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Ironman Malaysia too much detailed report Vol.2 詳しすぎるアイアンマンマレーシアレポートその2

乗り継ぎ

もう2度とやりたくない、と言える恐ろしい経験を経てようやく機中の人となった。ANAの機体は新しい787だ。最近の国際便では当たることが多くなったが、以前はその快適性の違いに驚いたものだ。エコノミーでもシートピッチも比較的広めに取られていて窮屈な感じはない。

クアラルンプールまでのフライトは約7時間。時差は日本からマイナス1時間だが、地図を見るとなぜかマレーシアの時間帯は飛び地のようになっていて、本当なら2〜3時間ずれていてもおかしくない地理である。しかしおかげで時差はあってないようなもの。また、以前はこう言う時いちいち時計を合わせないと行けなかったが、最近はGarminもiPhoneも現在地を検出すると勝手に直ってくれるので非常に楽だ。

国際便に乗った時の楽しみといえば最近は標準装備となった前席背面LCDでの映画だ。今回は「ウソウソ日本満載」と噂のBullet Trainを観てみた。噂通りのすごいウソウソ感はMakuri島以上だった(笑)。あとはMatrixの新作を見始めたが時既に遅く、途中で終了。まぁいい帰路の楽しみにしておこう。

今回せっかくだからと新兵器を導入したのが、アンカーのノイキャンイヤホン。これまでノイキャン製品は高くて買えなかったが、最近は1万円以内で選べるものが増えてきた。連続使用時間もノイキャンオンで6時間もあり、ライド+ランの連続で使えるのも良さそうなのでポチッとしてきた。

イヤホンの効果は日常使いでは(最近電車に乗らないこともあり)特筆するほどでもないな、と思っていたが、飛行機内で使ってみてその効果に驚いた。ゴーッという特有の騒音がスーッと低くなり、まさに耳栓をしたような感覚。これは良い買い物だった。

降り際に三列席の窓際の席の人の足元を見るとIronmanロゴの入ったバッグ。おっとご同輩だったか・・・「すみません、もしかしてランカウイへ行かれます?」「そうです」ということでやはり目的地は同じだったようだ。彼はマレーシアは2度目ということだった(名前もまったく聞かずじまいでその後レースがどうだったかわからない)。

快適な空の旅を経て順調にクアラルンプールに到着したのが午後11時ごろ。大騒動は済んだとはいえ、ここからも若干の緊張を強いられる。乗り継ぎ便が翌朝9時なので、その間どこかでどうにかしないといけない。まずは成田で指示があったとおり、預け荷物をピックアップしよう。動線にしたがってカルーセルへ向かう。

スーツケースはともかく、バイクケースがどこから出てくるのかもよくわからないのだが、とにかく待つしかない。しばらく待っていたのだがどちらも全く出てくる気配がない。あーあ参ったな、係員に問い合わせか・・・英語は喋れるけど元がコミュ障だからこういうのはやっぱり嫌だ。

「荷物でないんだけどー」とチケットを見せて聞いてみると、しばし確認したあと「あんたの荷物はここはスルーしてランカウイに行ったよ」えーマジか。成田で聞いてたのと違う!それはそれで別にいいんだけどさぁ。いや、ちょっと待てバイクはともかくスーツケースが出ないと今晩どこかに泊まるにしても着替えが無いじゃんよ・・・

騒いでもしょうがないのでともかく入国手続きをすませ、今夜の宿を確保せねばならない。調べたところでは、空港直結のホテルがいくつかあるらしい。のだが、初めて来た空港でどこになにがあるのか、自分たちがどこにいるのかさっぱりわからない。

散々探した挙句、ようやく「ホテルこっち」というのを見つけて歩いていく。と、空港内移動のためのバギーが来て「ホテル行くの?乗っていきな」と陽気に誘ってくれた。どうやらホテル直行の送迎サービスだったようだ。助かった。途中ほとんど電灯の消えた工事中のような区間をしばらく通ったので、もし歩いてたら「これ違うやろ?違うやろ?」となってたどり着けなかったに違いない。

