インテルが半導体受託生産グローバルファウンドリーズの買収交渉をしている

🟩買収候補はGF

グローバルファウンドリーズ（GF）は、アドバンスト・マイクロ・デバイス（AMD）が2009年に分社化したファウンドリー事業を母体とする半導体ファンドリーである。現在アラブ首長国連邦（UAE）アブダビの政府系ファンドのムバダラ・インベストメント傘下にあり、米国市場での新規株式公開（IPO）を検討している。GFはAMDやエヌビディアやクアルコムなど米半導体大手の生産を請け負っていて、ファンドリー専業企業としては世界第3位である。

買収交渉の報道について、インテルはコメントを避けている。

🟩買収額は3.3兆円規模

インテルの過去のM&A（合併・買収）額で最大は、2015年に買収したアルテラの167億ドルだった。そのためGFの300億ドル（約3.3兆円）の買収が成立するとインテルのでは過去最大規模となる可能性がある。またインテルは昨年、韓国SK hynixにNANDメモリおよびストレージ事業を90億ドルで譲渡すると発表しており、CEOのパット・ゲルシンガーさんの基で事業再編を進めている。

IDM2.0

インテルは他社から半導体の製造を請け負うファウンドリー事業「IDM2.0」を始めると表明しました。グローバルファウンドリーズの買収によって半導体受託製造の市場で足がかりを築く狙いとみられます。

米国内での生産拡大

インテルは米国と中国の貿易摩擦の影響もあり、米国内での生産拡大を目指しています。200億ドルを投じて米西部アリゾナ州に半導体の新工場を設けることを発表しています。さらにGFの買収によって生産量の拡大とファウンドリー事業を強化する狙いです。

🟩GF買収に関わる課題

インテルとAMDの関係

もともとGFはインテルのライバルメーカーAMDの生産部門でありり、現在もAMDはGFの顧客となっている。現在でもAMDのEpycプロセッサのI/Oチップの製造を行っているため、インテルによるGFの買収でライバルのチップを製造することになるので複雑だ。

IBMとGFとの関係

2014年にGFはIBMのファウンドリー事業を譲渡されている。その際に15億ドルを受け取り、10年間サーバー用プロセッサのプロセスを独占的に提供すると契約をした。しかしGFは2018年に7nmプロセス以降のプロセスの開発を無期限停止した、それによりIBMは7nm以降のプロセッサのファンドリーをサムソン電子に変更した。さらにGFは2019年にIBMから譲渡された工場と設計部門を次々売却した、そのためIBMは契約不履行としてGFを提訴する準備をしている。

インテルは7nmプロセス以降の開発をIBMと協力している関係にあるが、GFとIBMの関係も含めて買収を判断しなければいけない。

🟩まとめ

インテルは生産拡大のためGFを過去最高額での買収を検討している

各国半導体の自国での生産量の確保を目指しているが、インテルのような大胆な投資判断をしないと簡単に拡大は難しいだろう。