2023年多摩市議会議員選挙レポート
統一地方選挙の一貫として東京都多摩市議会議員選挙が4月16日告示、23日投票で実施された。
◆多摩市議会議員選挙立候補者一覧
多摩市議会議員選挙は定数26に38人が立候補した。多摩市は野党系の阿部裕行市長がいることもありもともと野党が強い地域である。
立候補者は次の通り。
政党別の立候補者数は次の通り。( )は現有議席。
現有5議席の自民党は、1人上乗せの6名を擁立。公明党、共産党、立憲民主党、生活者ネットワーク、社民党は現有議席と同じ人数を立てた。前回1議席の日本維新の会は、現職に加え新人を擁立している。
自民党、公明党、共産党の勢力が拮抗しており、最大勢力がどこになるのかも注目である。
◆多摩市議会議員選挙ウォッチング
多摩市議会議員選挙をウォッチした。聖蹟桜ヶ丘駅で多くの候補者と会うことが出来た。
自由民主党は5人の候補者を擁立。そのうち松田大輔市議3度目の当選を目指している。
石山弘明市議は昨年の市長選の際に行なわれた市議補選で初当選。今回、初めての市議選となる。
桐木優市議も2018年の市議補選で初当選。通称「きりっきー」。今回、3期目をめざす。
候補者本人には会えなかったが、山崎祐嗣市議のポスターはイラストを利用し、ポスターの名前の部分が光るというもので目立っていた。
飯島文彦市議は前回は自民党推薦であったが、今回は自民党の公認を得ていた。
自民党唯一の新人が39歳の石塚淳志候補。キャッチフレーズは「アツいあつしが多摩を変える」。
2回連続トップ当選の藤原正範市議はもともとは自民党所属で、市議会議長も務めているが、昨年の市長選出馬を表明した際に自民党を離党。結局、市長選には出馬しなかったが、今回は無所属で立候補していた。
立憲民主党は現有2議席。市議会では会派「フェアな市政」を結成している。白田満市議は過去に市議会議長の経験もある。鈴鹿8時間耐久レースにメカニックマンとして参加したこともあるそうだ。
共に「フェアな市政」を組む無所属の岩永久佳市議と一緒に街宣している様子も見られた。
公明党は現職5人を擁立。荒谷隆見市議は4期目を目指すベテラン。
本間利江市議は3期目を目指す。にこやかな笑顔が好印象だった。
共産党も前回と同じ5人を立てる。小林憲一市議はなんと8期目を目指す。
都議選にも出馬していた上杉直候補は引退する安斎きみ子市議の後継として立候補。
このところ勢いに乗る日本維新の会は、現職の藤條尭之市議に加え、新人の鬼塚こずえ候補を擁立した。
維新の会は2021年総選挙でも多摩市の含まれる東京21区で候補者が健闘していた。
多摩・生活者ネットワークは現職2人が立候補。そのうち岸田恵市議に会うことが出来た。
社民党も現職の伊地智恭子市議を擁立。
昨年の市長選挙に市議を辞職して立候補し次点に終わった遠藤千尋・元市議も返り咲きを狙って立候補してきた。
この遠藤元市議は、無所属で立候補していた中島律子候補と連携していた。中島候補はダウン症の娘との二人三脚で選挙を戦っているとのこと。
篠塚元市議は阿部市長派を標榜する。民主党で都議も経験したが、その後落選。前回市議に返り咲いている。
今回、妹尾浩也候補と一緒に街宣する様子を見かけたが、うっかり妹尾候補の写真は撮り忘れてしまった。
前回次点だった三井健候補。前回は自民党の推薦を得ていたが、今回は初挑戦の東京新党16の推薦を受けている。三井候補は昨年の市議補選でも落選しており、3度目の正直なるか。
岩崎啓太郎候補は、フリーター、ニートを経て、29歳で看護学校卒業後、看護師として勤務しているとのこと。
今回、多摩市の掲示板を見て驚いた。
なんだ、これは! 武蔵野市にも負けず劣らずカオスである。
二木正和候補は昨年の市議補選以来の立候補だが、顔が前回のポスターより少しアップになっている!?
