引き続き、都内の選挙の結果を見ていきたい。区部に続いて市町村部の選挙を見ていこう。区部ほど候補者数は多くなかったが、ここでも激戦が繰り広げられていた。
◆八王子市議会議員選挙
定数40に58人が立候補。多摩地域では最大の立候補者数となった。投票率は43.84%で、前回の44.89%を下回った。
党派別当選者数は次の通りとなった。
八王子市は自民党と公明党が議会過半数を保持する保守王国。しかし、自民党は前回より3議席減らしている。そのぶん、立憲民主党、共産党、都民ファーストの会、参政党が議席を増やすという結果となった。とりわけ共産党が候補者5人全員当選という快挙。立憲民主党は会派を組む森喜彦市議も当選している。
生活者ネットは2議席を死守。
会派「市民クラブ」は立候補していた現職4人のうち3人が落選するという惨敗。
市民クラブ所属の若林修市議は前回、「NHKから国民を守る党」公認で当選したものの、2019年参院選の費用負担を求められたことに反発して離党。今回は無所属で出馬したが、大幅に得票を減らして惨敗に終わった。
NHK党の片岡将志候補は一歩届かず。政治家女子48党の小林満衣候補は惨敗に終わった。
ポスターで気になったのは自民党の鈴木玲央候補。ポスターにはただ「レオ」と書いてあるだけ。
これでは政党名はおろか、候補者のフルネームすらわからない。現職で地元では知名度があるとはいえ、有権者以外には不親切である。それでも上位で当選した。
トップ当選は立憲民主党の小林裕恵市議だった。
一番のインパクトは、宮永新候補。ポスターがまさかの生活保護申請の却下通知書。
おいおい、生活保護申請しといて選挙なんか出てる場合かよ!? 却下の理由は「預貯金があるため」とのことだが、少なくとも市議選の供託金30万円は用意できている。これは、明らかにお金の使い方を間違えているように思う。
選挙公報にも「保護申請却下禁止」とだけあり、インパクトがあった。
押越清悦・目覚めよ日本党代表も立候補。これまで都知事選や都議選などに出馬経験がある。
いわゆる“電波系”の人で創価学会を批判しているのだが、彼同様に創価批判をしている長井秀和・西東京市議の応援を受けていた。
九鬼ともみ・立憲民主党候補のポスターには、立憲民主党の蓮舫・参院議員、辻元清美・参院議員、れいわ新選組の山本太郎代表の顔写真が並んでいる。確かに、知名度のある人たちではあるのだが、なんとも胡散臭さを感じるのは私だけだろうか。
JR八王子駅前では、高橋剛・都民ファーストの会候補が街宣を行なっていた。応援演説をしているのは地元の滝田泰彦・前都民ファーストの会都議。
2021年の都議選、八王子では都民ファーストの会は2人の現職が共倒れに終わっていた。そんなこともあってか候補者を高橋候補1人に絞り、手堅く当選を果たした。
また、京王八王子駅に向かう途中、森嶋厚博候補が信号待ちをしているところを見かけた。ひょっとしたら街宣を終えて駅に向かうところだったのだろうか。
会派は次の通りとなった。
議長は自民党の鈴木玲央市議、副議長は公明党の美濃部弥生市議を選出した。
◆武蔵野市議会議員選挙
今回最初にウォッチしたのは武蔵野市議会議員選挙であったが、それに関しては別途レポートを書いたのでご覧頂きたい。
◆三鷹市長選挙
4年前、現職の清原慶子市長が破れるという波乱があった三鷹市。
しかし今回は現職の河村孝市長に80歳の元共産党市議が挑む構図。これでは波乱は期待できない。河村市長が大差で再選した。投票率は48.32%で、前回の48.60%を下回った。
◆三鷹市議会議員選挙
定数28に40人が立候補。投票率は48.34%で、前回の48.61%をわずかに下回った。
政党別の当選者数は次の通り。
立憲民主党、都民ファーストの会が議席を増やし、れいわ新選組と参政党が議席を獲得したが、全体的には大きな変化の乏しい選挙区だった。
トップ当選は成田千尋市議。
