33歳人妻が16歳の少年に恋した話 83 その後の私

あれからの私は、相変わらず仕事が忙しく慌ただしい毎日を送っていた。

忙しくしている方が気が紛れて良い、なんて思っていたけど、忙しくしながらも毎日彼との思い出を反芻していた。本当に毎日。

いつどこで彼に遭遇してもいいように、常に綺麗な格好をするようになった。

何かのきっかけにまたあの頃のような関係性に戻れることを期待して、貯金も着実に貯め続けた。結局1年しないうちに100万貯めた。

彼との関係が戻ったら離婚するつもりだしもういいやと思って、今まで夫に言えずに我慢していたことをぶちまけまくり、夫のモラハラがほぼ無くなった。

彼との関係が戻ったとして、一緒に生活するとなったら残業なんて絶対にしたくないから、理不尽な残業に対し上司に訴え続け、今年に入ってからようやく働き方改革が始まり、残業が無くなった。

彼と元の関係に戻ることを期待して過ごしていたことにより、私はまた良い方向へと変わっていた。
なんだかあの夏みたいだな、と思った。

夏頃に彼女が出てきてからは、もはや諦めていたけど。
それでもごく僅かな可能性を信じて、彼との復縁のために努力を続けていた。

彼は離れてからも、私を変えてくれたのだった。

応援しているチームの試合は、クッキーを拒否されたあの日以降辛すぎてほぼ観られなくなった。

会場に行っても中継を見ても、必ず彼の姿を見つけ出して辛くなるからだ。
一時期はもはや嫌いになり、アンチのようになっていた。

しかし今年に入って再びシーズンが始まり、頑張っている選手たちを見ていたらそんな気持ちはだいぶ薄らいできた。
選手たちに何も罪はないのだ。

スポーツに興味のなかった私が初めてスポーツに興味を持って大好きになれたチーム。弱いけどね。

先日久しぶりに試合の中継をテレビで観たら、選手を応援する気持ちやワクワク感が蘇ってきた。
試合を観ている間、彼のことはすっかり忘れていた。
ようやく前向きに昇華することができるようになってきたのだと思う。

今年は現地に試合を観に行けそうな気がする。

彼に対するモヤモヤが収まらなかった去年の秋、1人で京都に行った。

夫と離婚する気持ちを固めるために行った縁切り神社では、いざとなると勇気が出ず、とりあえず

「悪い縁が切れていい縁に恵まれますように」

とだけお願いした。
その後は特に何も変化はない。

願い事が叶うというお寺にも行った。

「いつかまた彼と笑顔で会えますように」

とお願いした。

もう今は恋愛感情こそほぼ無いけど、気まずい感じで終わってしまったことだけは心残りだったから。

いつかどこかで彼と会って、あんな時もあったねと笑顔で話せたらいいなと思う。
何年先でもいいから。叶うといいな。

マスターのお店には相変わらず通い続けている。

マスターはマブなので、しょーもない世間話をしたり、人生について語ったり、いつも何時間も入り浸っては語り合っている。

マスターは彼の学校に定期的に調理実習に行っているので、たまに彼に会って話を聞くらしい。

もはや学校をサボることがデフォの人間になり、あの頃のようなかわいげはないという。

「先のことは心配だけど、不登校やってて暗かったあの子があんな風になったのはある意味感慨深いよ。
これもまた、あのこちゃんと出会ったからこそだね」

とマスターは言った。

私たちの出会いは、やはり必然だったのだろうな。
そう思えるようになってきた。

続く

関係ないけど、水川かたまりくん第一子誕生おめでとう。ラジオ聴いて奥様とお子さんへの愛がダダ漏れてずっと号泣しているかたまりに釣られて泣いてしまった。生まれた瞬間からあんなに愛されている彼のお子さんは幸せ者だね。

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