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生命保険を考えるうえでしっておきたい「不安」の正体

こんにちは。バーチャルファイナンシャルプランナーのイヌカンフーです。
皆さん生命保険は入ってますか?入っていないにしても生命保険のセールスでこんなこと言われたことありませんか?
「将来不安じゃないですか?」
「何かあったら大変ですよ?」
「残された家族のためにどうですか?」
このような不安を煽るようなセールスです。

また、以前メタバースプラットフォームclusterでイベントに出演した際に「保険文脈」について解説したことがあります。「保険」と聞くとはなぜか入ってしまう。確率が低い時ほど自分はそれに当てはまってしまうんじゃないかと思ってしまう傾向があります(確率荷重関数)。
海外の人に比べて日本人は特に保険が好きな方が多いようです。

ここでは「不安を煽るようなセールス」と「なぜか保険に入ってしまう」に対する私の考えを記載していきます。

不安とは

不安とは「気がかりで落ち着かないこと。心配なこと。」「正体が明らかでない物(脅威)に対する警告(アラーム)」と解釈されます。
不安とはポジティブかネガティブかと言ったらネガティブな感情です。このネガティブな感情があったからこそ、人類は危険を察知して生き延びてこれた。つまり生き延びるために必要な感情といえます。
人類は生まれてから約20万年かけて生き延びるために進化してきました。この不安という感情も生き延びるために進化した能力の一つです。ところが、科学の進歩によってこの100~150年程度の間に人間をとりまく環境は大きく変わりました。
現代において、従来の「本能」と「現代社会の取り巻く環境」とで、この不安という感情がバグを起こしているのではと感じます。次のセクションで「本能による不安」と「現代社会の不安」について解説します。

本能の不安とは

狩猟時代の人類は目の前の草が揺れたなら奥に猛獣がいるのでは?毒蛇がいるのでは?といった具合に「正体のわからないもの」に対して不安(危険を知らせるアラーム)を感じていました。猛獣に襲われれば「死」、食料が尽きたら「死」、死を回避するためには「逃げる」「戦う」といった判断を即時に行わなければなりません。生き延びるために今この瞬間に神経を集中して不安と向き合ってきました。

現代の不安とは

一方現代では、目の前に猛獣が現れることはまずありません。逃げるか戦うかを即断即決しなければ生死にかかわるような不安はまずないと言えます。
現代の不安とは仕事であれば業績や上司からの評価、金銭面であれば子供の養育費や老後資金であったりと、ひとつの事象に対しても上げればきりがなく非常に複雑です。そして、「正体のわからないもの」とはこれから訪れる時間軸(未来)に対して感じているということが言えます。

まとめるとこうなります。
本能の不安:シンプル、直近のもの、生死にかかわる
現代の不安:複雑、未来、生死にかかわらない

本能の不安とのギャップが生じたきっかけ

これは参考文献を見ると農耕の開始との事で、農耕は今から1万1000年から2万3000年前に始まったといわれています。
狩猟は良くも悪くもその日暮らしです。獲物を捕まえるか逃すかは今この瞬間にかかっています。捕れなければ場所を変え、手段を変え、即対応します。
一方、農耕は収穫すれば定期的に食料が手に入り、貯蔵も可能。その反面で気候を気にし、作物の成長を気にするようになりました。長い年月をかけて収穫を待ちますので、狩猟に比べて失敗した時のリスクが大きい。その為、狩猟時代には気にしなかった「未来」を気にするようになりました。
「未来」とは何が起こるかも、それがいつ起こるかも全く予想がつきません。本能は不安を感じるのでアラームを鳴らしますが、即対応しなくても死ぬことはありませんので、いつまでもアラームが鳴りっぱなしの状態になり得ます。

未来の不安に答えている風な保険

話を保険のセールスに戻すと「未来」という不確定なもの、複雑でアラームが鳴りっぱなしのものに対して、保険に入るという「即対応」で、「お金で備えておくことができますよ」というシンプルな回答を出しています。つまり未来に対しての不安も複雑な不安に対しても明確な回答ができていない「答えている風」な回答といえます。

「未来に対しての不安」 → 「即対応」という回答
「複雑な不安」 → 「シンプル」な回答

不安は解消されたのか?

「現代の不安」とはいつ何が起こるか予想が付かないものなので、不安というアラームは鳴りっぱなし状態です。保険に入っても未来が分かるわけではないのでアラームは鳴り続けるでしょう。「将来不安だから保険に入りませんか?」と言われて加入したとしても不安が解消されないわけですから、不安の解消という点では十分な効果は得られていないと言えます。

どんな保険なら加入の価値があるのか?

不安の解消という意味で生命保険を検討する場合、「何が起きたら困るか?」を具体的にすること。それに対して「解決が具体的に提供できるもの」であれば「価値ある保険」と言えそうです。
具体的には「子供が大学に通っている4年間は学費を確保できないと困る。万が一子供が在学中に死んでしまった場合でも〇〇円は確保しておきたい」といった具合に、未来がいつなのか?不安を解消する金額はいくらなのか?を特定できれば加入の価値はありそうです。
生命保険は人生で2番目に高い買い物(1番は家)などと言われます。家計に大きな影響を与える出費になりますので、加入の際は慎重に検討してみてください。

おまけ

不安のターニングポイントが農耕の発達とは…生粋の農耕民族である日本人が保険好きの理由が垣間見れたような気がして複雑な気分です。

参考文献


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