2位の加藤浩司・自民党元市議は2度都議選に挑むも当選出来ず。今回、6年ぶりの市議会返り咲きとなった。
旧NHK党では、白沢麻衣子候補が「NHK党」から立候補。三鷹市では政治家女子48党からの擁立は無かったが、惨敗に終わった。旧NHK党はもともと都市型政党で、4年前も市部では八王子市しか当選出来ていない。今回も結果的に市部では全滅している。
長谷川洋平候補はNHK党の諸派党構想に共鳴して、「炭つくり党」を名乗って総選挙や参院選に出馬した経験もある。今回は無所属であったが、下から2番目の得票で惨敗に終わった。
最下位だったのは芳川知弘候補。面白いのは選挙ポスターに謎解きを載せている。全部で80種類以上あるというので、他にも探してみればよかったかもしれない。
会派は次の通りとなった。
議長は自民党の伊藤俊明市議、副議長は公明党の粕谷稔市議を選出。
◆青梅市議会議員選挙
定数24に30人が立候補。投票率は45.42%で、前回の47.91%を下回った。
政党別当選者数は次の通り。
前回トップ当選の大勢待利明市議は、11月の青梅市長選立候補のため不出馬。同じく2位だった「みどりのオンブズマン」の飛騨紀子市議も引退。トップ当選は鴨居孝泰市議だった。
自民党は2議席増。
都民ファーストの会も初めて議席(2議席)を獲得した。
一方、前回は国民民主党で当選した片谷洋夫市議が今回は無所属で出馬し当選している。
会派は次の通りとなった。
議長には自民クラブの島崎実市議、副議長は公明党の湖城宣子市議を選出した。
◆府中市議会議員選挙
定数30に35人が立候補。投票率は45.74%で、前回の46.64%を下回った。
政党別当選者数は次の通り。
2020年6月2日、府中市発注の約1億円の工事を巡って最低制限価格の情報が漏洩するという官製談合事件が発覚。当時自民党所属だった村木茂市議と臼井克寿市議の2名が逮捕されている。両者は市議会を辞職。後に有罪判決を受けた。また、同じく情報漏洩されたとされる自民党の加藤雅大市議も辞職している。
そういう事情もあって、自民党は5人の候補者しか擁立出来なかったが、その5人全員が当選を果たした。
公明党と立憲民主党も全員当選。しかしながら共産党は現職の赤野秀二市議が次点で落選となった。
前回までは共産党で当選していた結城亮市議は、2020年の都知事選で共産党が推薦していた宇都宮健児候補の歴史認識をめぐって反発。2020年6月に共産党を離党して会派「市民の風」を立ち上げた。それに対して共産党は結城市議を除名処分とし、議員辞職も求めていた。結城市議は前回の1,869票から大きく票を上積みしている。2020年には参政党の一般党員となったとのことである。
維新の会、れいわ新選組、参政党も新たに議席を得ている。
前回2議席を獲得した生活者ネットワークであるが、現職の西埜真美市議は2期目であった。ネットは現職議員は2期目までという決まりがあるため、西埜市議も他の候補者に交代するはずであった。ところが、後継候補を決めることが出来ず、ネットは候補者を1人に減らすと決定した。市民の声を受けて西埜市議は3期目の挑戦を決定したが、そのために生活者ネットから除名されてしまった。引き続き生活者ネットから立候補した奥村幸子市議は当選。西埜市議も当選を決めている。
政治家女子48党からは元テニスプレーヤーの古谷真李奈候補を擁立したが、下から2番目という得票で惨敗であった。
会派は次の通り。
議長は市民フォーラムの手塚歳久市議、副議長は自由クラブの備邦彦を選出した。
◆昭島市議会議員選挙
定数22に26人が立候補。投票率は45.54%で前回の45.12%を上回った。
政党別当選者数は次の通り。
主要政党の議席数は変わらず。
生活者ネットワークが1議席減。
都民ファーストの会が1議席増。
維新の会とれいわ新選組が新しく議席を獲得した。
