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マシュマロ長文回答(SNSの公私両義性、または逆有名税について)2024/3/12

マシュマロありがとうございます。

私は、お二人のどちらの考えも正しい部分があると思います。

確かに、どんな有名人でも嫌悪を表明する自由はあるでしょう。有名になったのだから、全員にいい格好をしろというのは、なんともおかしな倫理的要求です。

しかし一方で、SNSが発達した現代は、個々人がメディアを持っているようなものなのであって、特に有名人ともなれば、テレビや週刊誌などのようなマスコミに近い発信力を持ちます。いや、視聴者個々人の信念や行動に与える影響という点に着眼すれば、マスコミ以上とも言えるでしょう。

こういうちぐはぐな状況は、SNSという場が、公的でもあり、私的でもあるという、両義的な性格を持っているためです。SNSを、マスコミに近い公的領域だと見れば、他者への嫌悪や、アンチの扇動になるようなことを、公衆の面前で口にするなということになりますし、仲間内同士がおしゃべりするような私的領域とみなせば、自分のところのアカウントで感情を口にするぐらい、許されてしかるべきだということになる。

公的領域には、ルールやマナーが必要で、現実の社会では、長い年月をかけてそれが法や倫理といったかたちで形成されてきました。しかし、SNSという私的でも公的でもあるような場所における倫理というものは、まだ形成途上にあります。その途上性が、私的性質を絶対視する立場と、公的性質を絶対視する立場の、二つの両極端な立場に、お二人の友人を引き裂いてしまったのではないでしょうか。

たんにその有名人の行動に賛成するか、反対するかというところに話を持って行ってしまうと、その有名人への賛否や好悪の念が混ざってしまい、感情的になりやすい(そしてしばしば、SNSという場は、そういう好悪の念を増幅する装置となる)ので、話を抽象化して、様々な別の有名人や別のシチュエーションに置き換えて考えてみる(反転可能性テスト)ということが、お二人の間でできていれば、もう少し違った議論ができたかもしれませんね。


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