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ちょいと1500kmほどドライブ@高知

4年前に初めて訪れたのは、息子の大学の入学のときだった。
あれから4年経ったんだと路面電車をみながら思う。
そのまま高知で就職をきめた息子の引っ越しの手伝いや書類の押印のためと言い訳をして何度めかの旅行にでかけた。
夜明け前に家を出て雨のなか480kmを走り昼前に着いた。
土砂降りのなか引っ越しの手伝いや新しい部屋の保証人の署名や押印をしたのち土佐山にある宿へ向かう。


宿周辺の風景

雨はあがったが着いたときにはすでに夕刻。
ひとりで宿の周辺をカメラを持ち散策。
桜はまだ早く、菜の花が多く咲いていた。

さくらと菜の花
うめと菜の花

正直にいえばさほど心が動く風景もない。
そんななかで畑焼きをしている人がいたので、構図を探してみたんだけど今ひとうつかな。

野焼きの風景

なんだかなぁ、と思っている眼の前を蝶がとんだ。
一瞬ハッとしたけどクロコノマチョウだった。こんなに苦労してやってこればすごい風景やすごい蝶がまっててくれているに違いない、と勝手な思い込みが霞んでいく。「いつもの森」では感動している雲にむせぶ山でさえ気持ちはあがってこなかった。

雲にむせぶ
きり深しやま

ただ、空が晴れてきた。もしかしたら満天の星が見えるかもしれない。
ひさびさに天体写真でも撮ろうかな、と三脚を部屋にもちこみ気を取り戻してみるも、月が明るすぎてオリオンぐらいの明るい星しか見えなかった。
しかたなく、月を撮ってみる。

朧月

翌朝、部屋のベランダからしたを覗いてみると川の岸に摘み取られなかったフキノトウが沢山咲いている。そのなかの岩がらみのものを望遠で切り取る。

岸辺のフキノトウ

さて、二日目は人生初の足摺岬まで行く。
ありがちなことなんだけど、同じ県だから簡単にいけると思ってしまったり、卓上の日本地図をみてるとめっちゃ近そうだと思っても、実際には遠かったりする、その実際だった。土佐山から足摺岬まで168km、しかも半分くらいは下道なのだ。
それでも高知のまんなかあたりから西に向かってで、東に向かっても同じくらいありそうだ。走ってみてわかる。高知県は広いのだ。
でもまあ、以前テレビジョンの特集でみた四万十川の最下流、海との接点で色が変わる大河川の大スペクタルを見よう、意気揚々と向かってみた。

四万十川と太平洋の堺

なんとかついたら、河口は工事現場たった^^;。
しかも、あの大スペクタルは皆無。ただの水。かなり沖のほうは青かったのだが、テレビでみたようなくっきりした境界なんて分かりはしない。
やっぱりTVは、詐欺だ、ハッタリだ、やらせだ、空撮だぁ、と叫びながら、誰もいない工事現場を脇をトボトボと歩くファミリー。笑
まあ、すごい、と思わせるような大スペクタルなら観光地化されているわな。

息子の案内で四万十川の天然ウナギを食べることのできる店へ昼食へ。
価格が髙いことは分かっているけど、この際ということで乗り込んでみたものの天然ウナギ漁の解禁は4月ということで、こちらも早すぎた。
小さい天然ウナギの天ぷらは食べられるということで、それを食べたけど、うまかったな。そもそもウナギの天ぷらってのも初めてなんだけどね。

さて、もう寄るところもないので、足摺岬はむかう。
足摺岬の展望台から太平洋を望む。
たしかに雄大だけれども、日本は島国。この手の雄大はけっこうあるんだよね。

足摺岬の灯台
展望台から眼下を臨む
奇岩スポット

ガイドブックに乗っているような写真をとりながら足摺岬あたりを散策。
さっそく宿へいき温泉に入ったけど、写真的にはどうしても納得ができない。それで夕日ハンターとして初めての岬を右往左往。
車を走らせながら夕日スポットを探すが、どうも納得できない。

足摺のすすきと落ち日

ただ夕日だ夕焼けだってのを撮っても足摺っぽさがないとここまできたかいがないじゃないか。ってことで、灯台と夕日という設定で最初の展望台に戻るが、そこからは海に夕日が落ちないことを知ったのはすでに日の入りのあと。ちゅうか、夕焼けにならなかったし。トホホ。

ということで日の出にトライ。
息子を誘い、日の出20分まえからスタンバイ。
もちろん寒い、くそ寒い。
それでも日の出時間6時11分に近づくと、すこしずつ人も集まってきた。
うん、これだけ集まれば期待できる。
って、お日様にとってギャラリーの数は関係ありませんから、ざんね〜ん。
と、またギター侍が登場してしまった。

