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読書家の読んだきろく

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ワクワクした書籍のきろくを残しています。小説だいすきにんげん。いまは宗教学・政治学・自己啓発・社会学に興味しんしん。
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記事一覧

金子文子と現代英国の地べたの生活をリンクさせた『両手にトカレフ』は深く考え込んでしまう1冊

またまたブレイディみかこさん。 私はブレイディさんの書く文章が、使われている言葉が、思考回路が、大好きなのだ。 ただ、この本は今までと少し違う。 これまでは”ぼくイエ”のようにノンフィクション作品を多々出版されていた。 が、今回は小説なのだ。 小説といっても、これまでのブレイディさんの本を読んだ方ならわかるはず。 これは、結局のところ、ノンフィクションの集合体なんだろうな、と。 この本のあらすじは、こうだ。 金子文子。1903年1月神奈川県横浜市生まれ。アナキストである

誠心誠意誠実に『ジンセイハ、オンガクデアル』を読んで

久しぶりにnoteを開いた。 前回も少し触れたのだが、今月初めにワンピースの最新巻が出てから、1から読み直しをしていた。 そして、晴れて、昨日最新巻まで読み終えたのだ。 尾田さんって博識だね。この世界観を作り出しているって、ほんとすごい。 で、その間も読書はしていたのだが、いかんせんワンピースにさく時間が多すぎてnoteは更新する気になれなかった。 そんなこともあるよね。 で、久しぶりの更新を思い立つには、素敵な本との出会いがあったわけで。 またまたやっぱりブレイディみか

『君たちはどう生きるか』を読んで(2/2回目)

前回の投稿に引き続き、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』の備忘録を残しておく。 ※日にちが空いてしまったのは、ワンピースを1巻から読み返していたからだ。ニカが気になって気になって気になってさ。 そもそも、この本を読むに至ったのは、池上彰が書籍について解説する本を図書館で見かけたところに端を発する。 なんで解説してるんだ、という疑問を解消するため、隣にあったこの本を軽く立ち読みしていたのだ。 ただ、この時は別の本を借りて帰宅するのだが(他にも読みたい本がたくさんあった)、

『君たちはどう生きるか』を読んで(1/2回目)

ライフネット生命の出口さんが言っていた。 いや、いろんな書籍で出会った、いろんな人たちが言っている普遍的なことがある。 「古典を読め」 これは人間の真理や根っこを知る本を読めということなのかな、と今では解釈している。 で。 以前の私は「発行年の古い本を読んだって、こんなに移り変わりの早い時代に即したことなんて書いてないんじゃないか」っていう疑問がずっとあって。 なんとなく嫌煙していたのだ。 だって、みんな”読め”しか言わないんだもの。 ここまで書いて、ふと、この前読

”みんなちがってみんないい”が理想になってしまうのはなぜ?『他者と働く』を勧めたい理由

あなたの周りに”なんなんだこいつ!?”といって言ってしまいたくなるような言動をする人はいるだろうか。 いないと答えた方はこの本は必要ないかもしれないが、果たしてどれくらいの方が”いない”と答えることができるのだろうか。 多様性という言葉が多くのメディアで当たり前のように使われるようになり、金子みすずの詩『私と小鳥と鈴と』の意味を、1人1人が考えていかなければならなくなってきた。 ただ、一方で、こうした様々な意見が飛び交うような問題に直面すると、理想と現実とのギャップに頭を

嫁と姑は交わりにくい『他社の靴を履く』はエンパシー概論としておすすめな1冊

わたしの読書は近所の図書館で本を借りるところから始まる。 その図書館はそこそこ大きく、利用者数もそこそこ多い。 そこで新書を借りるというのは至難のわざで、今回読んだ本は発売から1年経過しているにも関わらず、4ヶ月ほど待った。 多くの方がそれほどまでに”エンパシー”という言葉に興味を持ったのだろうし、ブレイディみかこの語るエンパシー論を読んでみたかったのではないだろうか。 そもそもの蔵書数が1冊しかないのだけれども。 で、そもそもこの本が刊行された理由に”エンパシーという単語

いまの仕事を続けることに不安を抱える方へ『働き方5.0』はモヤモヤを消してくれる本、でした。

だれかのnoteに「最近の書籍のタイトルに"〇〇 2.0"って多い」とあって。 たしかに!!と思っていた矢先に、図書館で本書を見つけた。 ふだん見ない棚に紛れていて「私が司書さんだったらここやなくて、あっちに置くな」と、偉そうなこと考えながら、スルッと棚から取り、貸し出しカウンターへ。 書籍タイトルのマーケティング戦略に負けたわけだが、どうせカウンターのお姉さんしかこの敗北を知らないのだから、まぁ負けておこう。 なんて踏ん反り返っていた。 だがしかし、タイトルだけではなかった

