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メイド「あの、雇用に関する契約書とかないんですか?ママがとても心配していて…」

もしかすると皆さんはご存知ないかも知れませんが、コンカフェに居る女の子達は実は労働者なんですよ。ボランティアではありませんし、皆さんのお友達でもなければもちろん彼女でもないんです。100%例外なくお仕事なんですよね。知ってましたか?

ただ、彼女達が一概にアルバイトなのかというと、案外そういう訳でもないようでして…今回はそんなコンカフェキャスト達の雇用契約に関するお話です。それでは早速以下目次。

  • 【直接雇用と準委任契約】

  • 【準委任契約とは?】

  • 【キャストにとっての雇用形態の重要性】

  • 【事業者の負担と思惑】

  • 【総括】

  • 【あとがき】


【直接雇用と準委任契約】

学生や就職をしていない人が労働をする際に、最も一般的なのはアルバイト及びパートタイマーという就労形態です。次いで日雇い等の派遣労働が挙げられますが、一般的な飲食店に於いてはアルバイト雇用という就労形態の一択と言えるでしょう。

御多分に洩れず、飲食店であるコンセプトカフェに於いても直接雇用であるアルバイト契約が一般的ではあるのですが、近年では違った就労形態で働く女の子も増えているという現状があります。それが準委任契約、いわゆる『業務委託契約』と呼ばれているものなのですが、業務委託契約というのは法律上で定義されている名称ではなく、『委任契約』『準委任契約』『請負契約』の総称として使われているようです。

詳しく知りたい方は民法『契約』『雇用』『請負』『委任』の順(623〜656条)に記載されていますので、専門家による解説がなされているサイト等を見比べてみるといいでしょう。条文だけを読んでも理解することは難しいと思いますので、早まって六法全書を買う事は決してお薦め致しません。

〈直接雇用〉
正規雇用⇒正社員、契約社員
非正規雇用⇒アルバイト契約、パートタイ厶契約

〈業務委託〉
委任契約、準委任契約、請負契約

上記のような分類になります。


【準委任契約とは?】

民法(委任)第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

民法原文より

民法(準委任)第656条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

民法原文より

条文にある見慣れない単語『法律行為』や、その説明で用いられる『事実行為』という言葉の意味や定義に関しましては、ここでは関連性が低い為説明を省きます。

準委任契約は業種を問わず様々な場所で使われている契約ですが、コンカフェと近しい業態で使われている身近な例を出して分かりやすく説明すると、いわゆる『キャスト』と呼ばれる職業の女性達、例えばキャバ嬢風俗嬢の方々のほぼ全ては準委任契約による労働です。ちなみにコンカフェで働く女の子もキャストと呼ばれることが多く、女性の魅力がお金に代わるという意味では、極めて近しい性質があります。

事業者が社外の個人事業主、或いは事業者に対して特定の業務を委任し、受任した側は契約に則ってその委任された行為を行うことで債務の履行とし、その対価として報酬を得るというものです。契約上の特約で明記されない限り、成果物を生じさせる等の結果は問われず、基本的にはその行為を行うこと自体を契約とします。

例えばキャバ嬢で言うと、当然契約の内容にもよりますが、一般的には『席についてお酒を飲み客を接待する』ことが債務の履行であり、『接対した客と連絡先を交換し、継続的に営業をかけて次回の来店を促す』ことは債務には含まれません。実際には含まれたものとして強制させられている現実があるとしても、契約内容として明記する事は本法律の性質上無効となる可能性が高いです。※「業務遂行上の指揮監督の有無」に抵触する為