前回は長島昭久代議士が立ち上げた「未来日本」で当選した小林浩司市議は今回は自民党公認で当選。もともとは民主党の所属だったが、長島代議士と行動を共にしている。
社民党は議席を維持したが、参政党は議席に届かなかった。
会派は次の通り。
議長は公明党の赤沼泰雄市議、副議長は自民党の高橋誠市議を選出。
◆調布市議会議員選挙
定数28に44人が立候補。投票率は44.10%で、前回の40.99%を上回った。
党派別当選者数は次の通り。
現有3議席の自民党は、倍の6人を立て、うち5人が当選。公明党と並んで第1党となった。
共産党は2人落選して2減。
維新の会が1議席増。
国民民主党とれいわ新選組が新たに議席を獲得した。
前回まで社民党で当選していた榊原登志子市議は、今回立憲民主党から当選。社民党は議席を失った。
唯一、街宣を見ることができた阿部草太市議も、再選を果たした。
NHK党は元タクシー運転手の柏木芳文候補。
政治家女子48党は川辺みか候補を擁立するも、共に惨敗に終わっている。川辺候補の肩書の、「栄養士免許取得、書道4段取得、化粧品検定1級取得、水泳歴10年」とあるが、これって単に資格を書いただけなのでは?
高畑康範候補は寿司屋勤務。キャッチフレーズに「今こそ普通の人の声を!!」とあったが及ばなかった。
赤座孝明候補は「女性が笑顔になる党」公認。告示前から、国領の交差点で辻立ちをしていたとのことだが、下から2番目の得票で落選している。
最下位は大島大和候補だった。
会派は次の通りとなった。
自民党公認でトップ当選した伊藤学市議は自民党会派に加わらず、1人会派「自由民主党創政会」を結成した。そのため第1会派は都民ファーストの会、国民民主党などで結成された「チャレンジ調布」となった。
議長はチャレンジ調布の井上耕志市議、副議長は公明党の内藤美喜子市議を選出した。なぜか第2会派の自民・維新で無く第3会派の公明党から副議長が選ばれている。
◆小平市議会議員選挙
定数28に33人が立候補。投票率は44.78%で、前回の44.20%を超えた。
党派別当選者数は次の通り。
自民党が2議席増やした。
また、立憲民主党も1議席増。
公明党、共産党は前回と同じ。
前回3人当選の生活者ネットが今回は2人擁立して共に当選している。
日本維新の会とれいわ新選組が議席を獲得したが、参政党は候補者を立てなかった。
トップ当選は維新の会の石津遥香市議。2021年の補欠選挙に無所属で出馬し初当選している。
同じく補選で初当選した外山真奈美・自民党市議も議席を守っている。
社民党で2回連続当選している中江美和市議は、今回は立憲民主党から立候補して当選。一方の社民党は宮川和之候補を立てるも及ばず。
緑の党グリーンズジャパンの橋本久雄市議は次点で落選。同党唯一の現職議員としての立候補だったが、議席を維持することは出来なかった。(ただし、杉並区で新人が当選)
今回、唯一直接会うことが出来たのが立憲民主党の吉本祐之市議。夕方、東大和市駅前で挨拶をしていた。なんでもコロナ禍で娘が生まれたのだとか。
最下位で落選したのは井谷快平候補。反ワクチン陰謀論者らしく、ワクチン接種者は「すぐ解毒して」などと主張。もし事実なら大問題である。事実ならね。
会派は次の通りとなった。
議長は自民党の松岡篤市議、副議長は立憲民主党の中江美和市議を選出。
◆東村山市長選挙
与野党激突。現職の渡辺尚市長渡辺尚市長に挑むのは、藤田雅美・元市議。4年前の市議選に立憲民主党公認で初当選している。
渡辺市長は多選批判をものともせず5選を決めた。ちなみに渡辺市長のポスターにいるカエルのキャラクターは「たかっしー」という。
投票率は47.86%で、前回の47.97%をわずかに下回った。
◆東村山市議会議員選挙
定数25に30人が立候補。投票率は47.86%で、前回の47.97%を下回った。
政党別議席数は次の通り。
公明党が6議席で第1党となった。
続いて1議席減だが4議選の共産党が第2党。
