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Good by Summer

「平成最後の夏」と世の中が騒いだ夏も、暦の上では終わった。私はずっと家の中にいたように思う。


"殺人的な暑さ"と連日のニュースで取り上げていた。それほど亡くなった人が多いのだと思うけど、どんな夏にも人は死ぬ。


平成生まれである私の、平成最後の夏は花火大会にもいかず、近所のお祭りにもいかず、"インスタ映え"なかき氷も食べずに終わりを迎えた。
だけど、確実に私は夏を生きたのだ。

深夜3:30まで起きているともうすでに明るくなってくる街をぼーっと眺めたり、まだ暑くなる前の早朝の香りを嗅いだり、ベランダに迷い込んだセミの鳴き声をうるさいなあと思いつつ耳を傾けたり、あっつーって言いながら風呂上がりに冷たい麦茶を一気に飲んだり、家にはケースいっぱいにTシャツがあるのになぜかまた買ってしまったり、可愛いワンピースをお店で探してみたり。


ぜんぶ、夏の記憶。


これが平成の夏の記憶なら、私は確かに平成の夏を生きてきたのだと思う。
次の年号になったって、同じことができるとは限らない。
時代は変化していく。進化したものには代償がつく。それが真理なのだ。

人びとが自分の足を使わずに空に浮かぶ機体で生活をするようになったとしても、夏の麦茶のおいしさを感じられますようにと願いながらサクレレモンをザクザク壊して食べてゆく。

また会おうね。