雷雪

頭の中のものを発散させたい

雷雪

頭の中のものを発散させたい

最近の記事

3大・無駄・音

あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! (久しぶりに運転するという上司の車に同乗中、首都高に乗って次の料金所で降りてしまったときの上司の声) どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど!!! (取引先のクリエイターがいきなり甲州街道の歩道橋をダッシュで駆け上がるのでこちらもつられてダッシュで登ったのだけど、彼が道を横断せずそのままの勢いで降りていったので、こちらも慌ててダッシュで降りたときの我々の足音) ざーーーーーーーーーーーーーーー

    • 富岳とて

      フレッドは、ドがつくエリートである。 ハーバード大卒で、有名外資企業勤務の高給取り。 日本語も流暢で、漢検は準1級受験するレベルだという(合否は知らない)。 長身で顔面もイケてるコケージョンなので、とくに日本人女性からモテモテだけど奥さん一筋の人格者。 奥さんの家族も自分の家族も大事にするし、季節ごとに寄付もする。 スポーツもボードゲームも得意で、料理も上手。 何をやらせてもすぐコツをつかんでしまうので、フレッドの奥さんは「人じゃない生き物」と言っていたし、私は「(スパ

      • タチバナの頑張り

        女子校に入学して間もなく、 仲良くなった5人組で初めて遊ぶことになった。 「タチバナ」の家にお邪魔した。 タチバナは、長身でスタイル抜群。黒髪ロングヘアの清楚な雰囲気の中に、子犬とリスを足したような可愛さがある子だ。 部屋もきれいで真面目さが伝わってくる。 一緒に行ったのは、自分のことをボクと呼ぶタイプの美少女「ボク」と、東京から引っ越してきた派手めな「マキちゃん」、そして横顔があまりに男前なテニス部の「エイサク」(吉田栄作からきている)。 お菓子を食べながら、いつの間

        • 自白をもたらす顔つき

          「よ! 令和の聞き出し上手さん!」 仲良しの後輩ちゃんにいじられた。 いつもなら「どうも、『半落ち』寺尾聰です」と渋く流すところだけど、つい真面目にテツandトモ口調で返答してしまった。 「な〜んにもしてないのに 相手がゲロっちゃうのなんでだろ〜」 (『半落ち』の内容とは全然違うけど単語が好きでずっと使ってる。あとテツトモのもまだ現役で使ってる) 実際、 職場の先輩と飲んでいたら、急に「もう、わかったってば! 言うよ! その顔知ってるんでしょ!」と上司との不倫を明かさ

        3大・無駄・音

          なんでもあり族

          父がわりをしてくれていた大好きな叔父が死んだ。 胃がん、大腸がん、糖尿病、肺炎。生死を彷徨う大病をいくつも経験しつつ、いつも不死鳥の如く甦っては「なかなか死なせてくれねえや」とぼやいていた叔父だったが、脚立から落ちた翌日にあっけなく逝ってしまった。 死因は誤嚥性肺炎だった。もともと生きているのが不思議な状態だったらしい。 7人きょうだいの長男でかなりの苦労人。でも、生真面目というよりふざけるのが好きな人だった。 厳密には、韓国で引っ掛けた女性が押しかけて来られたときにお

          なんでもあり族

          ストロングジジイ

          親友・マツカワの職業は、エディトリアルデザイナーだ。 主に雑誌や付録のデザインをしている。 日中太陽をほとんど浴びないため超がつくほど色白で、ベレー帽に太縁メガネがやたら似合う。常に0.6〜0.8倍速、マイペース&マイワールドに生きるタイプの人間だ。 聴力に問題はないのに耳が遠い。聞こえたとてシナプスがつながるまでスローなので、話題が次の次にうつったくらいで「あぁ、そういうことか!」と手を叩く(ただし悪口だけはどんなに小声でも即座にキャッチする)。 マツカワはいつしか「