「Sama Sama」というありがたい名前(笑)のホテルについてみると、びっくりするほど高級なつくり。おっとこれはヤバいところに迷い込んでしまったか・・・と思ったがもはや背に腹は変えられない。フロントで「翌朝すぐ発つんだけど」と言ったら、それなら25%割引でいいよ、ということになったので(それでも結構な値段だったが)泊まることにした。

その割に浴槽がなかったのには面食らったが、部屋はとても快適だった。翌朝は9時の便なので余裕を見て7時にはチェックインしておきたいが、空港直結なので6時起きでよい。出発時の騒動もあってとても疲れていたこともありぐっすり眠れた。

翌朝。順調に起きてさっさとチェックアウト。国内線のチェックインに向かう。その後しっかりゲートに辿り着いてから腹ごしらえの算段。カフェみたいなところで巨大なツナサンドをわけわけして食べてちょうどよかった。

特に遅れたりすることもなくフライトは順調。国内線の機体は3席2列のよくあるタイプ。こんなのでも座席背面にLCDが付く時代になったのはいいが、面倒なのかヘッドホンの配布がない(言った人だけ出すんだろうな)。端子が特殊なやつなのでどうしようもない。まぁ無線イヤホンしか持ってないから関係ない。マトリックスの続きをちょっとみたらすぐ降下を始めた。

ランカウイ到着

初冬の日本からモワッと暑いランカウイにやってきた

事前レクチャーの際に、マレーシアでは公共空間は寒いぐらいに冷房が効いていると聞かされていた。クアラルンプールの空港内などはまさにそのとおりで、飛行機からそのまま建物に入ってそのまま空港直結のホテルに泊まっていたからほとんど外の気温を感じる機会がなかったが、ランカウイに降り立っていよいよ南国に来たな、と感じた。

スーツケースもバイクも無事出てきて、予定通り10時半頃には空港出口に到着。今回のツアーを担当してくれていたコーディアルツアーズの美保さん(注:名ではなく姓。気さくなお兄さん)がレンタカーで迎えにきてくれていた。まずはホテルへ向かう。

気が遠くなりそうな直線路。ここを走るんか・・・

ぐるっと空港を迂回するような形で進む道がまさにランコースだと言う。日陰がない。これは地獄の道行きになりそうだ(と、この時はそう思った)。「ランの暑さを気にする人は、速い人です」と美保さんは言う。彼も実はトライアスリートで、何年か前のランカウイを完走している。トライアスロンのツアコンとして最強である。

空港を過ぎてすこし田舎町のようなところを通ってから見えたのが受付会場のペランギリゾート。門構えからしてゴージャスなところだ。ホテルからは1キロちょいなので歩いて来ることができる。

ここのホテルは五つ星らしい。さもありなん

そこからいかにも東南アジアの商店街的なメインストリートをしばらく行ったところに今回宿泊のナディアスホテルがあった。ビーチから徒歩数分、すぐ近くにショッピングモールやコンビニなどもあり、とても便利なところだ。5年ほど前に建った比較的新しいホテルらしい。

ホテル

写真撮ってなかったのでストビューから引用。細長ーいホテル

チェックインは既に済ませてくれていたので、カードキーを受け取って部屋へ直行することができた。マレーシアは元英国統治だったことから、文化的に英国の影響が色濃く残っている。車は左側通行だし、建物の階数表記は一階が「G(Ground floor)」で二階が「1(First floor)」である。これはわかっていてもなかなか慣れることができなかった。

部屋は特に豪勢ということはないが必要十分な広さ、清潔さでバイクもそのまま持ち込み可。海外のホテルではまだまだウォシュレットは普及していないのは覚悟していたが、ここはビデ用のハンドシャワーがついている。試しに使ってみたら「これで十分じゃね?」という気もした。

半日早く予定通り到着していた皆さんは既に昨晩街に繰り出して痛飲しており、今朝もビーチで少し遊んでいたらしい。今日は12時からみんなで美保さんのレンタカーに便乗してスイム会場(T1)およびT2を見学がてらバイクコースの下見をしてからペランギで選手登録をしましょう、ということだった。

