k.w.s.k.

駄文。大阪。コンカフェ文化全般を様々な角度から書いています。たまに写真も。

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最近の記事

選択が紡ぐ物語

まえがき 『学生時代にする一時的なアルバイト』という印象が強かったコンセプトカフェのキャストというお仕事ですが、時代の流れからか稼げる職業として認識され始めた今ではそういう印象も薄れてきているように思います。『専門学校や大学の卒業、それに伴う就職が理由のコンカフェ卒業』が王道の卒業理由だったのもひと昔の話で、今ではマイノリティと言える比率になっていると体感で感じます。ひとつの『生きていく為の職業』としての選択肢。そういう印象が強くなってきた気がします。 2024年。今年は某

    • ソーシャルネットワーキングサービス

      コンカフェ事業に於いて最も利用されている宣伝ツールはSNSであり、中でもTwitterは最もポピュラーなSNSとして利用されています。理由は言うまでもなく、店舗を利用する客層が使用しているSNSの中では最も数が多いからです。これを10代20代の働き手側であるコンカフェキャストだけに絞って言えば、プライベートで使用している数が最も多いのはInstagramになるのですが、実際にコンカフェに来る客層と、その客層に対する効果的なSNSという事を加味して考えると、必然的に選択肢はTw

      • コンカフェライフスターターパック

        「あ、そうだ。コンカフェに行ってみよう。」 と、それまでコンカフェに行ったことのない人がそう思い立つことはなかなかありません。普通に生きてきた人ならばまず思い浮かぶことのない発想でしょう。これはオタク文化全般に言えることですが、オタクと非オタクとの間にある壁は意外と高いものです。オタク達の日常は非オタク達の非日常。文化の違いが見えない壁となって立ちはだかっています。 分かりやすい例を挙げるならば、成人が「アニメが好き」と言うだけで、訝しげな眼差しを向けられることがあります

        • 家族コンプレックス

          燦々と降り注ぐ太陽の光が、 中庭の緑を照らしていた。 そんな生き生きとした生命の輝きとは対称的に、 そこに居る人達の眼には光が届いていなかった。 私の前で空を見上げる父親の眼にも、 その陽の光が差し込むことは決してなかった。 東大阪市にある病院の隔離型の精神病棟。 その中庭で自分の価値観の全てがひっくり返った。 私の当時の記憶は曖昧である。 嘘みたいな現実の中をゆらゆらと揺蕩う、 何者でもないただの高校生だった私は、 小さな決意と共に子供から大人になった。 幼少期家庭環

        選択が紡ぐ物語

          【Episode2】Iconic figure~第3号の場合~

          「この世界はSNSを中心に周っている」 一般的な人達にはこんな言葉はあまり響かないが、コンカフェに携わる人達の世界では誰もが素直に受け入れられる言葉だと思う。誰もが納得出来る周知の事実であり、常にそこに在り続ける不文律として鎮座している。 コンカフェキャスト達にとっては、普段の自分とは違った『キラキラしたキャラクターとしての自分』を。利用する客達にとっては、退屈な日常から乖離させた『充実した自分』を。それぞれが偶像としての自身を投影できる仮想現実がSNSという訳である。

          【Episode2】Iconic figure~第3号の場合~

          最近の徒然【三月、四月編】

          出会いもあれば別れもある。という言葉が一番実感できるのが三月と四月ですよね。それはコンカフェに於いても同じく、学生キャスト達の卒業イベントが多く催される卒業シーズンとなるのがこの時期です。私にとっては、オタク達の悲しみと欲望が見え隠れする時期として好きな季節でもあります。推しの卒業を悲しみ落胆して咽び泣くオタク達や、なぜか推しの卒業と同時に自分もオタ卒を宣言し、忠誠心を見せつけあわよくば推しと繋がろうと目論むオタク達。見ていてとても楽しいです。笑顔で見送るオタクで居たいもので

          最近の徒然【三月、四月編】

          【Episode1】堂山メルトダウン~第4号の場合~

          2023年3月11日土曜日、夜はまだ寒さの残る季節の変わり目。インバウンドの恩恵を受け、人で溢れ返る梅田の街に私は居た。阪急東通り商店街からひがし中通り商店街に入り、そこから北に抜けた果てにある『アフィリア・エゴイスト』を目指し私は歩いていた。 アフィリア・エゴイストとは、株式会社クリアストーン社が運営を手掛ける東京に本拠地を置く老舗大手のコンカフェグループ『アフィリア・マジカルダイニンググループ』の大阪店だ。超古代に栄えた魔法王国というコンセプトのもと、キャストは魔法を勉

          【Episode1】堂山メルトダウン~第4号の場合~

          ここがヘンだよコンカフェ人

          「おかえりなさいませ!ご主人様!」 誰もが一度は耳にしたことがある定番の台詞です。 メイド喫茶、メイドカフェ。メイドバー。メイドと名の付くお店や、何かしらのメイド要素をコンセプトにしたコンカフェでは、必ずと言っていい程に使用されている挨拶ですよね。世にあるコンカフェの中でも一番多いコンセプトのベースは『メイド』です。“○○メイドがコンセプト”というタイプの店が圧倒的に多い割合を占めています。 Q. ではその理由はなんでしょう? A. 一番分かりやすいからです コンセ

