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【インタビュー】隣で話そうよ、「それでも世界が続くなら」活動再開するってさ。

前回に引き続き、音楽についてのnoteを1つ。
でもちょっと、特別編です。長いけど読んでほしい。

例えばこう、自分を見失ったりする時期がある
そんな時に「それでも君は1人じゃないよ」ってことを
そっと教えてくれるような、優しい音楽を歌うバンドがあって。
そのバンドっていうのが、
2018年9月に活動休止を発表して
2019年9月に活動再開を発表した
それでも世界が続くなら」っていうバンド。

どうしても…って、こっそりダメ元でメール取材許可お願いした。
緊張したけれどこの日
vo/gt.篠塚将行さんが私たちのためにお話してくれました。
そのこと、ここで書かせてください。

バンドについて

ーまず、バンド名はなぜ「それでも世界が続くなら」?

最初は、バンド名はいらないかなって思ってた。
高校の同級生と長く続けてたバンドが続けられなくなった時に「音楽やめよう」と思った。
例えば、とか希望があればバンド名つけて「売れたい」ってあると思うけど、音楽とか言葉って人に伝わるんだな〜っていうのとは逆で、そのバンドやってた時に伝わらないってことが証明された。
でも他にやりたいこともなくて、好きなものも音楽だけだった。だから結局やっちゃった。伝わらないからやらないんじゃなくて、伝わらないけどでもやろうかなって。
当時、文章のバンド名って全然なくて。バンド名ぽくないほうがいいなって思ったのと、あとは「続き」っていう言葉をいれたくて「それでも世界が続くなら」っていうバンド名にした。

続きって前のバンドの続きっていうことですか?

それもそうだし、あとは人生の続き。人生って学生時代とか生まれた時があって…ていう地続きだと思うから。
商品名みたいなのはなくていいかな、俺は俺だしな、いいかなって。

なるほどカッコいい
言葉って人に届かない。
どこかで折れてしまったりするんだ
「伝わらなくてもやった」篠塚さん、強いなって。

音楽について

音楽を始めたきっかけなどはありましたか?

保育園の時に習ってたピアノ。片親で教師だった母親が、俺に習い事をたくさんさせててたうちの1つがピアノだった。だから完全にそれだったはず。そして落書きの延長で曲を作ってた。自分の相談とかはあまり人にしたことがなかったんだけど、曲を作ったらすごい楽になった。崇高な目的があったんじゃなくて、誰かに話すような感覚で曲を作ってて。相談相手みたいな、今も多分そう。

バンドを始めたのは?

バンドは、自分からっていうより誘われたから始めた。
高校生の時に、不登校で音楽室で授業を受けてたりギターを弾いてたら、空気を読めない男の子が「君が学校で一番ギター上手なんでしょ!俺と一緒にバンドやろう!」って。どう考えても、笑いものだった俺を誘っちゃダメでしょ〜、って思ってたけど根負けした。1回だけ…ってそのままバンドを始めた。俺の場合は周りに引っ張られたっていう感じ。

ーうわ。素敵じゃないですか。

うん。俺にとってバンドは漫画みたいだな。友達ができる数少ない方法だったりもしたから、今日まで続けられたんだとも思う。ただ、逆に言えば受動的だし、格好悪い話だと思うよ。

ーそうですかね。自分主体で語る人が多いけれど、受動的ってこと気づいて話せるの格好いいと思いました。

確かにね。
音楽とか芸術って「自由」って言われるじゃん。でも意外とそうじゃない。どこか自分に自信がある人が多くて、人に好かれると思ってやってる人が多い。でも俺は、自信のないような人の音楽が聴きたかったし、テレビの音楽じゃない音楽が聴きたかった。なのに結局、クラスで悪口を言ってるような人気者が人気で意外と自由じゃない。「いじめとか格好悪い」って歌うバンドいないの?学校より学校じゃん!って思って嫌だった。
俺がバンドやめたらそんな人ばっかりになっちゃうから、席をどかないって意地で今日までバンドやってる。人に求められたり、好かれたりしなくても関係ない。ライブハウスでライブやるバンドの中の1人でいることに、音楽をやり続ける意味がある。俺がいなきゃ自由じゃないじゃんっていう。いつかそんなバンドがでてきた時に「あ、俺の隣だったら空いてるよ」って言える人になりたかった。

篠塚さんの音楽に対する気持ちに泣いた
何回か取材中泣いたけど
直接こんなに優しい話を聞けてよかったって思うんだよね

曲について

ー次に「水色の反撃」という曲について。「水色」が気になるんですよね、割と好かれる色じゃないですか。

あまり聞かれたことないから、嬉しいな。例え話じゃないからね、そういう子が実際にいたの。

ー嫌いな色をあえて使う。その子の勇気がすごいなって。

絵とかだったらそうかもね。でも、普段の生活で普通にしてるんだと思う。苦手だけどやってるとか、気持ちと一致しない行動をとってたりね。
辛いって簡単に言えなかったその子が「私はこれが嫌い」って言ってる気がした。なかなかそう生きていけないじゃない。
俺たち、空気を読むっていう程度の理由で、苦しいことを我慢してたりするけど、よく考えたら意味わかんない。俺たちの普通ってすげえおかしくないかって思って書いた曲。今もその考えは変わらないけどね。
わりと歌ってることと伝えたいことがそのままの曲ばかりだから、質問してがっかりしちゃうかもね。