【キャストにとっての雇用形態の重要性】

アルバイト雇用の仕組みを簡単に説明すると、事業者が労働者と時給や日給等の合意を経て労働条件を結び、直接雇用を行うというものです。事業者は従業員の給与から所得税の源泉徴収を行い、従業員の代わりに納税をします。控除等がある場合には年末調整にて申請をすることで、余分に支払った所得税が国から還付されます。労働者が被扶養者である場合や、勤労学生控除を受けている場合などは、条件として所得額に制限が設けられている為、注意する必要があります。また、アルバイト雇用であったとしても、規定の条件(週の労働時間数、給与額、学生であるかないか、会社の規模など)を満たした場合には、社会保険に加入する必要が生じます。

これがどこにでもある一般的なアルバイトです。

これに対して準委任契約で労働する場合、事業者とは雇用の関係ではなく、業務の委任元・受任先という関係になります。立場も従業員ではなく個人事業主(或いは法人)となり、事業者にとっては取引相手ということになります。

所得に関しても違いがあります。アルバイトが労働契約に基づいた給与を受け取るのに対して、準委任契約では債務の履行に対する報酬を受け取るという形になります。


【事業者の負担と思惑】

※ここからが本題ですが、以下の内容は筆者の推測・憶測を元にした内容ですので、悪意や邪推が少なからず含まれている可能性が高いです。話半分で読んで頂いた上で、決して鵜呑みにはしないでください。

まず結論から先に述べると、コンカフェに於いてキャストを準委任契約で扱うこと自体に無理がある気がします。法令に則った直接雇用の契約を結び、アルバイト従業員として迎え入れるのが賢明でしょう。

事業者が準委任契約を好む理由として推測されるのは、

・源泉徴収、及び納税の手続きの手間の回避
・社会保険に加入させる義務の回避
・外注費にすることで帳簿の改竄をしやすくさせる
・外注費にすることで消費税の課税額を減らす

といったものですが、そもそも源泉徴収に関して言えば『準委任契約の報酬に対しては源泉徴収をする必要がない』という認識自体が誤りであると言えます。何故かと言うと国税庁のHPによれば、準委任契約に於いての『報酬・料金等の支払いを受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲』の項目にこのような記述があります。

ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬や料金

国税庁HPより

『コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬や料金』という条文に、準委任契約のコンカフェキャストが該当するとみなされた場合、当然事業者はキャストに対して源泉徴収を行う必要が生じます。

店内で提供するものがアルコール類メインのいわゆる『ガールズバー寄り』の営業形態のコンカフェであれば、経営実態としては『カフェ』と言うよりも『バー』という性質が強くなる為、条文に当てはめられる可能性がより高くなるでしょう。

また、契約が準委任契約であったとしても、税務調査により勤務実態が直接雇用と変わらないとみなされた場合、書類に印した契約がどんな形であろうとそれは直接雇用という扱いになります。そして『報酬』は『給与』へと変わり、事業者の経費計算にも修正が必要となります。従って納める税金の額も大きく変わることになります。

税務調査が入った場合に勤務実態として見られる点として、『仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無』や『業務遂行上の指揮監督の有無』『時間的・場所的拘束性の有無』などいくつかの判断基準があります。例えば、準委任契約にも関わらず、時給制にされていたり、勤務シフトや勤務時間を決められたり、制服の着用を強いられたり、就業規則に従わせられたりしていた場合は、直接雇用と判断される可能性が極めて高いという事です。

キャスト側のメリット・デメリット

ではキャストの立場から見る就労形態の違いはどうでしょうか?個人的な体感として、一般的なアルバイト雇用を望まないキャストが増える傾向が年々強くなっている気がします。

というのも、近年コンカフェのガールズバー化が進んでおり、働き手にも明確に『稼げる職業』としての認識が強くあり、キャバクラやガールズバーを模倣した『高額シャンパン』や『シャンパンタワー』『飾りボトル』などの文化を受け入れる店も増えました。

近年のコンカフェブームに乗じて、運営事業者に水商売の出身者が増えた影響もあると思われます。営業方法や就労形態(報酬システム)をそのまま持ち込まれた結果、現在の『コンカフェのガールズバー化』を加速させたという背景があるのでは?という推測です。またそういった店で働きたいという女の子側の需要も高まっています。

