就活本を読む就活生へ

就活生の個性のなさが、仕事の中で話題に上がる。巷で流行っている「就活本」なるものを熟読し、きれいな回答をしてくる就活生が年々多くなっているとのこと。

就活本を否定する気は全くない。ただ、「就活本を読み込めば採用される」と考えている就活生が多いのは、試験で良い点数を取ればもてはやされる日本教育の弊害ではないか。

新卒の場合。就活生がどんな能力があり、会社にどう貢献してくれるのかなんて、どうでもいい。むしろ、これからどうなりたいか、将来何になりたいかが明確になっていることが重要だ。それを実現するための踏み台として会社がある。でも、社会人経験がない就活生がこれに気づくのは難しい。

ぼくも就活生のときは「就活本はくだらない」とは思っていたものの、しっかり対策を練る周りを見て焦りを感じていた。でも就活本にしがみつきたくない。だから、ぼくは「くだらない本を読んでるやつが採用される会社に行くもんか」と開き直っていた。唯一の対策は会社のHPを見るだけ。行きの電車で。どんな質問が来るかは対策をしなかった。その場に出てきた言葉で喋ろうと割り切っていた。

結果、幸運にもメガバンクに就職できた。当時の人事担当者に話を聞く機会があった。僕は「堂々としていた」そうだ。当の本人は緊張しすぎて何も覚えていないが。

堂々としていたのは、自分が究極のマイナス思考であることも関係しているように思う。一般的に、「堂々=プラス思考」とのイメージの方が強いと思う。でも逆も成立する。自分はどうせ出来ないと諦めるからだ。

諦めると、無駄な抵抗をしなくなる。自然に力が抜ける。極限まで研ぎ澄まされた矢印こそ「堂々としている」ように見えるらしい。

今の就活生へ。就活に正解はない。ある意味、みんな正解だ。だからこそ、あまり力を入れずに戦ってほしい。22年間もかけて作り上げてきた「自分」という作品を、知らないやつが書いた就活本が的確に説明出来るわけがない。自分をよく知るのは自分だ。あらかじめ質問を予想し、自分なりの個性を出した回答を用意するのは、人事から見ると「無個性」に映る。緊張しながらも、少しずつ言葉を捻るその姿に、個性は宿る。

何度も言うが、22年間の集大成。自信を持ってほしい。

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