映画レビュー「アーカイヴ」

充分に楽しめるちょっとしたSFスリラー(ネタバレあり)
★3.5


2021年公開のイギリスのSFスリラー。
監督はギャヴィン・ロザリーという人で、
ダンカン・ジョーンズ監督の「月に囚われた男」で
アートディレクターを務めていたそう。

なるほど、舞台設定やセットの作り込みなど、
出てくる場面の数自体はそれほど多くはないものの
優れたデザインと造形で強い説得力を生んでいます。


奥さんを亡くした科学者が
その奥さんをアンドロイドとして蘇らせようとするストーリー。

SF映画では割とよくある(?)設定かと思います。

それほど期待せずに見ましたが、
うん、悪くなかったですね。


未来の日本の山梨県が舞台という事で、
街中の描写は一度しか出てきませんが
ブレードランナーを彷彿とさせるような
カオスジャパンでなかなか興味深かったです。

どうしても西洋人の描くジャパンイメージって
こうなってしまうんでしょうかね。
まあ、それはどうでもいいですが。


試作のアンドロイド1号と2号が愛らしいですね。

しかし感情もしっかり持ち合わせているために
中盤では物語のキーになります。

最初何が起こっているかわかりづらいですが
ストーリーの中でちゃんと順に説明してくれるので
途中で迷子になってしまうような作品ではありません。

登場人物も場所も少ないので
退屈しそうに思うのですが
まずまずのテンションを保ってラストまで進んでくれます。






以下ネタバレです↓
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そして問題のラストシーン・・・。

ラストがああなるからこその
途中のいろいろと回収しきれずモヤモヤした要素も
全て問題なくなると言えます。

私はこのラストは全く予想していなかったので
結構びっくりして「やられたー」と思いました(笑)。

こうなると奥さん側からのストーリーも
是非知りたくなってしまいますね。

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私みたいに「月に囚われた男」のような
こじんまりとしたSFが好きな人なら
結構満足するんじゃないでしょうか。

コンピューター内部の処理等の映像表現も美しいですし、
登場するもの全てのデザインセンスがさりげなく素敵なのがイイです。


まあ、人工皮膚を被せて完成するなら
顔のライン消したら?とか細かいツッコミもできますけど
まあまあ、そんな野暮な事を言うのはなしにしましょう。

「SF」映画として私には充分に楽しめた作品でした。




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