ー メッセージを遠回りせずに伝えてくれてる音楽、がっかりなんてしません。「それでも世界が続くなら」は私が高校生の時から知っていたんです。でも、悩みも経験も浅かった当時はハマらなくて。色々考え出すようになった大学生になってから聴くようになったんですよね。

そうかもね、嬉しい。
音楽っていろんな楽しみ方があっていい。自分にとって音楽は。苦しい時や自分と向き合う時間に聴くもの。自分のことだから複雑だけど、こんな動機で生まれる俺らの曲にあんまりハマらないっていうことは多分いいこと。元気な時に薬って飲むものじゃないじゃん。「猫が可愛い。よし、俺らの曲を聴こう」とか思わないし、ドライブとかで俺らの曲流さないでほしい...

ー確かに。でも逆に、友達が「それでも世界が続くなら」を好きでよかったって思った時があります。彼女が辛い時に何かできなくても「きっとこの曲が彼女の側にいるから…」っていう。一緒に居てくれてありがとうございます。この感謝を今日は篠塚さんに伝えたかったんです。

不思議な感じ。でもそうだよね。「ちゃんと薬飲んでくれてよかったな〜」って感じか、嬉しい。

「水色の反撃」っていう曲がやっぱり私は好き。
入りのギターもめちゃくちゃかっこいいんだよ
言葉じゃなくても、心に伝わる音がするんだ

活動再開について

Drツチヤカレンさんを迎え、
「それでも世界が続くなら(仮)」から
正式に(仮)がなくなる。
それに伴い、8月31日9月1日下北沢Club Queにて
彼らのワンマンライブが行われる。
加えて、同日(9月1日)
新アルバム「彼女はまだ音楽を辞めない」がリリースされる。


ー9月11日に新しくリリースされる中に「9月1日」って曲があって、その日にライブもあって。9月1日って何ですか?

9月1日は、統計的に見ても自殺者数がものすごく増える日なんだって。休み明けで学校や仕事に行きたくない…とか。

ーあ。じゃあ、ライブも曲もそういう方たちにむけて…?

なんとなく、活動再開するならその日だなって思った。
なにかできる!とかは思わないし、俺らは決して楽しいバンドじゃないかもしれないけど、どうせならさ。笑いながら死にたいって思ってる人が知らないどこかにいるんだろうなって、実体験込みでなんとなくわかる。難しいね...。

ーそうですよね、難しいこと聴いちゃってごめんなさい。

いやいや。「死にたい」って思う人がいるけど、興味本位や楽しみでそう思うわけじゃない。上手くいかなかったり、どうにもできなかったりで苦しくなって、死んだ方がマシだって感覚だと思う。だからたくさん傷つかなかったらそう思わないはず。「なんでお前が死なないといけないんだよ」って冷静に考えると悔しいけどね。
変な話だけど、普通のバンドでいたい。普通に話したい。友達と話すようなさ。俺いじめられっ子だったんだけど、同情する人・触れないようにする人・声をかけてくれる人みんな含めて、友達じゃない感じがするの。普通に接してくれる人がいないというか、助けてくれるにしても自然な付き合いをしたい。
ただ、9月1日のライブも活動再開も「みんなで生きよう決起集会」にしたいんじゃないし、むしろ全然思ってない。「ちょっと今日は集まってみるか…」って感覚かな。バンドやって音楽やっても神様じゃないし、人を救うとかできないかもしれないけど、友達として話聞くくらいならできる。そういう「俺何もできないけど、気にはしてるから」くらいの感覚だったかな。俺もそういう人間だから上からは語れない。一緒に隣に座って話すくらいならできそうな気がしたの。そういうバンドでいたいなって思うのよ。

このインタビューの後、
篠塚さんは私たちに悩みゴトを聞いてくれた
「君たちの1年後とか、またお話聞かせてよ」
学生といえどもさ
あくまでもインタビューしてる私たちに
こんなにも優しい言葉をかけてくれた。
それだけじゃなくて
1人1人、目をみて
全部の言葉に耳を向けて
顔をあげて話をしてくれる
篠塚さんとの時間が素直に嬉しかった

悩んだ時の応援SONGじゃなくて
薬になる優しい音楽を歌うバンドが
「それでも世界が続くなら」
新アルバム、ライブチケット等は
公式HPでGETできます
それではまた。

(取材:栞奈、葉月 文:葉月)


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