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【インタビュー】飾らないストーリー。「ヒヨリノアメ」、雨と仲間と本当のこと。

どうも、葉月です。
久しぶりに日本語綴ってる気もするのですが、
ここで一番最近の投稿も私だったんですね。

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そして前回の「それでも世界が続くなら」の取材に引き続き
今回も、私の好きなバンドに取材してきました。
お忙しい中、こんな大学生に快く取材を許可してくれた素敵なバンドです。

ヒヨリノアメ」っていう4ピースバンドです。
バンドのこと、飾らずに盛り沢山で話してくれたので
私もできるだけまっすぐに文字にしてみます。
だからまた長いです。何回かにわけてもいいから読んでほしい。

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「ヒヨリノアメ」結成ストーリー

ー最初に「ヒヨリノアメ」を結成したきっかけは?

AKI:ずっとバンドをやりたかったんですけど、入った高校に軽音楽部が無くてバンドを組む友達もいなくて。しょうがないから地元で一人で弾き語りをして歌い始めたんです。
その後、知り合いもいなかったから、初めてライブで歌った時に隅っこにいたんですけど「さっきの曲めっちゃ良かったよ」っておはぎさん(Ba:萩谷)が声をかけてくれて仲良くなりました。
それから高校2年生の夏に、山崎さん(Dr)が「AKIの歌が好きだからバンドやらない?」って誘ってくれました。メンバーがいないんですって相談したら、ピアノが弾ける中学の同級生と前のバンドのベースがいるから連れてくるよって。そしてスタジオに入って、結成しました。

ーちなみに「さっきの曲よかった」って、AKIくんは何を歌ったんですか。

萩谷:カバーなんですけど、KANA-BOONの「眠れる森の君のために」っていう曲です。
AKI:「俺も好きなんだよね!」みたいな感じだったよね。
萩谷:そうそうそうそう!
AKI:意外と珍しかったんですよ、それを歌う人。
萩谷:それ選曲するんだ…コイツ音楽の趣味合うなって思ったんですよね。

バンド名につく「アメ」へのオモイ

ー「ヒヨリノアメ」っていうバンド名。雨に込められた思いって?

AKI:正直、後からついてきたんです。最初はスタジオの時、毎回雨が降ってたから「アメ」ってつけるしかないでしょ!みたいな感じでした。でも、合うなとは思ってたよ。
大橋:雰囲気ね!
AKI:メンバーの感じとか、これからやりたい曲にも「アメ」って言葉は合うなって。

ー雨、嫌だなって思う人多いと思うんですけど「アメ」がつくバンドの曲聴いてると、別に嫌じゃないかもって思ったりするんですよね…。でも、ライブの後も雨降ってることが多くないですか。ライブハウスでたら雨、みたいな。

AKI:俺らはそうだね、帰りは雨降る!
萩谷:俺は晴れ男で、俺が入ってからあまり降らなくなった…
AKI:一時期は10回ライブやって8回くらいは雨降ってたね。梅雨の時期とかじゃなくても偶に降る雨が全部、俺らのライブの日。

私も彼らのライブに行くことがあるんですけど
その日だけじゃなくて
今日雨降ってるなって思ったら
彼らが何処かでライブしてる日だったり
奇跡みたいな感じですよね

嘘じゃない、ノンフィクションの音楽ができるまで

ー普段は、どういう風に曲を作っているんですか。

AKI:普段はだいたい、俺がギター1本で弾き語りで作ります。曲が全部即興なんですよ。基本はギター弾きながらその時思ったこととか、前思っていたことを思い出しながら、歌詞とメロディとコードを同時につけていきます。それを30分くらいずっと撮って、後から聴いて「やりたいな」って曲をメンバーに聴かせたりアレンジつけたりして共有します。

ーAKIくんが歌う新曲をSNSで見てから、バンド全体で曲を披露するまでの時間がすごい早い気がするんです。

萩谷:それはAKIが「歌いたい!」ってなっちゃうから「やるか!」って。
AKI:その時思ってることじゃないと歌えないんですよ。アーティストとしてそれができる人もいるけど、俺はできないタイプなので。新しい自分の気持ちとか思いが新曲にあるから、セットリストもどんどん古い順番で削られていっちゃいます。メンバーが渋っても「こうして」って俺が形にしちゃう。それくらいやりたいんです。

ー渋ることもあるんですか!

