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龍が如くやったことないけど


■公園に来ました。



■公園に来すぎてない?



■公園に来ました。(n回目)



■公園に来たしか書くことないの?



■は?ないが??


■公園に来たことを書いていいのは5回までみたいなルールでもあるんですか???!!!!!

■そんなに惚れた腫れたスッタモンダの話が聞きたけりゃNetflixでザ・ジレンマ観てなさいよ!!!!!!!!!!!!!!!!

■あーーーーーUNOって言ってない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


■大きい声を出したかっただけです。スッキリしました。



■実際、散歩ついでに公園に立ち寄ることが多すぎて、このnoteも公園日記に近くなってきた。いっそタイトルこれにしちゃおうかな。


■”20代独身女性のワクワク公園記”



■…。

■私っていま家無いんだっけ?

■色んなドサクサに紛れてホームをレスしてしまった?


■せっかくなので公園で起きた出来事でも書こうかな。


■夜、いつものように自転車を走らせて公園に行った。

■ベンチに座り、ボーッとした。


■満足するまでボーッとしたので、帰ろうと思い立ち上がったとき、隣のベンチで何かがキラッと何かが光った。


■おや、と思ってしばらく見ていると、また光った。見間違いじゃない。


■近づいて目を凝らしてみると、正体は古い携帯電話だった。今どき珍しいパカパカするタイプのガラケーだ。

■外側の小さな画面に「不在着信」と表示され、折り畳む部分についているライトが点滅を繰り返していた。


■私の中の天使が出てきて、耳元でささやいた。


天使:持ち主はさぞかし困っていることでしょう、交番に届けましょう


■了解、と私は携帯を拾い上げた。ちょっと距離はあるけど交番まで持っていこう。

■するとまたひとり、別の天使が現れた。


天使(2):お待ちなさい、ひょっとしたらこのガラケーはお年寄りのもので、家族が心配して電話を鳴らして探してるのかもしれません だったら電話に出てあげて、ひとまず携帯の無事をお知らせしてあげたほうが親切だと思います


■なるほど確かに、と思った。携帯をなくして途方にくれている小さなおばあちゃんの姿が浮かんだ。キツい。私はおばあちゃん子なのでそういうのに弱い。今すぐ安心させてあげたい。

■少しためらったけど携帯を開いてみた。同じ人物からの着信が立て続けに5件来ていた。

■もちろん実名は伏せるけど、「大島ダイゴ」みたいな感じのいかつめな名前だった。龍が如くのゲームに出てきそうだな、と思った。


天使(3):ひょっとしたら本当に、裏社会のヤバい取引に使われてる携帯なんじゃないの?極道たるものスマホは持たない、みたいな謎の信念とかありそうだし


■確かに、と思った。忘れ物にしては無造作感がないというか、あえてそこに置かれているような感じもする。


天使(3):闇の売人が物品を持ってきて電話で知らせるシステムになってんじゃね 余計なことしないほうがいいよ 触らぬ神に祟りなしだよ


天使(2):いや、でもさすがに今はヤクザもスマホ持ってるんじゃない?麻薬だろうが闇金だろうが取引するならLINEで連絡したほうが便利だし

天使(3):東城会グループLINEとかあったりして 「大島組に招待されました」みたいな 

天使(4):何その通知こわい 絶対に辞退したい

天使(5):退会しようもんなら2秒で殺されそうじゃん こわい


■困った。なんかいっぱい出てきてしまった。この状況のベストアンサーがわからない。(私の中には天使しかいない)

■交番に届けたとて、持ち主はそこにたどり着けるだろうか。着信5件ってことは急ぎの用事かもしれない。もし、家族が危篤状態で今すぐ来てくれとかだったら?今すぐ届けないと。

■そして、マジで闇の取引である可能性も否定はできない。2%くらい。

■下手に関わって秘密を知ってしまったら大島ダイゴに拉致されるかもしれない。せっかく20数年、人に殴られた経験なく生きてきたのだから拷問だけは勘弁してほしい。


■10分ほど夜の公園で立ち尽くして考えた。


■そして私が導き出した答えはこうだ。


「交番まで持っていって、いま交番に届けましたよという旨を電話で伝える」


■これが最適解だろう。天使も全員合意した。少なくとも携帯が無事であることはすぐに伝わるし、手放してしまえば私の身の安全も確保できる。


■そうと決まれば善は急げ。私は自転車を走らせた。


■交番の前に自転車を停め、ドキドキしながら携帯を開いた。

■心の中で予習をする。

■私はこの携帯を拾った者です 勝手に触るのもどうかと思ったのですが念のためご連絡させていただきました 〇〇交番に届けておきますのでよろしくお願いいたします

■よしこれでいこう。

■大島ダイゴ、大島ダイゴ、大島ダイゴ・・・と5つ並んだ不在着信の、一番上を選択して、発信ボタンを押した。


プルルル プル…


おう どうなってん



あの、すみません、私はこの携帯を拾った者です 勝手に触るのもどうかと思っ


あ?



えっと、あの、さっき公園で拾いまして、〇〇交番に届



あぁ、はいよろしく


プツッ



…。




■天龍源一郎みたいな声だった。


■マジでヤが付く人じゃねえかと思った。


■急にめちゃくちゃ怖くなってきて、交番に駆け込んだら、お巡りさんがどうされました?!みたいな感じで出てきた。

■携帯拾いましたって言ったら、あーはいはい書類作成するのでちょっとここに居てくださいと言われた。


■どこで拾ったとかの質問に答えながら、私はとにかくこのヤクザの携帯を早く手放したい一心だった。


■最後に、持ち主が見つかった場合、土井さんのご連絡先を教えて直接お礼してもらうこともできますけど、どうしますか?と聞かれた。


■大丈夫ですって言った。


■「直接お礼」という言葉がこんなにも恐ろしく聞こえたのは初めてだった。


■死んでも教えないでくださいと思った。


■では、持ち主が見つからなかった場合、この携帯を土井さんが受け取る権利もありますけどどうしますか?と聞かれた。


■頼むから焼却処分してくださいと思った。


■お巡りさんはご親切にありがとうございました~と言ってニコニコしていた。こっちは命懸けだぞと両肩持って揺さぶりたい気持ちをグッと堪え、自転車を爆漕ぎして帰った。


■よかれと思ってやったことは、必ずしも正解とは限らないのだ。


■アーメン



お先に失礼します。




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