自民党は公認候補だけでは当選3名だったが、推薦候補3名が当選している。
日本維新の会が新たに1議席を獲得し、生活者ネットワークは1議席を維持。
参政党は議席に届かなかった。
トップ当選は自民党の土方桂市議。
次いで、日本維新の会の角田一帆候補だった。
何かと話題になる朝木直子市議は8度目の当選を果たした。朝木市議は1995年4月の市議選で初当選したものの、当選直後に千葉県松戸市に転出し、被選挙権を失ったとして当選を辞退し、次点であった矢野穂積候補が繰り上げ当選となった。しかしこのことが、有権者の意思を蔑ろにするものとして問題となり、繰り上げ当選無効の裁判となった。8月に矢野候補の繰り上げ当選無効の判決が出たが、朝木市議も転出により議席回復が認められず、東村山市議会は欠員1となったのである。
1995年の市議選では朝木市議の母親の朝木明代市議もトップ当選を果たした。ところが同年7月、朝木明代市議は東村山駅前の事務所から転落死している。警察は自殺と判断したが、朝木直子前市議らはかねてから批判していた創価学会・公明党による謀殺であると主張した。創価学会側が朝木直子前市議らを名誉棄損で訴えると、朝木直子前市議側も創価学会を名を名誉棄損で訴えるなど、批判合戦が泥沼化。朝木直子市議の主催する「東村山市民新聞」では現在も創価学会・公明党批判を続けている。朝木直子市議は1999年の東村山市議選でトップ当選し、実質的な市議会議員をスタートさせている。会派は「草の根市民クラブ」である。
矢野穂積・元市議は2019年に落選し21年に死去。今回は子安潤候補が後継として立候補し、再選している。
わたなべたかし候補は市長と同姓同名(わたなべ市議候補の漢字は不明)。今回、渡辺尚市長とわたなべ候補が当選したことで、東村山市に2人の「わたなべたかし」が存在することになった。ややこしくはないのだろうか。
会派は次の通り。
議長に自民党の小町明夫市議、副議長に公明党の渡辺英子市議を選出。
◆国分寺市議会議員選挙
当選3,019森田 崇 46 自民党・現
当選2,587鈴木 千尋 27 無所属・新
当選2,552丸山 哲平 41 無所属・現(自民党推薦)
当選2,458寺嶋 壮志 29 維新の会・新
当選2,366尾沢 脩 39 自民党・現
当選2,269小坂 昌代 53 生活者ネット・現
当選2,203木村 徳 54 無所属・現
当選2,144鳥居 茜 42 無所属・新(自民党推薦)
当選2,106対馬 史尭 37 自民党・新
当選1,989木島 崇 53 公明党・現
当選1,947中山 郷 43 共産党・現
当選1,925久保 啓子 56 公明党・新
当選1,840松岡 真里 38 生活者ネット・新
当選1,814伊達淳一郎 40 立憲民主党・現
当選1,798高瀬かおる 61 生活者ネット・現
当選1,755及川 妙子 64 立憲民主党・現
当選1,642田中 政義 46 自民党・現
当選1,586萩野 英輔 46 公明党・新
当選1,549星 逸郎 49 立憲民主党・現
当選1,444皆川りうこ 66 無所属・現
当選1,366新海 栄一 74 自民党・現
当選1,361高野 文生 56れいわ新選組・新
1,347岡部 宏章 47 共産党・現
1,293金沢 学人 45 共産党・新
1,130長谷部豊子 58 立憲民主党・現
1,096尾作 義明 59 無所属・現(自民党推薦)
930甲斐 嘉人 56 無所属・元
920脇村 太樹 37 参政党・新
204小野寺 修 59 無所属・新
66池田 俊一 52 無所属・新
定数22に30人が立候補。投票率は49.29%で、前回の47.79%を上回った。
政党別議席数は次の通り。
自民党、立憲民主党、そして生活者ネットワークが1議席増やした。トップ当選は自民党の森田崇市議だった。
日本維新の会とれいわ新選組も新たに1議席獲得。
