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2022年多摩市長選挙・市議会議員補欠選挙レポート

 4月3日、東京都多摩市長選挙・市議会議員補欠選挙が告示された。4月10日の投票日に向けて激しい選挙戦が繰り広げられた。

◆多摩市長選挙候補者

 阿部裕行市長の任期満了に伴う市長選挙に立候補したのは次の3人。

ジャンボ松田 48 AI党・新(松田道人)
阿部 裕行 66 無所属・現
遠藤 千尋 46 無所属・新(東京維新の会推薦)

 4選を狙う現職の阿部裕行市長に、新人2人が挑む。

 遠藤千尋・前多摩市議は、3期11年務めた市議を辞任して市長選に挑む。阿部市長が初当選した2010年の市長選に立候補して以来の市長選出馬となる。

 ジャンボ松田候補は、今回で3回連続の市長選出馬。前回は本名の「松田道人」名義で出馬したが、2021年にプロレスデビューし「ジャンボ松田」のリングネームで活動している。

 4年前は「初のAI市長」というのを公約に掲げ、アンドロイドの写真をポスターに使っていたことで話題になった。

 当初は自民党からも候補者擁立の動きがあり、藤原正範・市議会議長が一度は立候補を表明したが、最終的に取り止めている。

◆多摩市議会議員補欠選挙候補者

 一方、遠藤前市議の辞職に伴う市議会議員補欠選挙には、4人が立候補した。

上杉  直 42 共産党・新
二木 正和 40 無所属・新
石山 弘明 40 無所属・新
三井  健 58 無所属・新

 遠藤前市議は自民党会派「新生会」所属であったが、その自民党は石山弘明候補を擁立した。石山候補は、産婦人科の赤枝医院の院長秘書の肩書を持つ。

 3年前の市議選に自民党推薦で立候補し次点に終わった三井健候補が無所属で立候補。自民党は分裂選挙となった。

 その隙を狙うのが昨年の都議選に立候補して落選した共産党の上杉直候補。

 もう一人の二木正和候補は告示日にポスターが貼り切れておらず私が見た掲示板では3日目になってようやく貼られていた。

 二木候補によると、ポスターは公示後に制作したのだそうだ。組織力では他候補に劣るようだが、とりあえずポスターのインパクトは強い。

◆多摩市長選ウォッチ

 今回の選挙、とりわけ市長選の方は争点が阿部市政の是非。遠藤前市議も3期12年は長すぎると批判している。
 阿部市長はもともとは民主党、共産党、社民党、生活者ネットの推薦という、革新系首長としてスタートした。その後は自民党も阿部市長の政策に賛同することが多く、実質的なオール与党体制となっている。再選時以降、阿部市長は政党の推薦を受けていない。

 だが、選挙参謀を無所属の篠塚元市議(元都議)が務め、立憲民主党の伊藤俊介代議士や、れいわ新選組の木村英子参院議員が応援している。自民党も対立候補は立てず自主投票となっているようだ。

 遠藤前市議は積極的に選挙運動を行なっており、たびたび駅前でその姿を見かけた。

 推薦する東京維新の会の他、一部の自民党市議が応援しているようだ。

 ただ、超党派で個人的な支援であるとはいえ、NHK党の夏目亜季・荒川区議までもが支援に加わっていることに、私は一抹の不安を覚えた。

 考えてみると遠藤前市議は、2018年の市議選までは立憲民主党を中心とした会「改革みらい」に所属していた。ところが選挙後に自民党会派「新生会」に引き抜かれている。その結果、改革みらい(現・フェアな市民)は最多勢力の座を新生会に明け渡しすことになった。遠藤前市議は機を見るに敏であるとも言えるが、単に日和見で無節操にも見えかねない。

 3度目の挑戦のジャンボ松田候補は、2014年3,509票、2018年4,013票と少しずつだが票を伸ばしている。共に落選したが、2019年の多摩市議選にAI党から候補者を立てたり、立川市議選でも乙幡直樹候補を応援したりしている。今回もどこまで両候補に迫ることが出来るか注目される。

