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住宅会社の営業担当者のアプローチ(その1)

住宅会社の展示場やモデルハウスに行き、営業担当者の話を聞いていると、次第に「住宅が欲しいな」という気持ちになってきます。
それはなぜでしょう。
「口がうまいから」と世の中の人は言います。
そうなのでしょうか。
そもそも一般的な普通の人であれば、結婚し、子供が産まれ、家族が増えていく過程で”住宅は購入するもの”です。

30-40代のかたは周囲の同年代の方を振り返ってみてください。
多くの人はなんらかの「家」を購入しているのではないでしょうか。
統計を見ると世帯全体に占める持ち家率は60.9%。
全世帯で60%ということは、単身世帯や高齢世帯を除いた、住宅購入適齢世代に限れば、比率はさらに高まります。
改めて書くと普通の人は、”家を買う”のです。
住宅の営業担当者は、口がうまく、家を売り込んでいるというよりも、”家を買う”という当たり前の事実にお客様に気づいてもらうための説明、情報伝達が上手なのです。
それは、とてもロジカルな仕組みです。

まずはじめにやることは

まず、住宅会社の営業担当者がお客様と出会って最初にやることは、お客様ときちんとコミュニケーションができる関係性になることです。
住宅展示場やモデルハウスに訪問してすぐに、予算や年収、希望の間取りなどの会話はしません。
なぜなら、今、会ったばかりの人、住宅購入の経験がない人は、そのようなことを話すことはできないですし、そもそも予算や希望の間取り理解していない方から、聞いても、その段階ではあまり意味がないのです。

では、どうやってお客様と良好な関係を構築するのでしょうか。
それも、書いてしまえば当たり前のことです。

「人は最初は見た目」
・きちんとした服装。
・清潔感のある髪型。
・友好的な笑顔。
・そして、挨拶。

初めて展示場やモデルハウス、住宅会社のショールームに来たお客様でもそのように暖かく、丁寧にお迎えすれば当然、緊張感もほぐれます。

そして、少しづつ会話ができるようになれば、お客様と営業担当者の間に、何か共通点が見つけられると良いです。
共通の趣味や。
お子様の年齢が同じ。
出身地が同じなどです。
そのため、お客様より3〜10年ほど年上の営業担当者が一番共通点も多く、また少し人生の先輩として良好な関係がつくりやすいと言われています。
結果、その年代の営業担当者がトップセールスになりやすいでしょう。

信頼関係ができれば情報を伝達をすすめていく

そんなこんなで、一般的には最初は雑談をしながら、お客様と良好なコミニュケーションの関係性構築に努めます。
次第にお客様からも「家づくりや住宅購入における気になる部分」や「展示場・モデルハウスを見ていて思った」ことなど、家づくりにおける具体的な質問が出てきます。
その質問に回答しながら、家づくりにおける情報の量の差を埋めていきます。
聞かれたことに回答しながら、プラス1つや2つの知識を追加して、お返ししていきます。
また、ネットに情報が溢れている今、お客様がネットで調べて知っていることに対しても、
「こういう考え方もできますよ」
「メリットはこうですが、デメリットもあります」
とお客様の情報に付け足しして返していきます。

家づくり情報は何十年かけても知り得ることがないほどの情報の海です。
家づくりを始めたばかりのお客様に対して、住宅会社でそれなりに勉強して数年間過ごしてきたスタッフであれば圧倒的な知識の差が存在します。
そして、その知識の差をうまく順番に伝えていければ、信頼関係の構築ができます。
人は知らないことを教えられると相手を信頼するというのが一般的な心理です。

情報は説明よりも体感のほうが伝わりやすい

情報というのは口頭で伝えるだけよりも、目、耳、鼻、口、感触といった五感に複合的に訴えていくことで伝達精度が向上します。
また、数値やエピソード・事例で伝えることも効果的です。
そのため、展示場やモデルハウスには、いろいろな体験ツールやわかりやすい模型、統計データなどの資料、お客様の属性にあわせて伝えるための資料がたくさんおいてあります。

そして、工場見学や構造見学会、宿泊体験や耐震体験など、体験型のイベントを案内し、次のアポを取ることによってお客様との関係性はさらに深まっていきます。
マンションや建売住宅の会社では、他の物件見学が次のイベントになるでしょう。
(但しマンションや建売住宅といったそこにある唯一のものは、「売れてしまうかもしれない」という心理が有効に働くので、注文住宅に比べれば関係性構築は重要ではありません。)

他社に対する自社の優位性や、家づくりの流れ、予算の確認など、多くの情報をやりとりしなければいけない家づくりにおいて、1回お会いしただけで、情報は伝えきれません。
とにかく「もう一度あっても良いかな」と思ってもらえる信頼関係と
「この人物知りだな」と思ってもらうことで、家を買うべきという情報伝達が可能になるのです。

次回も、もう少し住宅営業担当者が実施する具体的な営業アプローチの心理的背景について書いてみようと思います。


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