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追加投資|FLUX:メディア/SMBの収益を最大化するソリューション

DNX Venturesは、株式会社FLUX(以下、FLUX)にシリーズAラウンドのリード投資家として、Archetype Venturesと共に出資させて頂きました。DNX Venturesは前回ラウンドの出資に続く追加投資となりますが、今回ラウンドではリードでの投資を行ないました。


今回はなぜ弊社が本ラウンドをリードすることにしたのかにもつながる、FLUXの魅力と投資理由を紹介していきたいと思います。

FLUXとは?

FLUXは、「テクノロジーをカンタンに」をミッションに掲げ、広告収益の最大化を行うヘッダービディングを中心に、メディアのデータ活用「AutoStream」とアドフラウド対策ソリューション「Siteflow」を提供。トータルでメディア/SMBの収益化を支えるソリューションの開発、提供をしています。ここでは、FLUXの主な2つのサービス「AutoStream」、「Siteflow」をご紹介します。

AutoStream
「Autostream」はメディア企業の収益最大化のためのOne-Stop-Solutionです。具体的にはヘッダービディングを主とした広告収益最大機能、アナリティクス機能、視認性向上、Brand Safety、DMPなどメディアの収益化に寄与する多岐にわたる機能を備えています。中でも、ヘッダービディングは一般的に馴染みのない領域かもしれませんので、この機会にご紹介させていただきます。

「ヘッダービディングの台頭」
ヘッダービディング(広告入札ソリューション)とは、複数の広告候補への問い合わせと公平な競りを行うことで、最高単価の広告を表示させる仕組みです。昨今は、プログラマティック広告の仕組みの普及に伴い、メディア各社は多くのSSP(Supply-Side-Platform)から広告配信を受けることになりました。その中で、これまでは「ウォーターフォール」という広告枠の買取や表示システムが主流でした。ウォーターフォール方式の簡単な流れは下記になります。
メディアが各SSPなどにあらかじめ決まった順番で広告リクエストを行う
フロアプライス(最低落札価格)を上回った会社が出てきた時点で落札

このようなプロセスの課題は、メディアとしては、一番高単価の入札を無視してしまうこととなり、収益機会の損失となっている点です。この課題を解決してくれるのが、FLUXの提供する「ヘッダービディング」となります。

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広告配信 - ウォーターフォール vs. ヘッダービディング
出所:東洋経済コラム「ヘッダービディングの登場」


複数の供給源を競わせ、1番高い広告を支払う広告を表示させることで、収益の最大化を図りたいというメディアのニーズから、ヘッダービディングが台頭しました。米国では、Magnite (NASDAQ: MGNI)、Pubmatic (NASDAQ: PUBM)など複数のプレイヤーがSSPヘッダービディング市場で競い合っていますが、現状日本では全ての事業者を対象に公平なオークション形態(=高い中立性)を提供できているのは、FLUXとなっており、対応ビッダー数も既に業界最多となっています。プロダクトローンチから約一年が経過したところではありますが、顧客数・取扱高ともに高成長を実現しています。

Siteflow
「Siteflow」は、AutoStreamに次ぐ新規事業です。足元、日本でも「ノーコード」という言葉がかなり定着してきましたが、Siteflowはまさに「ノーコード」でウェブサイトを構築できるメディア・中小企業向けのソリューション(CMS-Contents Management System)となります。現在国内でも大半のサイトがCMSを通じて作成されていますが、特にメディア企業にとっては、今後インターネットやスマートデバイスの更なる普及率の増加に伴い、オウンドメディアの数と質も増加傾向となり、管理負荷コストも大幅に増加されると見込まれます。その中で、優れたUI/UX、深い業界知見を持ち合わせたFLUXのSiteflowを活用することで、メディアや中小企業側のウェブサイト管理コストを大幅に低下させることができます。


DNXが投資した理由

さて、次に今回リードとして追加投資をさせて頂くに至った背景についてご紹介させてください。

過去類まれにみる急成長を実現
1つ目の理由としては、同社の類まれな高い成長率です。DNX Venturesは2019年に実施されたFLUXのシードラウンドにも参画していますが、そこから既に大手メディア企業から新興メディアまで、多岐にわたる顧客でのサービス導入が進んでおり、既存事業のヘッダービディング領域においてリーダーシップポジションを確立しています。
現在メディアの多くは、デジタル広告でのマネタイズ手法、テクノロジーへのキャッチアップが追いついておらず、メディア向けのOne-Stop-Solutionプロバイダーが不在のため、FLUXに期待していただいています。今後FLUXは既存事業で蓄積された豊富なデータ量もフル活用し、メディアのみならず、SMBも対象とした、より包括的なマーケティングプラットフォーム・プレーヤーになれると思っています。

深い業界知見と才能長けた経営陣
2つ目の理由は、経営陣の業界に対する圧倒的な専門性です。同社への顧客レファレンスにおいても、何度もFLUX経営陣のアドテク業界・新しいテクノロジーへの深い理解・提案力を高評価している声が多く聞かれました。また、複数の顧客が、プロダクト立ち上げ前からFLUXと面談を重ね、高い信頼関係を築いており、そのままプロダクト導入の流れにまで至っています。FLUXのプロダクトが素晴らしいことはもちろんですが、経営陣の業界のトレンドに対する深い理解と、顧客ファーストなアプローチも大きな影響を及ぼしていると考えられます。実際に海外大手プレイヤーが日本参入を始めていた時期に、FLUXが現在のリーダー的地位を築けたのは、マーケティング領域におけるOne-Stop-Solutionを目指しているFLUX経営陣への高い信頼によるものだと思います。

永井社長との信頼関係
永井社長とDNXとの出会いはFLUX創業前に遡ります。当時DNXのアソシエイトであった田中(現在Investment VP)が起業のためDNXを退職するにあたり、後任候補として学生時代からの友人であった永井社長をDNXに紹介しました。頭脳明晰で人物的魅力に秀でた永井社長にDNXはすぐさまオファーを出しましたが、永井社長は最終的にDNX含め複数のVCからのオファーを全て選択せず、起業家になることを選びました。永井社長のその判断をDNXは全面的に支持し、前回のシードラウンドでも即決で投資を決断。今回のシリーズAに至るまでの過程で永井社長が見せた事業への高いコミットメント、思考の深さ、高い仲間を集める能力、投資家との一貫した信頼感のあるコミュニケーションを見て、「フルスイング」で投資を決めました。

DNXの日本国内での投資では、久しぶりのデジタル・マーケティング、デジタル広告領域の投資となりました。高い技術力と深い業界知見や理解、インサイトに基づいた、トータルでメディアの収益化を支えるOne-Stop-Solutionです。今後リリースを控えているサービスも含めて、更に革新的なプレイヤーになっていくことを期待しています。業界経験豊富でエネルギッシュなこのチームを、DNXは引き続きご支援させて頂きます。


(文:チェ・ミンジュン)

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