いのまたむつみさま

いのまたさん、突然の旅立ちに驚いています。
かける言葉もありません。ご冥福を祈ります。
 
多くは電話でしたが、プロレスの話のほか、いろんな話題につきませんでした。洞察力観察力も鋭くて、何度もドキッとしたことがあります。
コミックスでは、橋本先生(以下、まっち先生)の原稿を追いかけるのに、何度も何度もいのまたさんのところに電話しました。橋本さんには結構キツイことも言ってしまったこともあって。まっち先生が怒っているといのまたさんも怒るという形で、ひどい奴と思われていたんだろうなあと思っていました。無事に原稿すべてが揃って入稿したは年末12月もおわりに近かったと思います。まだ本は出来てなかったかな。ある日会社におふたりから誕生日プレゼントを頂いたのを思い出します。おしゃれなカーディガンだったと記憶しているのですが、度重なる引越もあって一度も着ずにどこかにいってしまってすみません。
そんなことよりも、まっち先生と話していて、「藤原くんは弱いところのある人だから」とむっちゃん言ってたよーという話は印象に残っています。いろいろ見透かされていたんだろうなあと思いますね。まっち先生は、良い意味で言ってくれていたと思います。
 
女子プロレスのガイアジャパンにはまっていて、何度も後楽園ホールに行って、しかも最前列とかで場外乱闘になると翌週の「週刊プロレス」の試合写真に逃げ惑ういのまたさんやまっち先生の姿とかありました。
中でもおもしろいのは(現場にいなかったのですが)いのまたさんが、広田さくら選手とのデート券を落札して(たしか5万円くらい?)、同行にショッキリ清水、猫戦車マリィ。まっち先生はいなかったんじゃないかな。最終的に1時間ほど、さくら選手といのまたさんがふたりっきりの時間を過ごしたと聞いています。そこで、体格ガッツリの猫戦車がガイアジャパンのマネージャーさんに「ねえ、プロレスやらない?」とずっとスカウトされていたのは今も笑い話です。
さくら選手の話は、毎日8時間は練習しているという練習漬けの毎日で、「普通のサラリーマンなんかよりもぜんぜん働いているよー」と言ってましたね。
そうそう、「〇〇(なんとか)だよー」といういのまたさんのしゃべり口調は好きでした。
特に「プンスカだよー」は、影響受けて使っています。
ひらがなの天才というか、リズム感があっていいんですよね。やわらかさもあって。
周辺から昔のいのまたさんの話を聞くと、高校時代から仕事をしていて、セーラー服でアニメスタジオに行ってて、すごくかわいかったと聞きます。
そのほか、若い人たちに檄を飛ばして「あなたたち、若いんだからもっとギラギラ野心を持たなきゃダメよ!」という一面もあったとも聞いています。
 
プロレス会場ではお会いしたことも多かったです。
 プロレス好きから、プロレスの好きなおもしろいアニメーターがいるんで、絶対話合うから紹介するね、と紹介されたのがサムシング吉松くんでした。
夢に出てくるほどトリプルエッチが好きで、あるとき、すごい夢見たと。
「トリプルエッチにパスタを作るんだけど、ものすごいたくさん食べるんだよー。いくら作ってもどんどん食べちゃうんで、どんだけ作ればいいのーと思ったら、目が覚めた」なんて話も。

あっちこちに話とぶけど、昔はよくいたずら描きのFAXをもらったりしてました。今のようにメールがないころですね。さらさらと描いて送るの。
結構もらったと思うのだけど、FAX用紙って退色して見えなくなってしまうんですよね。今あってもほとんど消えてるかな。
 
最後に電話で話したのが、もう4年くらい前でしょうか。
太田じろうの原画展をやるあたりかな。
そのときは母親の介護のご苦労もあったのかしきりに「藤原くん、ピンピンコロリ、ピンコロだよ~」と言っていましたね。たしか夏です。「暑いともう仕事したくなくて」とも言ってました。
 
お手伝いしている太田じろうの原画展も少しずつ成長してきました。
初の単行本となった「こぶたのぶうちゃん」を送りました。送ったきりだったかな。感想聞きたかったなー。
そのあとに「こりすのぽっこちゃん」も出たんだよって話も。
 
いなくなったらすべておわり、無というのも思うけど、もしも何かしら別世界があるなら、またいたずら描きFAXみたいに送ってほしいです。
仲良しでソウルメイトで家族以上といえる残されたまっち先生が心配ですよね。いのまたさんは今もまっち先生のことを心配しているんじゃないかな。ホントまっち先生の話になると真剣だったもの。そんな話も思い出します(たいした話ではないですが)。心配だよね。
 
私ももう還暦ですよ。それでもコマンド・ボリショイ選手からトレーニング受けたりしてます。
そういえばTAJIRI選手のサイン会に行ったときに、いのまたさんや橋本さんの話をして、「また会いたいですとお伝えください」と言われてました。伝言、遅くてごめんなさい。
 
いのまたさん、絵も人間も大好きで尊敬しています。
本当におわかれですが、いずれ近いうちに会えますよ。
そのときまで、またね。

追伸:たしか『マッスル』のDVDを何枚か渡していたのですが、見てくれていたのかなあ。

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