日の出まえの灯台
足摺の海岸の岩と朝日
ギャラリーの数を無視する朝日

なんとか足摺岬の日の出ということを表現しようと手前の岩までふくめて広角でとってはみるものの、なんともならず、望遠でとったらどこの日の出か全く分からず、というか、日の出そのものがショボかったし、寒いし、眠いし、早速宿に戻り温泉にはいりながら、息子に語った。
人生とはこんなもんなんです。空振りの数で人生の深みが増すのです。
息子は感じ入るように「はい」と2回くりかえした。
・・・・・はいはい。

この宿には「秘密の入江」というのがあって、ウミガメやイルカが来ることがある張り紙がしてあった。
宿のイタリアンレストランの若いボーイさんと話をしていたら、ウミガメは結構くると言う。さらにはとなりの松尾漁港のほうが確立は髙いと教えてくれた。
なのでとりあえず、秘密の入江に下っていったがもちろんウミガメもイルカもいるかいな。まあ、そうでしょう。
でも、猛禽が岸壁のうえの枝に止まっていた。

岸壁のうえの猛禽

猛禽の同定はできない。できないから結構期待した。なんといっても足摺岬の猛禽なのである。きっとすごいタカに違いない。よーし帰ってアップにして同定してやろうと少しワクワクしていたら、猛禽が鳴いた。
ピーヒョロロ、、、、、、やっぱりトビかいなorz、予感はしていたんだが。

まだ、教えてもらった松尾漁港がある。
きっとウミガメに会える。と、希望以上に期待しながら到着する。

岩に張り付く木の根が垂れ下がる

やたら海の水がきれいで、それだけで嬉しくなった。
すると洞窟になっている入江の岩に張り付くように生える木の根が海に届く勢いで垂れ下がっていた。
観光ガイドにのってないが、これはすごいとこの度初めての感動を覚える。
しかも目の前にはイワシの群れが・・・・

眼下のイワシ

これは、これを狙ってのイルカも期待できると、無理やり結びつけながら、そのまえに引っ越しのときあったタモ持ってこればよかった、とありがちな会話を楽しんでみた。
まあ、ワタシは一人でPLフィルターが必要だな、、と呟いていたんだけどね。

堤防のむこうにはちょっとした岩場が広がっていて、釣りの準備をする親子がいた。そうえいば子どもとこんなことしていたこともあったな、と思い出す。
深そうな潮溜まりがあったので行ってみた。
すると、息子がアメフラシをみつけて捕まえた。
おお、これがこの旅一番の感動だぁ、などとふざけあったのだが、こんなふざけあいも、今度いつできるのかなぁ、とふとよぎった。

釣りの準備をする親子 子どもの時間は短い楽しんでおくれよ。
潮溜まりへの期待
息子が捕獲、リリースしたアメフラシ

ウミガメ結構な確立でみえるんとちゃうんかい、ボーイの嘘つき〜、といいながらも、結局この名もなき漁港(ちゃんと名前はあるんだけどね)が、一番楽しかった。とはいえ、ここから650kmの道のりを帰らなければならない。あまりゆっくりもしていられない。

でもさ、なんかさ、もうひとつ心残りなんだよね。
で、せっかく天気もいいし念願の「にこ淵」へ寄ろうと提案。
往復でプラス2時間、死ぬ気で向かうことにした。
話をきくと、ワタシに無断でかなり有名になってしまい、休日と相まって混雑しているかもとのこと。
それでもと車を飛ばし、つきました。

青ではないよな、にこ淵

ついたときには、曇になったり隙間から陽が差したりだったけど、ガイドブックのような青にはならなかった。
ちなみにガイドブックだとこんな感じ(フォトショップで色を調整)

まぼろしのにこ淵ブルー(ガイドブックにあわせ色調を加工)
にこ淵の実際

ほんとにこんなに青くなる時があるのだろうか?
なんて思いつつ。そんなことよりこんな密でいいのだろうか?
ひとりの観光人のひとりになった自分に苦笑した。

息子と別れ際、まあ忙しくなると思うから次いつ会えるか分からないが、何かあったら連絡しろよ、傾聴はするから、、、と言って分かれた。
子どもが就職するというのは親子としては節目だなぁ、と思いながら、はじめて分かれの寂しさを少し感じた。


結局は総走行距離1480km。家についたころには一抹の寂しさもクソもなく、ただくたびれ果てたのだが、、、笑






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