AKI:全然ありますよ!
萩谷:しっくりこないときもあるよ。
AKI:間に合わないって雰囲気があっても「やる。できる。とりあえずこう弾いて」って…スピード早いかもね!2時間くらいで出来るか。
大橋:合わせた時に大体みんなバッて決まるんですよ。録音して、聴いて、これはこっちのほうがいいねってアレンジしたり。
AKI:俺らは即興でその場で思ったようにやるバンドなんです。俺の頭の中にある「これはこう」っていうのは伝えるけど、それ以外はメンバーのやりたいようにやってもらってます。
大橋:最近は「この曲どんな雰囲気なの」って聞いて合わせるね。歌詞は超大事!
萩谷:歌詞は一番大事かな。
AKI:歌詞でわかってくれて自分なりに合わせて弾いてくれるから、すぐにできちゃうね。

ヒヨリノアメ4人の大事な思い出

ーみんな仲が良いっていうイメージがあるんですけど、喧嘩ってしないんですか?

萩谷:喧嘩はないよね。謎の気まずい空気が流れることはあるけど…。それを察して、ヒヨリノミっていう飲み会を開いて、その都度バカ飲みして仲直りっていうかね…なんだろうね(笑)
大橋:それぞれ思ってる本音を言う会、みたいなね。
AKI:みんな言えないタイプだからね。でも、仲直りってくらい喧嘩したことはなくない?
萩谷・大橋:ないない!
AKI:話さなくなることもないしね。
大橋:イライラしてもみんな察するし、すぐ治る。
AKI:自分が悪い時は悪いってわかってるし、すぐどうでもよくなっちゃうってのもわかってるから、みんな放っておいてくれる。

ー逆に4人での思い出を教えてください。ライブとかでもいいです

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AKI:4月28日の下北沢REVERSEっていう自主企画のサーキットイベント。俺はあの日ですね。今まで出会った本当に好きなバンドが沢山いて、出てくれるっていうのが嬉しかったんです。ずっと憧れてた下北沢QUEと、ずっとお世話になってたMOSAICの2会場で出来たし、ストーリーがある日でした。夢みたいな日。不安や大変だったのもあると思うけど、7月31日のデビューに繋がるちょっとした自信というか、その日は嬉しかったんです。
萩谷:8月27日の吉祥寺での全国リリースのツアー初日。出演バンド(それでも世界が続くなら・THURSDAY'S YOUTH・Broken my toybox)3つとも「レコ発おめでとう!」っていう雰囲気ではなく、純粋にライブをしてくれたんです。3バンドとも大好きだからすごい嬉しかったし、俺らも1番良いライブが出来たなって個人的に思いました。AKIも本当のことを言ってたし、ライブ中に楽しくて笑ったのも久しぶりだったので、みんなリアルでいいなって。最近だと一番印象に残ってますね。
大橋:去年の非暴力フェスっていつだっけ…
萩谷:5月5日!
AKI:あ、耳が聞こえなくなったから?
大橋:それも勿論あるけど、それでも世界が続くならと初めて対バンした日が非暴力フェスで…。AKIがずっと憧れてたバンドと対バンできたのはメンバーとして嬉しかったんです。
AKI:そうだったんだ…
大橋:それがきっかけで、それでも世界が続くならと繋がれたし、今は篠さん(それでも世界が続くなら Vo:篠塚)がプロデュースしてくれる関係にもなれたきっかけのライブで、印象に残ってます。

ーその日が、それでも世界が続くならと繋がるきっかけだったんですね

大橋:初めてのコンタクトでしたね。
萩谷:その後、篠さんから「最近どうなの?」って連絡があって。会う機会があって、「よかったらうちでやらない?」ってLow-Fi Recordsに誘ってもらいました。

ーあ、それまでに篠塚さんとは会っていたんですか?

萩谷:ちゃんと話したのは5月5日が初めてです。でもその前に、それでも世界が続くならの「水色の反撃」のカバーをあげていたので、反応してくれていたんです。
AKI:俺らから近づいたっていうより、来てくれたよね。俺はプライベートとかあんまり知りたくないから、好きなバンドとは距離置きたくて無理に話したりしてなかったもん。でも篠さんは、なんでも聞けるし普通に話せるって初めて思えたんです。自然な感じでした。そしたら実は俺らのこと、気にかけてくれてた感じですね。

ー先日、篠塚さんにお話伺ったときもヒヨリノアメのこと話してました。「俺らの隣空いてるよ」って言ったら隣に来るようなバンドだって。

AKI:そうなの?!すごいね!
萩谷:確かに、メンバーの感じとか雰囲気が似てるんですよね。篠さんがそう言ってくれて嬉しいです。

家族とかじゃないけど
心地よい空気が彼らのなかに流れていた
なんでもそうだけど
強い絆に勝るものって無いと私はずっと思ってる
だからヒヨリノアメ
改めて素敵なバンドだと思った

