ初めての環境。でもそれが幸いして、案外うまく溶け込めているようだ、と。


今月は、teacher parent conferences の季節でしてね。
担任の先生と親(=私)が 1対1 で面談します。

最初、かずの担任の先生と面談しました。Year 7、日本の学校でいえば小学 6年生です。
仕事でのミーティングよりも数百倍緊張します。
その面談で、先生はかずのことをメチャメチャ褒めました。
規律正しい (disciplined)、算数 (math) が得意、英語も問題なくクラスメイトとうまく付き合っている、と。

意外、と言っては悪いけど、それを聞いて私はものすごくうれしかった。
家での振舞いより学校でのそれのほうが大切だと思うからです。
かずめ、うまくやってんのか。じゃあ家では暗くてもいいや。

翌日、さとの担任の先生と面談しました。Year 2、日本の学校でいえば小学 1年生です。
先生は、さとに関して、ちょっと心配している、とおっしゃいました。
24人のクラスで、さとは唯一のアジア系である。
クラスの中で、さとは誰とも会話していないようだ。
そこには言語(英語力)の問題もあると思われる。
クラスの子が声をかけても、さとは無視するような態度をとるので、ますます孤立している。

前日と打って変わって、目の前が真っ暗になりました。
心が折れそうになりながら、先生に尋ねます。
「24人のうち、ネイティブイングリッシュスピーカーはどれくらいいますか?」
「6人です。そのほかの子はベルギー人やスペイン人やギリシャ人などで、家では母国語で話しますが、学校では英語を難なく話せる子たちです」

さとの、家での明るい振舞いが頭に浮かんだ。

「先生、さとの友達になれそうな子はいませんか?」
「私もクラスの子たちを観察していますから・・・Andreyかな」
「Andrey?男の子ですね?」
「はい。彼もクラスで孤立している子なので・・」

先生は、タブレットを操作して、この子です、と私に見せた。

うわっ!めっちゃ美少年やないか! この子、ホンマに 6歳?

「ロシア人ですか?」
「いいえ。ウクライナ人です」

めっちゃアジア顔のさとが、めっちゃウクライナ顔の美少年と友達になれるのだろうか。
とりあえず担任の先生には、さとを Andrey とくっつけるサポートをお願いしました。
友達たくさん要らないんですけどね。ただ一人の友達をもつことが大切だと思います。

かずは、学校生活が充実しているから、家では暗くても平気なのだ。
さとは、学校が楽しくないから、家では明るく元気に振舞っている。

私は 1日のうちで、さととレゴで遊んでいるときが最も満ち足りた時間だ。でも、そういうことじゃないんだろうな、大切なのは。
さとが「パパ、遊ぼ!」と言わなくなる日がくることを願う。

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