そして福島隆太候補。
「好きです多摩市」とあるだけで何をしたいのかがわからない。しかも、掲示責任者名と印刷者名を大きく載せている意図が不明。
選挙公報を見てみたが、やはり意味不明。いったいどんな精神状態ならこんな選挙公報書けるんだろう。
この福島候補に関しては彼の知人という人から情報を得た。
なんでも承認欲求の塊で、選挙の目的も「自分という存在を認知してもらいたい」なのだと。風変わりな事さえすれば注目を集められると考えているようで、その知人の助言にも耳を貸さなかったらしい。
◆2019年市議会議員選挙開票結果
前回2019年の市議選の結果は次の通り。32人が立候補し、投票率は46.56%だった。
◆多摩市議会議員選挙開票結果
多摩市議会議員選挙は4月23日に行わなれ、開票の結果は次の通りとなった。
投票率は47.35%で前回の46.56%を上回った。
政党別当選者数は次の通り。
立憲民主党が1議席減らし、維新の会が1議席増やした以外は前回と同じ。
藤原正範市議が3回連続のトップ当選を果たした。
自民党は前回と同じ4議席だが、現有勢力の5議席は下回っている。現職のうち、山崎祐嗣市議が議席を失う。また、唯一の新人の石塚淳志候補は次点に終わった。その結果、自民党は第3党に。
公明党と共産党が全員当選で、共に議会第1党となった。
生活者ネットワーク、社民党も現職が議席を守っている。
立憲民主党は現職の大野正樹市議が落選し、1議席減だった。
逆に日本維新の会は現職の藤條尭之市議に加え、鬼塚こずえ候補が当選し2議席に。全国的な維新の勢いは衰えていないようだ。
遠藤千尋・元市議も返り咲きに成功。藤原市議、岩永久佳市議に続く3番目の得票だった。
阿部市長派の篠塚元・市議は当選したが、妹尾浩也候補は惨敗に終わっている。
中島律子候補が新人候補では最も上位で当選。無所属新人では今回唯一の当選者でもあった。
前回次点の三井健候補は前回よりも票は増やしたものの落選。東京新党16の推薦を受けていたが及ばず。同党の候補者は北区や豊島区で全滅に終わった。
仁木候補と福島候補がワースト2トップであったのはある意味当然だろう。
ちなみに下から3番目は清水譲候補。ポスターを見る限りまともそうなのだが、95票しか獲得出来なかった。ということはまともに選挙運動をしなかったということなのだろう。
◆多摩市議会会派構成
多摩市議会は各会派が均衡する傾向にあり、毎回のように最大勢力が入れ替わる。例えば2019年までは立憲民主党議員を中心とした「改革みらい」が第1会派であった。前回選挙後には自民党会派「新政会」が「改革みらい」から遠藤千尋市議と藤條尭之市議を引き抜き7議席で最大会派となった。
今回も共産党と公明党が5議席、自民党が4議席で勢力が拮抗しており、会派をめぐる駆け引きがあるのではないか。
会派は次の通りとなった。
前回は自民会派に加わっていた遠藤千尋市議と藤條尭之市議は鬼塚こずえ市議、中島律子市議と共に「あすたま・市民」を結成した。自民党を離党した藤原正範市議も自民党会派には加わらず1人会派「志政会」となった。そのため、最大会派で共産党と公明党が並んだ。
また、「フェアな市政」も解消され、「青空りっけん」(白田満)、「多摩の風」(折戸小夜子)、「夢まち会議」(岩永久佳)に3分裂。ただその後、白田市議と岩永市議が一緒に街宣する様子が見られたので、喧嘩別れしたわけではなかったようだ。
議長は公明党の三階道雄市議、副議長は共産党の橋本由美子市議となった。
自民党が正副議長を出せなかった議会は杉並区や中野区、府中市、調布市などいくつかあるのだが、公明党と共産党というのは珍しい。
前回の市議選の際に阿部裕行市長は無党派の市長であるため、「オール与党もオール野党もあり得る」と語っていたが、そんな多摩市らしい結果だったのではないだろうか。
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