一方、共産党は前回より1議席減。前回の選挙直後の7月15日、幸野統市議が過労のため実家で療養中に死去。次点だった共産党の中沢正利市議が繰り上げ当選していた。その中沢市議は引退。
現職の岡部宏章市議が次点、中沢市議の後任の金沢学人候補が次々点となり、現有議席からは2減であった。ちなみに幸野・元市議も2017年までは共産党の所属であったが離党している。
前回、国民民主党で当選した及川妙子市議は、今回は立憲民主党で当選している。
維新の会は29歳の寺嶋壮志候補。国立駅前で見かけたが、元気に自転車で駆け抜けていった。
公明党のポスターが青1色。
なんでも、経費節約のために1色刷りにしているとのこと。それにしても、全候補が同じポスターというのはなんとも味気ない。ただでさえ公明党の議員は画一的だと批判されているのだから、もっと候補者ごとに特徴を出してもらいたい。
そういう意味では、新海栄一・自民党市議のビルのポスターは目立つ。6期目を目指すベテランだが、国分寺駅北口の再開発はこの人のおかげらしい。
甲斐嘉人・元市議は「福祉が専門」であることをアピールしている。6期務めたが、2016年に酒気帯びで本会議に出席。その際に車で登庁していたことから酒気帯び運転の疑いもあり、議会によって辞職勧告が出されていた。2019年に落選。今回はますます票を減らし、返り咲きはならなかった。
小野寺修候補。ポスターを観る限り、なんとも冴えないおじさんといった印象を受ける。もっと特徴を出さないと厳しいかと思ったが、案の定下から2番目の得票で落選した。
最下位は池田俊一候補だった。
会派は次の通り。
議長は自民党の田中政義市議、副議長は立憲民主党の伊達淳一郎市議を選出した。
◆国立市議会議員選挙
定数21に31人が立候補。投票率は49.76%で、前回の49.18%をわずかに上回った。
党派別当選者数は次の通り。
共産党が1減らした他は、主要政党の議席数に変化はなかった。
生活者ネットワークが1議席増。
また、日本維新の会が新たに議席を獲得している。
前回は緑の党グリーンズジャパンで当選した重松朋宏市議は今回不出馬だった。
国立駅で下車すると、駅前で日本維新の会が街宣中であった。維新は30歳の中川貴大候補を擁立している。また、維新の会の柳ヶ瀬裕文・参院議員が応援演説に立っていた。今回、中川候補はトップ当選を果たしている。
すぐ近くには参政党の橋本泰司候補の姿もあった。中川候補を意識してか、維新の会批判に終始していた。
また、藤江竜三市議の姿もあった。3児の父だという。
ポスター掲示板を眺めると、お隣国分寺と同様に公明党の候補者は全員が青の1色刷りであった。
ポスターで気になったのは石塚陽一市議。自身の顔のイラストを用いている。もともとは自民党に所属していたが、2017年にセクハラ疑惑で議員辞職。前回は無所属で立候補し、最下位当選ではあったが返り咲きに成功していた。今回はついに落選ということになった。
社民党の藤田貴裕市議。「Better Life For All」のプラカードを掲げたポスターで社民党の議席を守った。
星野隆彦候補の政治団体名は「国立駅前に無償の公立保育園幼稚園を造る会」。前回の統一地方選でNHKから国民を守る党が躍進して以降、こうしたワンイシュー政党が増えてきたように思う。しかしこのようなピンポイントの政策だけで地方議員としての仕事が出来るかどうかはおおいに不安なところ。結局、星野候補は最下位で、有権者に理解してもらうことは出来なかったようだ。
NHK党も上山喜崇候補を立てていたが、ブービーの得票に終わっていた。
会派は次の通りとなった。
議長は自民党の高柳貴美代市議、副議長は自民党の青木淳子市議と、どちらも自民党の女性市議が選ばれた。
◆福生市議会議員選挙
定数19に20人が立候補。落選するのがたった1名という激戦になった。投票率は45.75%と、前回の49.22%を下回った。なお、前回は23人が立候補していた。
