見出し画像

記憶が塗り変わったバルセロナ【2022年ふつうの旅 #18スペイン】

観光、仕事、生活しながらゆく #2022年ふつうの旅

ロンドンからスペインへ飛んだ。
14℃から24℃
秋から夏へ逆戻りである。

ヤシの木が生い茂っている。フルーツが安い。Tシャツ1枚ですごせる。海水浴だってまだまだできる。夏だ。南国だ。

まだ夏は終わってなかった

気温が高いとなんだか気持ちも上向きになるような気がする。ダウンジャケットは完全に邪魔な荷物になってしまった。ひさしぶりに汗をかきながら、影から影へと忍びのように移動していく。

完全に南国

サマセット・モーム「世界一美しい通り」と呼んだランブラス通りは、ど真ん中にだだっぴろい歩道があり、端っこに車道、そのさらに外側にまた歩道がある、という構成だ。街路樹がトンネルのように続いていて、たしかに美しい。

カフェや雑貨屋も多くて楽しい

ピレネー山脈によってフランスから、ヨーロッパからは隔絶した感のあるスペイン。むしろ東南アジアのような雰囲気を感じて、ほっとした。人種も多様で、いろんなローカルフードやバーバーがある。現地で髪を切ろうかな、と思うが、見本の写真がいかつい。全員エグザイルみたいな男の写真が並んでいる。

マーケットの賑わいは、命!って感じ

日和って、日本人美容師に切ってもらうことにした。10年間バルセロナに住んでいる秋田出身の方で、彼氏がヨーロッパに住みたいって言うから、1~2年のつもりで来たらこうなっちゃった、のだとか。ヨーロッパで出会う現地在住の日本人は、いい意味でのいきあたりばったり感がある人が多くて楽しい。

ひまわりをたくさん見る

バルセロナは軽犯罪は多いけどみんな親切で安心する。最近は日本の方が冷たかったり、治安が悪いと感じる、という話になった。確かに東京は、赤ちゃん連れのお母さんやお年寄りに冷たい気がする。慣れればもちろん居心地がいいから、これからも東京に住み続ける気はするんだけど。周りに友達が多いかどうかにもよるかも。

完全に教会には飽きてるけど、静かで休めるのはいい

バルのタパスはすんごい量なので、半分にすればよかった、と思い続けたまま、最後まで2人分を食べ続ける羽目になった。また、他のヨーロッパ諸国同様、クロワッサンが激烈にうまい。朝はカフェラテとクロワッサンで2.5€というのが定番となった。380円くらい。

魚うまいけどめっちゃ量多かった
最高の組み合わせ

宿は便利な場所にあるエアビーの個室で、ミュージシャンと獣医の夫婦、それに猫に迎えられた。物価が上がっているとはいえ、ドイツやイギリスに比べるとスペインはまだ高すぎず、過ごしやすい気もする。

宿から歩いて10分ほどの所に、なんとあのFCバルセロナの本拠地、カンプノウがあった。むかしサッカー部だったので、ちょっとグッと来てしまい、もう少しでバルサのユニフォームを買うところだったが、胸にデカデカとかかれているRAKUTENの文字を見て冷静になり、やめときました。

サッカー経験者なら誰しもが憧れるエンブレム
今はNikeとSpotifyがメインスポンサー
かいてあるんですよねRAKUTENて・・・

サグラダファミリアは、外から見るのも、中から見るのも、建築物としての構造やディティールや時間経過が見られて楽しい。エレベーターで上がった塔の先はやたら狭くて、そりゃあ昔はこんなにたくさんの人が写真撮りにあがってくるとは思わないもんなあと考えながら、螺旋階段で降りてきた。

建築と彫刻のあいだ
中の天井よかった
降りやすかった

同じくガウディ設計のグエル公園には、有名なトカゲの像がある。このトカゲをモチーフにしたアクセサリーや雑貨を今まで散々見てきたので、「コレが元ネタか!」となった。

トカゲは大人気
ぐにゃぐにゃしてる
見晴らしよし

旅をしていると、この「コレがアレの!」という感覚に何度も襲われる。カンボジアの遺跡で、「ゼルダの元ネタ!」と思い、オスロの彫刻公園で「ベルセルク……!」と思い、カザフスタンの大草原で「WINDOWSやん」と思う。

ポストは黄色

元ネタを発見するたびに、これまでの記憶が塗り変わるようなゾクゾクする気持ちになる。今まで愛してきたコンテンツには元ネタがあって、それと出会った時に、より深く作品を理解できたような気になってうれしくなる。ルーツを探る聖地巡礼とでも言おうか。そういえばここスペインにはサンティアゴという聖地がある。昔はそこに行った証として貝殻を持って帰ったと言う。この旅の貝殻はなんだろうか。写真だろうか。目には見えない何かだろうか。

サンティアゴ巡礼のシンボル

ピカソ美術館で感動したのは、ピカソの画風がどんどん変わること。自分に飽き続けて、新しさをつくりつづけていくことに感銘を受ける。そして、下絵の完成度の高さにグッとくる。構図と形の取り方がすごい。しかし、そのバランスも崩していく。マティスが晩年、切り絵に目覚めていくように、より直接的でバランスから逸脱したレイアウトへ、幼児退行するかのように変化していく。岡本太郎を思い起こさせる。

レイアウトよすぎ

「楽園のカンヴァス」という小説に、ピカソがいかにアンリ・ルソーから影響を受け、新たな画風を生み出したか、というエピソードが出てくるが、そのアンリ・ルソーの絵はMoMAにあるので、今からニューヨークへ行くのが楽しみになった。円安なんとかしてくれ。

線よすぎ

スペイン、バルセロナ。特に情熱的な何かを感じたりはしていないが、たくさんの元ネタと出会い、記憶が刺激される楽しい滞在となった。そしてこのあとはついにアフリカである。

NEXT COUNTRY ▶︎ TANZANIA


夕焼けはどこの国もいい


ありがとう!Thank You!谢谢!Gracias!Merci!Teşekkürler!Asante!Kiitos!Obrigado!Grazie!Þakka þér fyrir!