下見ツアー

荷物を整理して少しだけ休憩して12時にロビーへ集合。今回のメンバーは、バラモンでいつもお世話になっているM60エイジチャンプ、コナフィニッシャーの敬愛する山Mさん、山Mさんの会社の元同僚の岩Tさんご夫妻、五島在住のH口さん、そして我々夫婦ということだった。

皆さんは既に近所のカレー屋で飯を食ってきたとのことなので、我々はちょっとつまめるものでも、ということで隣のセブンイレブンで飲み物とスナック類を買うことにした。海外では名前こそセブンイレブンだが、日本のコンビニとは全くことなり、品揃えは「まぁ、あるといえばある」ぐらいなものだが、贅沢を言ってはいけない。

ナッツバー的なものと、チョコバー的なもの、ジュース類を適当に買ってきていざ出発。7人乗りのミニバンでわいわいとこれから確認するコースの話をしながらまずはスイム会場へ。

スイム会場へは15キロほど。ややアップダウンがあり、路面は日本の田舎道よろしくあまり舗装状態はよくない。そしてこれまた聞いていたとおり、山道に入ると猿がたくさんタムロしている。日本猿よりもだいぶ小型で、猫くらいのサイズ。そして尻尾が長い。レース中には眼を合わせるな、と言われている。

写真撮ってなかったのでWebから引用

山Mさん以外の方々は初対面だったが、トライアスリートあるあるでちょっと話をしているうちに「あーそうそう」「そうですよね」ということでたちまち意気投合。特に五島から来たH口さんがなかなかのキャラで非常に面白い。

「IMマーク」キターッ

T1

そうこうしているうちに順調にスイム会場に着いた。まだ会場の設営は途中だが、そこかしこにIMマークのついた看板やバナーが設置されているので嫌が上にも気分は高まる。トランジションエリア前後の動線などをよく確認しておく。

T1バイクラック。

そして懸案の海の状態を見に行く。トライアスロンのスイムといえばウェットスーツがデフォ、と言うイメージだが、ここランカウイの海は常に水温が28度前後なのでウェットスーツは禁止されている。むしろ誰もウェットスーツは持ってこない。それはそれでウェットスーツがらみの各種面倒なこと(首のスレや脱着、暑すぎるなど)を気にしなくてよくなるから自分としては好都合である。

ベタ凪!

ビーチはびっくりするくらい綺麗(砂の目が細かい!)。水はそれほど綺麗でもないが、とにかく波がほとんどなくおだやか。コースは時計回りで三角形を二周、右オープンでブイを見ながら進めるので問題ない。コース幅も十分とられているし、
そもそもスタートが5秒ごとに5人のウェーブスタートなのでバトルの心配もなく、これだけでもスイム苦手ーズにとっては天国のようだ。

バイクコース

次にバイクコースをしばらく走ってみましょうということで、T1から出発。序盤ゆるいアップダウンを少しこなしたあと、左折してモンキーゾーンへ入って十数キロほどボチボチなアップダウンエリアへ。斜度はそれほどきつくないが、割と何度もくる印象。

折り返し手前でUターンしてさらに先へ。路面はやはりあまり良くないが、事前に聞いていたことだし、日本の田舎道も似たようなものなのであまり気にならない。森の中の道は割と木々が生い茂っているが、村っぽいところに出ると両側が民家や出店のようなところで日陰が少ない。気温はともかく、湿度が高いのでそれでだいぶやられそうな気がする。

下見の時点ではそんなに厳しい登りはなさそうだったが、後半に一箇所割ときついところがあり、そこからの下りが特に危ないらしい。そういうところでスコールが降らないことを祈るばかりである(と、その時はそれぐらいに思っていた)。

コースを全部たどると時間がなくなってしまうので、途中のラウンドアバウトのところから南下して空港方面へ戻る。T2に寄ってもよかったのだが、ここは翌日のバイクギア預託でどうせ見にくるし、今日は受付もあるし自分はバイクの組み立てもあるので、場所だけ確認してさっさと一旦ホテルへ戻ることになった。

アスリートチェックイン

日本からの参加者の多さを伺わせる。

また時間を示し合わせて、皆さんと一緒にわいわい言いながら徒歩でペランギへ。商店街通りはいかにも東南アジアぽい感じの店が連なり、各種レストランも多い。皆さんの話によると、昨日最初に入った海鮮のお店はアルコールがなかったらしい(でも、持ち込み可だったとか。鷹揚だな)。

カッチョええ〜!!でもカラーユニバーサル的にどうよ?

