髑髏石

妄想文筆家。現実と妄想の間で駄文を書き散らす日々。パンチライン収集家。比喩マニア。たと…

髑髏石

妄想文筆家。現実と妄想の間で駄文を書き散らす日々。パンチライン収集家。比喩マニア。たとえツッコミ好き。エッセイ、ときどき短編小説。

最近の記事

キュウリを好きな自分が好き

小学校低学年の頃、野菜がそんなに好きではなかった。 もちろん中には好きな野菜もあった(ジャガイモとかレタスとか)けど、キュウリとかブロッコリーなどはどちらかといえば嫌いな部類だった気がする。もちろん一度口に放り込んでしまえば食べられるのだけれど。 ただ当然うちの母は、まるでお経を読むかのようにいかに野菜を食べることが体にいいかを僕と姉に毎日説明し続ける。その横で父は脇目もふらず黙々と野菜を食べている。 そんな食卓を毎日過ごしていると、僕の中では「野菜を食べる子=大人が認

    • おばあちゃんと消えた猫のこと

      僕が中1のころの冬、85才でおばあちゃんが亡くなった。 80才を過ぎた頃からすこし認知症気味だったけど、叔母とその家族と母が皆で協力して面倒をみていておかげで、おばあちゃんはかなり最後の頃まで自宅で暮らせていたのだった。 そしておばあちゃんには可愛がっていたモルという三毛の飼い猫がいた。 田舎なので当然のように猫は外飼いで、ご飯は白米に味噌汁をぶっかけたねこまんまをいつもあげていたのを覚えている。モルはおばあちゃんによく懐いていて、おばあちゃんが縁側で日向ぼっこをしてい

      • 最近の家族のこと

        最近は家族に会っていない。正月に帰って以来だ。 姉は僕とは生き方も考え方も正反対だし、服の好みも、本の好みも、食べ物の好みもまったく違う。かなり昔に男の好みを聞いたら、「外国人」と答えてきたようなざっくりとした人。 そして最近の姉からのLINEは、ほぼ自分の子供の写真ばかりで一方通行だ。 うちの母は、なにかプレゼントをしても金券以外は喜んだ試しがない。そしてたまに母に電話をしても、なかなか会話があまりかみ合わない。電話の最後の決まり文句は「どうせ私たちのことなんか忘れち

        • そのお弁当に詰まっていたもの

          高校生の頃、母がほぼ毎日持たせてくれるお弁当が実はあまり好きじゃなかった。 ぼくの母が詰めてくれるお弁当は、蓋を開けると思いっきり一方に片寄っていることがしょっちゅうだった。もちろん僕の運び方が多少乱暴なせいもあったかもしれないが、きっと母はごはんやおかずをぎゅっと詰めずにふわっと詰めていたんだと思う。そのくらい尋常じゃない片寄り方をしていた。 また母は肉じゃがを汁っぽいまま入れてしまうので、性能のあまりよろしくない当時のタッパーではその汁がこぼれてしまい、よく教科書の角

        キュウリを好きな自分が好き

          ラブレター渇望症

          ラブレターに憧れている。 たぶんかれこれ20年以上もらったことがないし、書いたこともない。 最後にもらったのは、たしか高3の時。若干記憶が定かじゃないけれど。 その時は同じクラスの大して仲良くもない女の子経由で、隣の女子校の生徒からのラブレターを手渡しされたのだった。 実は今となっては詳しい文面は覚えていない。たしか文化祭で見かけて気になったので一度会ってほしい、的な内容だった。 その時はどうせからかわれてるんだろうなと思いつつも、ラブレターを貰うというのは高校生男

          ラブレター渇望症

          父の癖と僕の夢

          僕の父は寡黙な人だった。それはもちろん家族の食卓においても。 家族揃っての夕食の時の父はいつも体ごと目の前にあるテレビの方を向いていて、後ろで一緒にご飯を食べている母や姉と僕の方を見て話すことは滅多にない。もちろん全く話さないわけではないけれど、話している間も父の顔がこちらを向くことはほとんどなかった。 なので父のことを思い出すと、TVを見ている横顔、それも2/3以上はほぼ後頭部な横顔が思い浮かぶ。 そんな父の口癖といえば「お父さんのテレビ(時代劇のこと)が始まった」と

          父の癖と僕の夢

          すれ違う「ごめんね」と気持ちのこと

          僕は人と揉めた時、どちらかというと早めに謝る方だ。 なぜかというと状況の整理は割と得意な方なので、自分の悪かったことについてはすぐに気づくから。 そして謝る時は、その相手に自分がなぜそういう行動や言動になってしまったのか、客観的に説明するのが筋だと思いこんでいた。「そういう言動や行動をしちゃったのは、こんな状況だったからなんだよ」という感じで、相手に自分のことを理解して欲しいがために。 でもそれはすべて自分都合の言い訳で只のみすぼらしい自己防衛なんだと、最近大切な人に見

          すれ違う「ごめんね」と気持ちのこと

          それは喧嘩ではない。

          最近、15年来の古い付き合いになる親友とちょっとした喧嘩をした。 いや、あれは喧嘩とも言えないものだった。 10日程前に、彼ともう1人の知人と3人で借りたばかりのシェアアトリエの改装作業の予定を調整している最中に、とつぜん怒りを含んだメッセージをFB経由で受信。 ただそれを読んだ時、僕は彼の怒りの理由がわからなくて戸惑った。 なぜなら僕はこれまで仕事やプライベートでいつもしていたように、3人の都合を効率よく付き合わせる為に「調整さん」を使って自分の都合を示しつつ、残り2