党派別当選者数は次の通り。
自民党は無所属11人を推薦し、そうのうち10人が当選している。
トップ当選は生活者ネットワークの三原智子市議。
新たに日本維新の会が議席を獲得したため、自民系無所属1名が落選という結果だった。
会派は次の通り。
議長は正和会の武藤政義市議、副議長は公明党の青木健市議を選出。
◆狛江市議会議員選挙
定数22に33人が立候補。投票率は50.72%と、前回の49.45%を上回った。
党派別当選者数は次の通り。
自民党が1議席増やし、維新の会が新たに議席を獲得。
その一方で立憲民主党と共産党が議席を減らした。
現職2名や政党公認候補が落選しているものの、最下位当選者と次点は130票以上差があった。おそらく票が特定の候補者に集中したのが原因だろう。
次点はれいわ新選組。
社民党公認で前回次点で落選した市原広子・元市議は返り咲きならなかった。
29歳の長橋拓哉候補は「明石市の子育て支援を狛江市にも」公認。これって、政党名というより政策なのでは?
会派は次の通りとなった。
議長は自民党の谷田部一之市議、副議長は共産党の宮坂良子市議を選出。
◆東大和市長選挙・東大和市議会議員選挙
別途レポートを執筆したので、そちらをご覧頂きたい。
◆清瀬市議会議員選挙
定数20に27人が立候補した。投率は47.57%で、前回の52.46%を大きく下回った。
党派別当選者数は次の通り。
共産党と立憲民主党が1議席減らした他は、前回と同じ。自民党は公認候補の当選は1名のみだが、推薦候補5人が当選している。
トップ当選は唯一の自民公認の清水浩長市議。無所属で初当選した前回よりも700票近く票を増やしている。
なお前回まで3回続けてトップ当選だった渋谷信之・元区議は、2021年都議選に立候補して当選している。
当落線上に共産党の現職3人が並び、サバイバルマッチの末に山崎美和市議が涙を飲んだ。
立憲民主党は引退した斉藤実・前市議の後任の清水俊作候補が議席を守れなかった。
会派は次の通り。
自民会派の城野兼一市議は、前回の任期までは一人会派「清瀬みらい」であったが、今回から自民党会派に加わっている。
議長は自民党の森田正英市議、副議長は共産党の佐々木敦子市議を選出。
◆東久留米市議会議員選挙
定数22に26人が立候補。投票率は44.09%で、前回の44.70%をわずかに下回った。
政党別当選者数は次の通り。
自民党が2議席を減らしている。もっとも前回自民党で当選した篠宮宣典と野島武夫市議が共に無所属で出馬しており、推薦も含めれば前回と同じ4となる。
立憲民主党も1議席減。
前回立憲民主党で当選した佐藤一郎市議は、今回は維新の会に移籍して議席を守った。
れいわ新選組と国民民主党も新たに議席を獲得。
社民党の青木佑介市議は次点に終わった。今回の統一地方選、社民党の現職が立候補したのは板橋区、昭島市、国立市、多摩市とここ東久留米市の5選挙区だったが、議席を守れなかったのは東久留米市だけだった。
会派は次の通り。
議長は公明党の沢田孝康市議、副議長は自民党の島崎孝市議を選出した。
◆武蔵村山市議会議員選挙
定数20に23人が立候補。投票率は39.77%で、前回の41.54%を下回った。多摩地域は比較的投票率が高いが、この数値は小平市の34.62%に次いで低かった。
武蔵村山市は都内の市区で唯一駅のない市。従って、駅前での街宣を行なうことが出来ない。残念ながら候補者に会うことは出来なかった。
政党別当選者数は次の通り。
トップ当選は無所属の天目石要一郎市議。
珍しい名字だが「あまめいし」と読む。
武蔵村山市には自民党公認候補がおらず、推薦候補4人を立てていたが、全員当選。
立憲民主党は現職の須藤博市議が引退。後任を立てなかったことから1議席減となった。
新たに議席を獲得したのは日本維新の会だった。