人生が嫌になったら『水やりはいつも深夜だけど』で自分を客観視してみよう

窪美澄さん。「夜に星を放つ」が直木賞を受賞されましたね。 ミーハーな私は読みたくて近所の図書館で予約をしたが、 23人待ちという果てしない人数を前に購入を検討中。 蔵書1冊を、1人2週間借りられ、予約本の受け取りは1週間の猶予があるとなると、私の順番は1年以上先になるのだ。 蔵書増えないかな。。。 ある人と会話をしていたときに、 ん?と引っかかることがあった。 会話相手には姉が2人いるそうなのだが、 長女のことをやり玉に挙げてこう言った。 「あの人は何も苦労せずに過ごして

泣きたい方へ📚恋愛×ミステリー『スザンヌの日記』が涙活におすすめ

これまでの人生でいっちばん泣いた本は何か? わたしはこれ。 ジェイムズ・パタースン著『スザンヌの日記』2002/5/1発行・ヴィレッジブックス こちらの本はアメリカのラブストーリーだ。 そして名作だ。 わたしは中学3年生の時に出会ったが、今でも名作だと思っている。 【あらすじ】 この物語は女性編集者のケイティと詩人のマットが別れたところからはじまる。愛していたマットとの別れに、打ちひしがれているケイティ。そんな失恋の痛みをなんとか乗り越えようとするケイティの元にマットか

noteのフォロワー数に伸び悩んでいる方へ『あえて数字からおりる働き方』で思考を変化させる

尾原和啓さんの本をここに記録として残すのは2冊目になる。 『どこでも誰とでも働ける』が無職のアラサーお気に入り本になったため、まだこれから先のお金稼ぎについて何も定まっていない段階から”働き方”の本を読んでみた。 いや、定まっていない今だからこそ読んでしかるべきタイミングだったのだろう。 少し脱線するが、読書についてショーペンハウエルは以下のように記している。 痛烈である。 世間一般的には”本を読む””新聞を読む”ことは推奨されることだが、さてそれでは役に立たないらしい。

夢を諦めたすべての方へ『空想教室』は次に進める原動力を補給してくれる

辞書で”夢”の意味を調べたことがあるだろうか? Google先生では以下のようにある。 なんとなく”非現実的なもの”という印象を与える。 実際、夢という言葉に対して”叶わないもの”というイメージを持つ人も多いのではないか。 そういえば、先日ショッピングモールに遊びに行った時に、七夕の笹が飾られていた。まだ拙い文字で”サッカー選手になりたい””ドリブルが上手くなりたい”といった短冊がつるされていた。微笑ましく読んでいると”ランボルギーニに乗りたい”とでっかく書かれた短冊を見

続・ポピュリズムを知りたい方へ『民主政とポピュリズム』は日本の現状理解を助けてくれる

また、昨日に引き続き、ポピュリズム。 なんだか気になる存在。 決して恋ではない。 でも気になる。 そんな私の頭の中は現時点でこんな感じだ。 今朝、目覚めたときはこうだった。 恋する乙女全開の脳内模様だ。 こんなグラフは初めて作った。 案外いい。 自分を客観視できる。 ちなみに政治に対する壁を感じている方は 昨日noteに記録した『統合欧州の危うい「いま」』をご紹介する。 著者は社会学者で、また違った視点で政治について学べるかも知れない。 ちなみに好き嫌いは真っ二つに分か

ポピュリズムを知りたい方へ『統合欧州の危うい「いま」』はファンキーな教科書だった

私はクレイジーな人が好きだ。 見ていて(または読んでいて)スカッとしたり、ははっと笑ってしまったりする。 ちょっとした憧れの眼差しを含んでいるのかもしれない。 そんなことで、先に断っておきたいのだが、私にとっての”クレイジー”は最高峰の賞賛を表しているという点だ。 今回記録として残す書籍はなかなかクレイジーだ。 著者ワールド全開。 読み進めていくとなんだか笑っちゃう。 決して笑い話が書いているわけではないのだが もう1回言っちゃうと、なんだか笑っちゃう。 注意しておくがバカ

情報収集に差をつけたい方へ『考える力がつく本』にヒントがある。

「私は考える力」がある。 胸を張って言い切れる大人はどれくらいいるだろうか。 またどれほどの力があるのだろうか。 私は意地悪だから、うがったものの見方をしてしまう。 そもそも考える力ってなんだろう? どんな力だと思いますか? 著者の池上さんの著書ではこのように記されている。 また”考える”の意味をGoogle先生に質問してみたところ下記の回答を得た。 確かに、考えるという行為はインプット量に比例して小難しくなる。 小難しくなる現象は、誰しもが経験したことがあるのではな