メインの建物前にアイアンマンのバルーンゲートがあり、いよいよ大会会場へやってきたという気分もいや増すというものだ。
日本でよくみるような露天にテント張った出店ではなく、建物内の手前のエリアにエキスポがあった。そこを通らないと受付にいけない仕様。

出店の規模はそんなに大きくはないけど、パーツ類も含め品揃えはまぁまぁ。補給関係もここで十分入手できそうだったが、自分は日本からいつも使ってるやつを持ち込んでるので基本的に何も買うものはない。

現地のスタッフが親切に対応してくれる

受付の手順は、身分証明がパスポートというだけであとは国内の試合と大して変わらない。ゼッケンやスイムキャップ、必要なギアバッグ類とバッグ(またバッグ増えた・・・)そしてリストバンドをつけてもらう。現地の女の子のボランティアがあたふたと働いてくれていて、ちょっとギアバッグを探すのに手間取っただけで「ごめんなさい」と手を合わせてくれたりと、ホッコリする対応だった。

ゼッケンは「午後休」笑 このスイムキャップはどうみても
ピンクだが、「紫」カテゴリなのだった

その後のエリアにはアイアンマンオフィシャルグッズ売り場。Tシャツやジャージ類もたくさん売られていたが、そこまで欲しくなかったのでスルー。キャップだけは欲しかったのでJETTに合いそうな黄色のはいったやつを選択。まだゴールしたわけじゃないからアイアンマンロゴグッズを性急に買うのもどうかとは思ったけどまぁ良いでしょう。

出場全選手の名前入り

あとは名物の全選手名前入りボードの確認。アルファベット順で並んでいるので比較的すぐに見つけられた。あるとわかっていてもやはり嬉しいものだ。

こうしてみると周りは現地の人っぽい名前が多い

あとは皆さんで記念写真撮って、下見〜チェックインツアーは無事終了。ホテルへ
帰投して自分はあたふたとバイクの組み立てに入る。

バイク組み立て

写真では一瞬で組み上がっているが・・・

これが曲者だった。大体全体的に組み上げるまではよかったが、まずフリーごと抜いてシャフトまでばらした後輪の組み立ての際にワッシャーを入れる位置を間違えてスプロケが回らなくなった。これは落ち着いてワッシャー位置を入れ換えて解決。

しかし次のリアブレーキ調整でドツボにハマった。ディスクホイールはちゃんと
センターが出ているが、ブレーキのセンターをなかなか出せない。取り付けボルトを緩めてアーチの位置を調整したり、散々いろいろやってるうちに100均で買った安物のラチェットレンチのギアが壊れていく・・・

アーチの締め具合までいじったりした挙句、落ち着いて最初から丁寧にやり直してようやくセンターを出せた。レンチのギアはもう半分以上ガタガタになっていて、これはもう試合後にバラすときに使ったらゴミ箱直行だな。

あとは空気圧をしっかり上げておく。チューブラーだし、ブチルチューブのコンチネンタルなのでもうこの後は基本的に弄らない。やれやれ、晩飯までになんとか作業を終えられた。疲れた・・・

前夜祭(?)

皆さん飲む飲む

また皆さんと待ち合わせて近くの中華レストランへ。ここはビールもあるということで、下戸の自分と、同様の岩Tさん以外はしこたま飲んでいた。料理も炭水化物系をしっかり摂って大満足。他の皆さんはまだまだ飲み足りないということで二回戦に行くということだったが、さすがに我々夫婦は昨日の騒動もあって疲れ切っていたので早々にホテルに引き上げることにした。

こうして現地第一日目も無事に暮れていった。

つづく

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