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会話に味をしめてしまったので。

初対面ならなんとか取り繕う事が出来るが、二度目ましてになると急にコミュニケーションの取り方や距離感の縮め方がわからなくなるタイプの人見知り。それが私である。

ついでに言えば昔ながらの友人たちに自分から連絡する事もほとんどない。声を掛けてくれれば喜んで予定を立て、「前日にやっぱり会いたくない、キャンセルしたい。」と悶々とし、会えば楽しく過ごして帰ってくる女である。
付き合いが20年になる気の置けない友人にすら「会う度に距離感リセットするのはなんなの?なんで毎回一旦距離作るの?」と言われた事があるので、多分面倒くさがりというより社交性に問題があるのだと思う。

狭く細く、そんな付き合いの友人が居てくれるのは単に周りの懐の深さ故であり、30云年その状況に甘えてきた。

そんな私は長年所謂「おひとりさま」を続けており、最近ではハードルの高かった焼肉にも行ってしまったのでほぼ怖いものなしになっている。

昨年の秋頃には都内にあるお一人様専用のバーにも行ってみた。自分の対話能力のなさに引いた。
そして今年に入りもう一度店の戸を叩き、なんと初対面の人と連絡先の交換をした。この歳になっても連絡先聞かれるってあんまりなかった私でもその場の社交辞令というのは理解していたので交換自体に抵抗はなかった。

しかし何故かとんとん拍子に話が進み、次の週には飲みに行く予定まで立っていた。社交性のある人ってこうやってLINEするんだぁと大変勉強になった。

当日、すわマルチか壺を買わされるか。待ち合わせ場所にいたのは大層な男前であったのだからそう直感した。
バーでは暗くて顔が見えていなかったのだがこんな顔の整った男が相手だったら絶対来なかった。私は面食いだが容姿が整っている男性が怖いという二律背反の宿命を背負っているので。

緊張のあまり酒を飲みすぎ、酔った勢いで話し続け、相手の相槌に助けられながら終電まで飲んだ。久々に吐いた。もう酒は飲まないと出勤前のトイレで呪詛も吐いた。

数日後、お互い別件での飲み会終わりのタイミングが重なり飲み直す事になった。
三度目ましてならまぁまだ話せる。
…ので率直にマルチか壺かを問うてみた。どっちも違うと言われた。
しかしまだ半信半疑である。顔が整っててコミュニケーション能力もあり、行動もスマート。毎日適当な店で声掛けたって相手には困らないのでは?というとこまで聞いた。

氏曰く、容姿に特に自信があるわけではない。環境で鍛えられたコミュニケーション能力でどうにかしているのだと。

その時点では美人局まで考えていた自分がなんだか恥ずかしくなった。
誰かと飲みたいとか、交友を広げたいとか、話をしたいとか、そういうのは別に外見関係ないじゃんと。
加えて自身の社交性のなさに甘んじていたこの30云年の中で、取りこぼしてきた事も多かったのではと悶々とした。

転職して2年目、仕事も少し慣れてきた。
そろそろプライベートのじぶん改革を行ってもいいんじゃないか。

ここで初めて本題に入る。
人見知りを人見知りままにせず、円滑なコミュニケーションを学ぶべく私は
相席デビューをする事にした。
以下、世間を知らない私が精一杯の知恵で絞り出した理由である。

・様々な年齢層と話せる
・どんなタイプの人との会話も全部勉強になる
・周りがどんな会話をしてるのか勉強できる
・もしかしたら本当にいい人と出会えるかもしれない。(パートナーいない歴7年目です、察してください)

ちなみにこの気付きを与えてくれた男前はその後連絡を取っていない。やっぱり自分から連絡するのは怖いので。
でもいつか、二度目・三度目ましてでの非礼を詫びて、感謝できる飲みの場がある事を目標にしてこの文章を書いている。



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