今までのライブ、今のライブ。

ー過去に、映像を使ったライブがありましたよね。

AKI:2回くらいやりましたね。
萩谷:視覚的にも歌詞と映像があった方がいいかもって挑戦したけれど、無くてもAKIの歌なら伝わるってなったんです。ただそれが、今のライブのスタイルにも繋がってます。
AKI:前までは、音楽以外の何かプラス要素がないと、ライブで自分の思ってること全てを伝える自信がありませんでした。でも映像より、俺らが頑張って弾いて歌ってる生のライブを見て欲しかったことに気づいたんです。だから、俺らのライブとは合わないかなって思い始めました。メンバーも「AKIの歌なら思い切りいけば大丈夫」って言ってくれて、歌詞が聞こえるように調整しようかってそういうところを気にし始めました。内向きだったものが、外に聞こえるようになった感じです。本来だったら、音楽って路上でも何処でもギター1本持って歌って、髪がボサボサでも服がボロボロでも、絶対感動するはずだと思ってるんです。俺はそういうのをやりたかったんですよ。歌詞を表示すると、発表って感じしません?

ー映像に集中しちゃいますね。

AKI:しちゃうしちゃう!ただ、映像とか音楽を作るのも考えるのも好きで面白いんで、イベントとかで偶にはやりたいですね。

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今までのツアー、今のツアー。

ー2018年「傘とシンデレラ」発売時の全国ツアーについて聞きたいです

萩谷:辛かったです!
大橋:間違いないね!
萩谷:布団で寝れるのがめちゃくちゃ嬉しかったです(笑)3日連続で、車中泊とかスーパー銭湯のスペースで寝たりしましたね。20箇所くらい周ったんでそれが3回くらいあったり…
AKI:今みたいに地方各地に来てくれる人がいたわけじゃなかったんです。現実見た感はあったね。
萩谷:ずっと現実つきつけられてる感じ(笑)
AKI:俺も相当あの時は悩んだ…
萩谷:みんなもピリピリしてたしね。
大橋:疲れとかもあったからね、しょうがない。
萩谷:逆にこの前のツアーの2日間は、すごい楽しかった!
AKI・大橋:楽しかった!

10/19のワンマンは、たくさんの大切が詰まってる日。

全国デビューアルバム「記憶の片隅に」リリース記念として、10月19日に吉祥寺PlanetKで行われる東京初のワンマンライブ。そのライブについても話してもらいました。

萩谷:ザキヤマ(Dr:山崎)と4人でやる最後のライブ。やりたい曲全部やりたいな。
AKI:都内初ワンマンで、結成4年で、ドラムが辞める…。楽しみなんですけど、俺、めっちゃ怖い!プレッシャーみたいなのがちょっとあるんです。誰かが「よくないライブだった」って言っても、自分が「よかった。楽しかった。いい日だった」って思えたらそれでいいと思ってます。だから自分の気持ち次第なんですけど、色々と重なりすぎて、追いつけるかが怖いです。「よかったね、今日」って言いたいんですよ。その日くらいはその日のことしか考えたくないですね。でもかなり意味がある日なので、頑張りたいと思います。
大橋:最近ライブのときに、山崎とのライブが残り何回って話をしたり、自分でも思ったりするんですよ。辞めないならこの後もずっとライブは続いて、いつも通り頑張ろうぜ!ってなるかもしれないけど、残りの数が見えると違う気持ちがでてくるわけで…。山崎も俺らもみんな、悲しいとかじゃなくて、やりきって、楽しい思い出になればなって思います。

彼らの曲「東京」
彼らが上京してからのストーリーを聴いた。
ここには書いてないけれど
書けないけれど
大変だったなんて言葉で表せない
想像したとしても本人たちにしかわからないような経験。
それでも「前に、前に」って進んできたヒヨリノアメが
その東京でワンマンライブを行う。
そして、その最初を最後として挑む彼ら。
今回不在だった山崎さんのことも
取材中に何度も話してくれた。
最後には、笑顔でライブハウスから帰れる
そんな気もした。

ヒヨリノアメと話してるといつも驚くことがある。
彼らは大学生の私たちと同年代。
でも自分の思いを伝えるときの言葉全部、芯が太く存在している。
多分ね、ただボケっと生きてただけじゃできない話し方なんだ。
それがいつも格好良く見えてる。
同年代とは思えないようなさ、すごいんだよ。
きっとわかると思う。
ヒヨリノアメは、
音楽の流行りを歌うような
「ただ売れたい」バンドなんかじゃない。

(取材:栞奈、葉月/文:葉月/取材写真:葉月)


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