          ここがヘンだよコンカフェ人

          Cheers

          と聞くと、個人的にはアメリカのラッパーであるOBIE TRICEが2003年にリリースしたアルバムのタイトルが連想されます。中でも私が好きだったのは『Got Some Teeth』という曲で、くだらないMVが今でもYouTubeで見られますので興味のある人は是非視聴してみてください。 というのはどうでもいい話で、今回テーマはCheers、つまり『乾杯』に関するお話です。 コンカフェがいわゆる一般的なカフェとは違う点として、キャスト自身によるオプション的なサービスの提供があ

          オタク達にとってのおままごと

          私はあまりお酒が好きではありません。日本酒の味は好きなので、厳密に言うとアルコールが好きではないと言った方が正しいのかも知れません。体質的にアルコールに対して強くないというのも理由のひとつですが、自身が「陰キャ」なる者であるが故に、いわゆる「酒!うぇーい!」的な雰囲気が好きではない事もひとつの理由だったりします。ひとり、或いは少人数で静かに飲むというようなスタイルの飲酒が、個人的には好ましいです。 ですが、世間一般的にはそういった「酒!うぇーい!」的な雰囲気こそ好ましく、皆

          オタク達にとってのおままごと

          大晦日2022

          歩みを止めて立ち止まり、後ろを振り返る。 いつもと変わらない無愛想な24時間が、大晦日だけは私の肩に手を掛けて足を止める。何も言わず、ただ無表情で。振り返っても大した思い出は何も無く、自分が空っぽな事を改めて自覚させられるだけ。毎年同じ事の繰り返し。「毎年毎年何回同じ事さすねんな。ええ加減にせぇよ。」と言いたくなる。大晦日は嫌いです。 と、それっぽい文章をそれとなく書きましたが、要は達成感の無い孤独な大晦日を今年も迎えたという話です。胸を張れる事も無く、充実感も全く無い。

          大晦日2022

          希望の未来

          人生に於いて、何かを決断したり或いはさせられたり、自身の考え方が劇的に変わったりなど、いわゆる“ターニングポイント”と呼ばれるような瞬間は、その規模の大小を問わず誰の元にでも訪れるものだと思います。具体例を挙げるなら『運命の恋人に出会った』『生涯の親友に出会った』『大切な事を教えてくれる恩師に出会った』などのような人との出会いであったり、または『大怪我を負ったり他人に騙されたりして何かを失った』『人生観を変えるような本を手にした』などの出来事であったりと、その形は様々です。

          希望の未来

          始まるという事

          プロローグオタク用語のひとつに『始まる』というものがあります。と言っても、そもそも存在する単語で意味合い的にもそのままなので改めて説明するような事ではないのですが、用語と言うよりは言葉の用途と表現した方が正しいのかも知れません。 文章で書くと、 “俺、○○ちゃんで始まったわ” という使い方で、自身がその対象の人物のオタクとして始まる瞬間を迎えたという意味合いを省略した表現として使用されます。推される側が使用する場合の例文としては「私で始まってください!」という使い方です

          始まるという事

          そういう“設定”の茶番劇

          普段はあまりYouTubeを見ない私でも、TikTokはよく見ていたりします。ですので、YouTuberの人達に関しては無知に等しい私でも、彼らのTikTokの投稿や第三者が作るYouTubeの切り抜き動画の投稿を見ることで、YouTuberの人達に関する表面的な知識だけは持っていたりします。 ただ、やっぱり私はYouTuberが苦手だなと思わせられる事も多くあり、その理由として挙げられるのは、「番組、映像作品として成立させる為の設定としての配役、演出、及びそういう関係性の

          そういう“設定”の茶番劇

          紡いでいく物語

          狭い世界に生きていると、予期せぬ人と人との繋がりに驚かされる事も多く、それが数年越しの再会であったりなんかすると、ロマンチストな人ならそれを『運命的』と錯覚したりしてしまう事もよくあります。 オタクの世界もまた狭い世界の集まりであり、地下アイドルやコンカフェに於いては、両方共にその地域に根付いたローカルな文化である為、特に狭い世界であると言えます。 狭い世界であるが故に生まれるものもあります。人と人との関係そのひとつひとつがドラマであり、その折り重なりの中にストーリー性を

          紡いでいく物語

          悪口が禁止な世界線で僕は君を

          他人の良い所を述べる際に気を付けなければいけないのは、決して「相手を理解しているかの様な振る舞いで的外れな事を言わない事」です。言われる側からすると、褒められると思っていたのにも関わらず、逆に不愉快な気持ちにさせられてしまってはたまったものではありません。 他人の良い所ならともかく、自分自身の良い所なんて分からないという人も多いと思います。『良い所』とは一般的には他人から見た視点で語られるものであり、決して自薦によって語られるものではないからです。 自分の長所を理解して他

          悪口が禁止な世界線で僕は君を