          それは喧嘩ではない。

          小学生下ネタ業界に関する女性進出動向について

          代休で平日休みだった昼下がり。 この日は思いっきり寝坊したせいで、自炊が面倒になり外で遅めのランチでもと、近所のアメリカンホームメイドスタイルの小さなハンバーガー屋さんへ。 そこは半年前にはオープンしていたのだけど、なんとなくタイミングが合わず行けてなかった店。 入ると若い男性店長とアルバイトの女性の2人が笑顔で出迎えてくれた。 そこはカウンター5席と4人掛けテーブル3席の小さな個人経営の店舗。 その日は僕以外にはお客さんの姿は無く、どちらかというと夜や週末に飲みに

          小学生下ネタ業界に関する女性進出動向について

          僕はなぜスピ系が苦手なのか

          わゆる「スピ系」の人が苦手だ。 たまたま昨日そっち系の人とランチをすることになり、1時間半ほど話を聞いていた。 でも最後の30分は相手の話を聞くいうよりは「自分はなぜこういう人が苦手なんだろう?」という理由探しをひたすらしていた。 ぼくは基本的に他人の信条や宗教、習慣は最大限尊重するべきだと思っている。 ただそれらが他人の同じようなものを侵害したりしなければ、という条件がつく。 そっち系の彼らがどんなことを信じていても、一向に構わない。 問題なのは、その彼らが信じ

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          I love youの日本語訳をアップデートする

          ふと考えた。 2020年現在、”I love you”を日本語訳したらどうなるのか? もちろんかの有名な夏目漱石の訳も、二葉亭四迷の訳もいまだに金字塔として残っている。 ただあの時代とは、日本人の恋愛感覚や言葉の使い方もコミュニケーションの方法も、アホほど変わった。 じゃあこの令和2年にリアルな日本語訳とはなんだろうか。 「手を繋ぎませんか」 ちょっと奥ゆかしい。 「タピる?」 友達同士じゃん。 「マジ卍」 ちょっと古いか。 「ワンチャンある?」 チャ

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          スパイスを炒ってるその時に

          ぼくはカレーが好きで、よく市販のルーを使わずにカレーをつくるんです。 あ、冒頭から自炊マウントみたいになっちゃいましたw でも肝心なのはそこじゃないんですよ。 この前、カブと鶏ひき肉のカレーを作ろうとして赤唐辛子をオリーブオイルで炒めてたんです。 そこにクミンシードを一掴み放り込んだ瞬間、ふわっと香ばしい香りがして、なんとも言えない多幸感が。 その刺激はなんか脳にダイレクトに伝わる根源的な感じがして、「この感覚はいったいナニ?」ってなる。 あのスパイス特有の「アハ

          スパイスを炒ってるその時に

          韓国美女とわさびの味

          その日、急に降って湧いた仕事で終電を逃して帰れなくなった僕。 その夜は会社の隣の駅のホステルに泊まることにした。 急遽予約したホステルに23時過ぎに到着。とりあえず自分のベッドに荷物を下ろし、食べる暇のなかった夕食をとる為にホステルの飲食スペースへ向かった。 そこには日本人は少なく、いろんな国の人が思い思いの過ごし方をしていた。 Bluetoothのイヤフォンで音楽を聴きながら、サンドイッチを頬張る180cm越えのアフリカ系のいかつい男性。 スマホでひたすら観光スポ

          韓国美女とわさびの味

          金曜の夜がいつも華やかなわけじゃない。

          華金の夜。 近所のお気に入りの飲み屋で飲んでいると、隣にいた飲み仲間のスマホの通知音がなった。 「あ、センパイから急いで電話くれってLINEがきた」 「へーなんだって?」 「.....。センパイの息子さんが自殺した」 センパイは行きつけのバルでよく合う5つ上くらいの音楽関係の人で、皆から通称「センパイ」と呼ばれていた。 センパイは数年前からまだ小学生くらいの息子をいつも一緒に連れて飲んでいた。今思うと離婚したせいで家に息子を置いて飲みに出かけられなかったのだろう。

          金曜の夜がいつも華やかなわけじゃない。

          あたりまえはうつろいやすい

          ‪ある日の帰宅途中。 自宅最寄り駅の階段を登っていてふと隣の下り階段に目をやると、色白で大人しそうな男の子が階段の中ほどに佇んでいる。 その後、彼はまるで生まれて初めて階段を降りる子供のように、手すりに上半身を預けながら身体を半身にして一歩ずつそろりそろりとホームを目指して降りていた。‬ 年齢は20代くらい、見た目は大学生風だけど内向的な雰囲気と繊細さが表情に出ている。 ‪きっと身体が不自由なのかと思い、彼を助けようかと一度は登りきった階段を降りかけたけれど、そのあま

          あたりまえはうつろいやすい

          台風15号とタイ人ママのあふれるナミダ

          台風15号が残した爪あとは、ぼくたちが予想していたよりもよっぽど大きかったみたいだ。 その証拠に、ぼくの友人が社長をつとめる東東京の商社の倉庫も台風上陸日の夜には床上浸水をしてしまったとか。 そのせいで彼の会社の商品のダンボールの一部が水に浸かってしまい、台風の夜が明けた月曜日には36度をゆうに越える暑さの中、一日中倉庫の後片付けに追われたらしい。 その友人に対するおつかれさまの意味も込めて、彼の倉庫からほど近いタイ料理のお店で夕飯を食べた。その友人社長はタイの企業との

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