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JR東海の株式分割で何が起こるか?

JR東海 1→5株へ株式分割実施


 JR東海(東海旅客鉄道 東証9022)が、株式分割を発表しました。これに伴い、株主優待や配当予想などが変更となりましたが、基本的には分割前の数字を分割後の数字に合わせた程度の変更となります。

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000042912.pdf

 基準日は9月30日で、効力発生日は10月1日です。


心象的な大きな変化


 これまで鉄道株の中ではダントツで最高値だったJR東海の株価。あまりに高すぎて、現在最低売買代金は約180万円が必要になっています。(2023年8月現在)

 そのため投資初心者にはなかなか手を出しづらい銘柄となっていました。

 これが株式分割により、1株約18,000円だったのが「約3,600円」ほどになると予想されます。実際には分割までに上下に変動しているでしょうから、あくまで8月22日時点の数字で見た場合の目安として考えてください。

 すると、実はある大きな変化が起こるのです。こちらをご覧ください。

☆JR上場4社 の株価比較

・JR東海  17,960円
・JR東日本 8,040円
・JR西日本 6,066円
JR東海  3,592円 分割後)
・JR九州  3,123円

2023年8月22日終値

 これまでJR上場4社で最も株価が高かったJR東海ですが、分割後は下から2番目の位置に変わることとなります。何も知らずに見れば「おや、JR東海の株価は随分安いんだな」と見えることでしょう。

 また、1株=3600円となると、他の私鉄と見比べてもちょうど真ん中ぐらいの位置に変わります。前後の株価と見比べてみましょう。

☆上場鉄道各社 の株価比較

1:JR東海 17,960円
2:JR東日本 8,004円


9:京福電鉄 4,255円
10:京阪HD 4,085円
11:東武鉄道 3,856円
(分割JR東海 3,600円)
12:JR九州 3,123円
13:神戸電鉄 3,020円
14:南海電鉄 2,920円


23:京浜急行 1,303円
24:広島電鉄 809円

2023年8月22日終値

 いかがでしょうか?

分割前と後では、かなり印象の違う株価になるのではないかと思います。

 もっとも、売り買いしやすいか以外の点では、分割前も後も値動き自体は理屈上は同じです。分割後に100円の株価値上がりがあれば、分割前の500円値上がりが起きたのと同じです。

 ただ株価順で並べたとき、前後になる銘柄にとっては、
とんでもないライバルが下に降りてきやがった」という状況なのではないでしょうか。
 幸い(?)、配当利回りや株主優待について JR東海はそこまで熱心ではないようなので、色々とアピール展開する方法はあると思います。


狙うは返り咲き?


 JR東海は時価総額、流動性の高い30銘柄で構成される株価指数
「TOPIX CORE30」に2015~2021年の間に選出されていました。
 コロナショックでの業績急落で2021年の見直しの際に除外されてしまいましたが、もしかするとここへの返り咲きを狙った動きなのかもしれません。
 もし再追加となった場合は、下から9番目程度の株価になる見込みです。

 TOPIX CORE30は年に1回、毎年10月に銘柄見直しが行われています。
また、東証は投資単位の引き下げを推奨しており「1単元50万円未満」の水準になることを推奨しています。
 もしJR東海がTOPIX CORE30への返り咲きを狙っているとすれば、これに従う姿勢を見せている、ということなのかもしれませんね。

 さすがに2023年度の見直しでの返り咲きは難しいでしょうが、2024年度の見直しを狙っているとすれば、株式分割の効力発生日が10月1日というのも納得できる動きでしょう。
(2024年の見直しまでに、分割して丸1年分のデータが揃うから)


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