落選したのは3名だが、そのうち2名は100票に満たない泡沫候補。実質的には1名だけが落選する激戦だったようだ。その唯一の落選は佐藤智幸候補。
2児の父だそうだ。
惨敗の2人はポスターを観ることが出来なかった。選挙公報を見ると、味村彰久候補はただ「よろしくお願いします。」と手書きで書いてあるだけ。
にもかかわらず、比較的まともな選挙公報の苅谷義和候補よりも得票を挙げている。
会派は次の通り。
議長は自民党の田口和弘市議、副議長は公明党の遠藤政雄市議を選出。
◆多摩市議会議員選挙
別途レポートを執筆したので、そちらをご覧頂きたい。
◆稲城市長選挙
与野党激突となったが、現職の高橋勝浩市長が3選を決めた。投票率は49.75%で、前回の50.90%を下回った。
◆稲城市議会議員選挙
定数22に24人が立候補。投票率は49.75%で、前回の50.9%を下回った。
政党別当選者数は次の通り。
主要政党は前回とほぼ同じ。
前回は国民民主党で当選した梶浦美佐子市議が今回は無所属で当選した。
自民党は公認は2名のみだが、推薦5名も当選している。
落選者は2名のみだったが、共に最下位当選者の半分以下の得票しか挙げておらず、実質的には無風だったようだ。
自民党系議員が分裂。稲志会と新政会の2つの会派が誕生している。
議長は稲志会の北浜堅一市議、副議長は新政会の坂田健史市議を選出。
◆羽村市議会議員選挙
定数18に24人が立候補。投票率は45.45%で、前回の46.66%を下回った。
党派別当選者数は次の通り。
都民ファーストの会が1議席獲得し、国民民主党が議席を失った以外は前回と同じ。
自民党は推薦候補5人中4人が当選した。
前回国民民主党で当選した馳平耕三市議は今回無所属で当選。
一方、前回無所属で当選した浜中俊男市議が都民ファーストの会公認で当選している。
会派は次の通り。
議長は新政会の冨松崇市議、副議長は公明党の富永訓正市議を選出した。
◆瑞穂町議会議員選挙
定数16に17人が立候補。投票率は43.07%で、前回の48.44%を下回った。
1名だけ落選のはずであったのだが、最下位当選となるはずの角田統領候補が法定得票の176.937票に満たず、当選が認められなかった。定数を1つ下回る状態でのスタートとなった。
その角田統領候補は町長選挙や都議選にも立候補経験のある名物候補。かつては「角田豊治」名義で出馬しているのであるいはそれが本名なのかもしれない。2021年4月の瑞穂町長選挙までは「大統領会」公認で立候補していたが、同年7月の都議選からは「立憲共和党」から出馬している。2011年の町議選でもたった1名の落選者となっていたが、またしても念願の当選には届かなかった。
政党別当選者数は次の通り。
自民党は推薦候補8人全員が当選。
また、新たに立憲民主党と日本維新の会が議席を獲得した。
最下位は角田統領候補を下回る得票で池田哲郎候補。数年前に健常者から身体障害者2級になったとのことで、選挙公報を見ると比較的まとも。にも関わらず明らかにイロモノの角田候補を下回ったという事は、ろくに選挙運動をしていなかったからなのだろう。
会派は次の通り。
議長は自民党誠和会の山崎栄町議、副議長は公明党の森亘町議を選出。
◆檜原村長選
2015年以来8年ぶりの選挙戦となったが、新人の吉本昂二候補が競り勝った。投票率は78.60%だった。
◆檜原村議会議員選挙
島嶼部を除く都内の本土で唯一の村である檜原村。定数8に10人が立候補。投票率は78.6%で、前回の75.64%を上回った。これでも十分投票率は高いのだが、2015年の前々回までは毎回8割を超えているので、だいぶ下がった方である。
政党別当選者数は次の通り。
都民ファーストの会が1議席を獲得した以外は全員が無所属。
これまでは公明党の浜中由造村議が議席を持っていたが、今回引退で不出馬となっていた。
また、自民党は推薦候補5人が当選している。
会派は次の通り。
中村賢次村議の会派「中村」っていうのは何だ?
