「今日は、ここまでの理解度を試すために、中間試験をするわよ」
「え！？いきなり？」
「ふふふ、罰ゲームありだからね！がんばるんだぞ、小巻」
「いきなりなんて横柄だ！ぶーぶーぶーぶー」

「中間試験の問題は……」
「どきどき……」
「昨日のP/L、B/S、C/Fが連動するようなビジネス取引事例を作って説明すること。もちろん、P/LとC/Fが一致しない事例にしなきゃだめよ」
「……」
「あれ？沈黙？ひょっとして、自信ないんでしょ♪罰ゲーム覚悟するんだよ～」
「ふっふっふ。私を誰だと思っているの？弁護士の力を舐めないことね」

「じゃあ、始めるね」

「昔々、あるところに、おませなまなみという小さな娘がおった……」
「ちょっと、まなみって、私のこと？？」
「ある日、お父さんからお小遣い１０００円をもらった」
「お父さん……誰かに似てない！？」
「まなみのバッグ（B/S）には資産と純資産が１０００円追加、C/Fの財務収入追加」
「……お小遣いは資本なのね」

「まなみは本屋に立ち寄ると１００円の本を１０冊買った」
「お、本を買うなんてまじめな子供ね、まなみ！」
「しかも、支払いはカードでリボ払い。まなみのB/Sには、資産に本１０００円、負債（買掛金）に１０００円が追加」
「ちょ、まってよ、どこの子供がリボ払いするのよ！」

「真奈美は、読んだ本のうち、５冊を５０円で古本屋にうっぱらった」
「……途端に生活感が溢れる子になったわね」
「安値で売っちゃったから、Ｐ／Ｌは損失２５０円」
「ちょっと、なんで損失取引なのよ……」

「損失が出ているのに、現金は獲得。営業Ｃ／Ｆは２５０円の収入」
「……買掛金１０００円の負債を抱えてますけどね」

「こんな感じで、どう？中間試験は合格でしょ？真奈美は商売不器用そうだから、利益は出なかったわね」
「ひどい話……でも、仕方ないけど、不本意ながら合格よ」

「ふふふ。私は理解力と記憶力は自信あるもんね」
「……せめて、利益くらい出してよ」
「まあ、この後利益出せるわよ。本は５冊残っているから。これを男子に１冊１０００円で売れば……」
「なんでそんなに高く売れるのよ」

「だって、まなみが買った本はエッチな本でしょ。高く売れるよ」
「いいかげんにしなさい！」