          ストロングジジイ

          巨匠

          ワタリウム美術館の草間彌生展に行ったときの話。 そこでは、主に60年代の作品が展示されていた。ニューヨークで駆け出しのアーティストとして奮闘していた彼女のエネルギーが感じられる。 コンパクトな美術館なわりに作品数も充実していて、有名な水玉かぼちゃのような立体作品はもちろん、絵画、テキスト、インスタレーション、映像ドキュメンタリーなどが鑑賞できた。かつ、ヴィトンと最初にコラボする少し前だったこともあり、場内は閑散としていて見やすいのもよかった。 展示の終盤。インスタレーシ

          イナさんとスパイスカレー

          定年間近のイナさんが、「うまいカレー食い行くか?」と声をかけてきた。 イナさんは気難しいパワハラクソオヤジとして知られていたが、私のことは結構可愛がってくれていた。 タクシーの移動中に手を握ってきたり、膝に乗れと言ってきたり、息を吸うようにセクハラもしてきたけど。 「お前の仕事は代えがきくが、俺はそうじゃない。持ち場を離れてでも俺をサポートしろ」 こう言われたときは頭に血が上り、その足で上司に訴えもした(まあまあ、となだめられて終わった)。 私は素朴な見た目に反して負け

          イナさんとスパイスカレー

          自分、不器用ですから(検尿)

          進化している、検尿が。 倒置法で言うほどではないが。 自宅でできる健康診断を受けるにあたり、知った。 昔は紙コップにそれなりの尿を注ぎ、こぼしたらおしまいける…と緊張しながら提出したものだが、いまは少量…採尿器の深さ1cm程度あればいいらしい(メーカーによる)。 私が使ったメーカーの採尿器は、タンポンサイズの、試験管みたいな底が丸くなっている形状で、小さい透明の筒(採尿器)に直接尿をかけられ、それより少し大きい筒がフタになっていた。フタを反対側にして採尿器にはめ、採尿時に

          自分、不器用ですから(検尿)

          カトウ

          同じクラスのカトウはすぐ例えツッコミをする奴だ。 言い争いが始まると、決まって 「どうどうどう! 馬じゃないんだから興奮しない!」 とツッコんでくる。 それ以外にも、「も〜!」と誰かが言えば 「牛じゃないんだから!」。 手洗い場で濡れた手をふりふりしてる人を見つけると 「ティラノサウルスじゃないんだから!」。 オーバーオールを着ているだけで 「チャッキーじゃないんだから!」。 センス、無(な)。  クラスメイトは「また始まった」とスルーしていたが、私だけはそのつまら

          カトウ

          スカートめくられ

          女の子は私の腰の高さほどの背丈で、ブライス人形みたいな服を着ている。そしてなぜか私のロングスカートを背後から勢いよくめくってくる。 バフォッ。 ちょっと避けても追いかけてきて バフォッ。 なん?  頭をひとなでして屈んで向き合う。 「なんさい?」 「53才」 「あ、そうだったんですね」 「うん」 じゃあだいぶ喋れるよなあ。 というか、私の知る限り、低身長症の人っぽさがまるでない。 強いて言えば、顔が石原良純に似ていることくらいだ。 「で、何かスカートにあり

          スカートめくられ

          「母が一晩帰ってこなかった」世界にいます

          母が一晩帰ってこない日があった。 姉が大学進学のために上京し、母と私が2人暮らしをしていたときのことだった。 我が家には父がいない。父は私が生まれる直前に急死した。 突然訪れた悲しみと育児疲れとで余裕がなかったのか、母は姉を必要以上に厳しく叱って育てた。姉の長く続いた反抗期もそれを助長した。そしてその分、小さき私を溺愛した。 そんな母を姉は敵視し、母にべったりな私のことも嫌悪していた。 (私は私で姉の身勝手さと強さが怖かったし好きではなかった) 「うちの収入で大学な

          「母が一晩帰ってこなかった」世界にいます