〈ガルバ化に対する女の子側の需要が高い理由〉
・ドリンクバックで稼ぐことが出来る点
・高額ボトルバックで稼ぐことが出来る点
・所得額を偽装する為の隠れ蓑に出来る点

例えば性風俗業界に従事する女の子の多くに納税意識が低いように、コンカフェ業界に於いてもそういった女の子は少なくありません。そういう層の子達にとって都合の良い働き方として受け入れられているのが「ガルバ化したコンカフェ」です。被扶養者や勤労学生控除を受けている子にとっても「存在しない収入」として利用され、確定申告を回避する等、結果的には所得の無申告や福祉サービスの不正利用を助長する働き方となっています。

この点に関しては、労働契約に関しての書面化や口頭での説明をしない事業者側にも責任はあると思いますが。やはり全体的な印象としては、お互いがお互いを利用し合って共存しているような嫌いがあります。

〈事業者〉
・面倒な手続きや業務を回避したい
・利益を少しでも削りたくない

〈キャスト〉
・少しでも多く手元に残したい
・税金の支払いを免れたい

という暗黙の「利害の一致」があります。


【総括】

・事業者の皆さんへ
女の子は直接雇用で雇いましょうね。税金もちゃんと払いましょう。労基もキッチリ守ってください。無知な女の子につけこんだりしないように。

・働く皆さんへ
所得税はキチンと払いましょうね。仕組みについて教えてくれないオーナーは危ないと思ってください。被扶養者や学生さんは所得額に気をつけましょう。


【あとがき】

ダラダラ書いていたらめちゃくちゃ長くなってしまいました。おそらくここまで読んだ人は居ないと思います。居たら全員に100円ずつあげるので会った時に言ってください。逆有料noteです。

結局何が言いたいのかと言うと、「今のコンカフェの経営者なんて殆どが胡散臭い人間だらけですよ。」という事です。大人を疑ってください。簡単に信用してはいけません。大人だからちゃんとしているとかいうのは幻想です。

ただ、ここでどれだけ正論武装をして言及しようと、彼等に届く事はありません。見なければ存在しないのと一緒ですので目を背けられるだけです。前回の喫煙問題然り、彼等の主張は決まって「みんなやってることやし別にエエやろ?何がアカンの?」というものです。そんなもんです。

パワハラ
セクハラ
利用
搾取
脱税

いい加減もう終わりにしませんか?

という気持ちを抱えながらも決して口には出さず、満面のオタクスマイルで武装し、我々コンカファーは今日も元気にコンカフェへと繰り出し戦っている訳です。素晴らしかったコンカフェ文化を取り戻し、二度と奪われないように守りたいという一心で。

本部以蔵風に言うと「守護りたい」とも言います。
※バキを読んでない人は無視をしてください。

記憶にも新しい昨年の事件により、コンカフェに対するイメージは貶められ、コロナ蔓延も相まって業界全体に大きな陰を落としました。コンカフェは素晴らしい文化です。少女達が胸を張って「成りたい」と言える職業であって欲しい。親が心配するような職業であって欲しくない。

キラキラしたキャストに憧れた女子中高生達が、夢を思い描いていつしか足を踏み入れる、コンカフェはそういう世界です。クリーンであって欲しいと願うのは変でしょうか?パワハラやセクハラで傷付けられる子がもう二度と出ないようにと願うのは変でしょうか?脱税に加担させられる子が増えないようにと願うのは変でしょうか?

綺麗事は嫌いですか?私は大好きなんですよね。

誰に何を言われようと一生綺麗事を言い続けたいです。そういう人間で居続けたい。こういうタイプは敵を作りやすい上に人から好かれない人生を歩む事になるので、皆さんは決して真似しないでくださいね。私との約束ですよ。

以上。読んでくれた方には最大の感謝を。

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