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「広報」や「マーケティング」だけでなく、いよいよ「広告」も定義を刷新されるみたい。

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 どうやら、日本の中で「広告」に関する定義を定める方向で進捗していきそうです。

 これまで、日本の広告業界として明確に定義を定めていたわけではないようで、フィリップ・コトラーやドラッガーらの言説を日本語訳したものが流布するに留まっていただけでしたが、丁寧に定義づけしようとする動きには素直に賛成したいところ。

 日本アドバタイザーズ協会のWebサイトを覗き、JAAとはといったページの中には理事長である川村 和夫氏の言葉として以下が掲載されています。

広告は、生活者との双方向コミュニケーションを通じて、社会課題の解決に取り組み、新しい価値を提供する存在になっていかなければなりません。

公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会『JAAとは』より

 これは明確な定義ではなく、あくまでも広告業界における一つの業界団体の長として広告のあり方について示したものですが、「生活者」、「そう方向コミュニケーション」、「社会課題」、「新しい価値」といった言葉が並ぶように、Meta(Facebook)を中心に社会問題化してしまった著名人のなりすまし詐欺広告のようなことがあってはならないという意見であることが伺えます。

 たしかに、さまざまな手技手法が生み出されては出稿・掲載される広告の定義を定めることにより、そういった社会問題化するような広告を駆逐するための理由や前提条件を設けることが期待できそうです。

 今回、JAAが定義を定めることを公表した背景として、すでに「広報」や「マーケティング」といった類似する職種団体が近年、定義を刷新していることが無関係ではないでしょう。

 日本広報学会は2023年6月に「広報概念の定義」を改めていますし、日本マーケティング協会も2024年1月にマーケティングの定義を刷新しました。

組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。

日本広報学会『広報概念の定義』より

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

日本マーケティング協会『34年振りにマーケティングの定義を刷新』より

 こういった事情もあり、広告業界としても定義を刷新するなどし、悪辣で醜悪な詐欺広告やフィッシング詐欺などを撲滅することはできなくても、広告に対するイメージを底上げできるような状態にしておきたいといった心情が見え隠れします。

 今回は、広報やマーケティングの定義のポイントを見ていきつつ、広告を定義するとしたらどんな要素が入りそうなのかを予想してみます。

日本広報学会「広報概念の定義」の特徴

 まず、広報に関する定義から見ていきます。

 日本広報学会は1995年に自身が定めた定義を刷新する形で2021年に「新たな広報概念の定義」プロジェクトを立ち上げ、約2年ほどかけた2023年6月に「広報概念の定義」を刷新しました。

組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。

日本広報学会『広報概念の定義』より

 日本広報学会のページを見に行くと、この定義の特徴を丁寧に説明してくれているのですが、それは広報の主体は誰なのか、広報を行う目的は何か、手段や目標、そもそも広報の分類は何かなどを細やかに説明しています。

【広報概念の定義】より、広報の特徴については以下のとおり。

  • 広報の主体を組織だけでなく個人も含むとしている点

  • 目的を「目的達成や課題解決」と幅広く捉えている点

  • ステークホルダーとの双方向コミュニケーションを重視している点

  • 「社会的に望ましい関係」の構築・維持を目標としている点

  • 広報を経営機能の一つと位置づけている点

 特に、広報を担う人たちからすると、分類として「経営機能の一つ」であると定義されたことに勇気づけられている人が多かったのではないでしょうか。

 直接的な売上や経費の削減につながることは少ないのかもしれませんが、適切なコミュニケーションを図ることができれば、きちんと利益に貢献することができるものが広報であり、それは経営機能の一つであると業界単体としてきちんと定義し、発信されたことには素直に誇らしく思えます。

日本マーケティング協会「マーケティングの定義」の特徴

 一方、マーケティンの定義はどうでしょうか。

 こちらは1990年に定義されていたものを2024年1月に刷新されました。実に34年ぶりのことですが、34年もあれば手法や戦略も大きく変わってきていますから、当然の流れと言えるのかもしれません。

(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。

日本マーケティング協会『34年振りにマーケティングの定義を刷新』より

 この定義の特徴を抜き出すとしたら以下でしょうか。

  • 企業と顧客の価値共創を重視している点

  • ステークホルダーとの関係性の醸成を目指している点

  • 社会課題の解決と持続的成長を視野に入れている点

  • マーケティングを構想とプロセスと捉えている点

 よくマーケティングは「売れる仕組みづくり」だと某森岡氏の言葉が引用、利用されて喧伝されていますが、日本マーケティング協会が「構想でありプロセスである」と定義づけている点には共感を覚えました。

 「売れる仕組みづくり」といった言葉はどうしても結論や結果論に陥りやすく、その結果が出なければ意味がないものだと思ってしまいかねないところですが、構想とプロセスと銘打つことで成功や失敗も包含した概念なのであると認識することができます。

 また、社会課題の解決や持続的成長といった文言を取り入れることで、ただ企業や組織、個人が「売れるためだけ」の行動を取ることを牽制している点も注目すべきでしょう。

広告の定義に入り込む要素は何か

  では、これら二つの類似業界が示した定義を受け、広告業界としてはどういった定義となっていくのかを考えてみます。 

 冒頭でも触れましたが、有名人を利用した詐欺広告やフィッシング詐欺など、インターネット広告の登場以後、個人でも容易に広告を出稿できるようになったことから悪質な広告が誰の目にも入りやすくなりましたし、それによる被害も報道が目立つようになりました。

 こういった問題に向けて毅然とした態度や振る舞いをするための文言が入るのではないかと予想します。

 同時に、ただただ規制するような文言を入れるのではなく、表現の自由や創造性を制約することのないよう、バランスを取らなければいけませんから、あらゆる利害関係者の視点を考慮する必要もあるでしょう。

 それらを踏まえて、広告の定義には以下のような文言が入るのではないかと予想します。

  • 誠実

  • 倫理

  • 価値

  • 伝達

  • 信頼関係

  • 戦略

  • 責任

  • コミュニケーション

 誠実さや倫理といった言葉を利用することで悪質な広告に向けた毅然とした態度を示しつつ、あらゆる商品やサービスの価値を利害関係者に適切に伝達すること、それによって信頼関係を構築することを目指す旨や、それらを戦略的に責任を持って行うといった文言が入ることで「きちんと考えています」ってことを示すのではないかなぁ…と。

 後々、広告の定義が出てきたら、答え合わせをします!

おわりに

 まぁ、当たろうが外れようが、ぼくには何の損得も生じないのですが、仮に当たっていたのだとしたら、一人、ほくそ笑んでいようと思います。

 ではでは。

 ゑんどう(@ryosuke_endo)


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