議長は自民党檜原新政会の峰岸茂村議、副議長は同じく自民党檜原新政会の野村雅巳村議を選出。
◆大島町長選挙
新人3人による三つ巴となったが、坂上長一町議が当選。わずか10票差という僅差での当選だった。投票率は76.58%で前回の78.79%を下回った。
◆大島町議会議員選挙
大島町は伊豆諸島最大の島・大島全域を町域とする自治体である。定数14に15人が立候補。落選1名の激戦となった。投票率は76.58%で、前回の78.79%を下回った。
党派別当選者数は次の通り。
最大勢力は共産党。次いで自民党と公明党だった。
前回トップ当選の坂上長一町議は今回は町長選挙に立候補して当選している。
唯一落選したのは河合弘行候補で、得票は最下位当選の松島良清・元町議の約半分という惨敗。島嶼部の選挙というのは町内の人間関係でほぼ決まってしまうというから、あるいはもともと当選は厳しかったのかもしれない。
選挙公報を見ても比較的まとも。
むしろ当選した候補者の方が手書きで泡沫候補感があった。
会派は次の通り。
政党公認候補以外は全員が無会派となっている。
議長は無所属の中村佳一市議、副議長は共産党の小池渉市議を選出した。
◆神津村議会議員選挙
神津島村議会議員選挙は定数8に8人ちょうどが立候補した。党派は全員が無所属。そのうち自民党推薦が5名となる。
議長は石田隆美智村議、副議長は小林正吾郎村議を選出。
◆御蔵島村議会議員選挙
三宅島の南約20キロに位置する御蔵島。定数6に5人しか立候補せず。1名減で議会がスタートした。御蔵島村議会選挙は2011年も無投票であったが、その際は定数いっぱい6人が立候補していた。
政党別では次の通り。
共産党が2議席以外は全員が無所属。ただし自民党推薦が2名であった。
議長は栗本道雄村議、副議長は広瀬旭治村議を選出した。
◆小笠原村議会議員選挙
東京から南に約1000キロ。所要時間は船で24時間という僻地にある小笠原村。父島と母島の2島から構成される。
定数8に10人が立候補した。前回は8人ちょうどの立候補で選挙が行なわれなかったため、8年ぶりの選挙となった。投票率は64.82%だった。
所属党派は全員が無所属であるが、自民党推薦候補4人が当選している。
トップ当選は新人の宮城ジャイアン候補。本名は宮城雅司だが、村内ではずっと「ジャイアン」のあだ名で呼ばれてきたことから、あだ名で立候補したとのこと。
圧倒的得票で初当選を決めた。
現職では唯一、築館俊一村議が落選している。築館村議は前回は無投票で初当選だったため、初の選挙で落選となった。
議長は片股敬昌村議、副議長は安藤重行村議を選出した。
◆最後に
これで、統一地方選挙での都内の全ての選挙結果をレポートすることが出来た。選挙があったのは4月。季節は春だったが、夏をはさんですっかり秋になってしまった。ここまで時間が経つと、すっかり記憶からも遠ざかってしまっているのではないだろうか。とはいうものの備忘のためにも、全てを紹介することにした。
選挙は終わったが、当選した議員たちにはその地域をよくするために尽力してもらいたい。また、落選した人たちには再起を期して今後もがんばって欲しい。次の選挙は4年後の2027年だが、すでに選挙は始まっている。いったいこれからどのようなドラマがあるのか、引き続き注目していきたい。