◆多摩市議補選ウォッチ

 市議補選では自民党の石山弘明候補が最も盛んに街宣を行なっていた。
 唯一の自民党公認候補であることを強調するためであろうか、地元選出の小田原潔代議士、小倉將信代議士ら自民党議員が積極的に応援していた。私も今井絵理子参院議員(写真下右)と共に街宣を行なっている所を見かけている。

 逆に三井健候補は地味に1人でビラを配っている所を何度となく見かけた。三井候補自身によると、もともと来年の市議選の方で勝負のつもりであるという。今回は知名度向上につながったのではないだろうか。

 共産党の上杉直候補は組織的な選挙を展開していた。ただ、街宣ではロシアのウクライナ侵攻などについて語るなど、あまり多摩市と関係のないことばかり語っていたのが気になった。

 二木正和候補はついに見かけることはなかったが、選挙公報には「アニメやキャラクターのファンが足を運びたくなるような提言もおこなってゆきたいです。」という政策があったのが気になった。

◆多摩市長選・市議補選投開票

 4月10日、多摩市長選挙・市議会議員補欠選挙が投開票された。市長選の投票率は42.57%で、前回の36.38%を大きく上回った。市議会議員補欠選挙の投票率は42.55%だった。
 市長選の開票結果は次の通り。

当選29,980阿部 裕行 68 無所属・現
  21,138遠藤 千尋 46 無所属・新(東京維新の会推薦)
    516ジャンボ松田 48 AI党・新

 現職の阿部裕行市長が4選を決めた。
 遠藤千尋・前市議は初出馬だった2010年市長選の際の19,429票は上回ったものの、阿部市長が当時の20,904票を上回る票を獲得し及ばなかった。
 ジャンボ松田候補は両者の狭間にすっかり埋もれてしまい、4年前の1/8の得票に沈んだ。多摩市は新型コロナウイルスのワクチン接種を他の自治体に先駆けて行なっており、阿部市長の対応がかなり評価されたと言える。

 一方の市議補選の開票結果は次の通り。

当選23,993石山 弘明 40 自民党・新
  13,490上杉  直 42共産党・新
  10,012三井  健 58 無所属・新
    1,900二木 正和 40 無所属・新

 自民党公認の石山弘明候補が、他の3候補を抑えて初当選を決めた。前回市議選に自民党推薦で立候補した三井健候補が無所属で立っていたため、保守分裂選挙になったのだが、自民党を挙げての総力戦が功を奏したと言える。

 多摩市議会において自民党系の会派・新政会は7議席を保持していた。藤原正範・市議会議長が3月末に議長を辞職し新政会からも離党している。

 また、同じく同会派所属の遠藤・前市議も議員辞職したため5議席となっていた。そのため公明党、共産党と議席数で並ぶという事態になった。今回の市議補選の結果はかなり重要な意味を持っていた。
 結局、自民党の石山候補が勝ったたことにより新政会は6議席で再び最大会派となった。

 〈多摩市議会会派〉
 新政会    6(自民党5、維新の会1)
 日本共産党  5
 公明党    5
 フェアな市政 4(立憲民主党2、折戸小夜子、岩永久佳)
 ネット・社民の会 3(生活者ネット2、社民党)
 壮士の会   2(篠塚元、斎藤聖哉)
 志政会    1(藤原正範)

 来年の統一地方選で多摩市議選が行なわれるため、石山新市議はすぐに改選を迎える。三井候補もすでに次の出馬をほのめかしているが、ひょっとしたら上杉候補や二木候補も再起を期してくるかもしれない。今回は圧倒的な得票で勝利した石山新市議だが、次はそう簡単にはいかないだろう。今回彼を支援した自民党の支持者は次はもともと支持していた別の市議の支持に戻るかもしれない。先日の日野市議選でも、前年の補選で当選した議員の多くが落選している。
 早くも次の戦いは始まっているのである。


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