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何かを動かしたければ、必死で火を起こせ

誰も動いてくれない

何か新しいことを始めたい、と思い立つ。それも、自分自身が変わるだけではなく周囲も巻き込んで変化していくようなやつだ。雑談してると、みんな同じような悩みを抱えている。「こういうことやってみたらどうかな」っていうと、みんな「いいね、やろうよ!」という。よし、いっちょやってみるか!とやってみる。

なんということでしょう、誰もついてこないではないですか。

こんな経験、皆さんにはないだろうか。私はあります。

ケーススタディ: Slackの情報共有チャンネル

業界で新しい技術が流行り始める。組織内のそこかしこで「○○について勉強したい」「○○に詳しいのは誰かな」「○○完全に理解した」といった会話が起こる。よし、じゃあ情報共有チャンネルでも立ち上げよう、と「info_○○」を立ち上げる。あっという間に人が集まっていく。

よし、これは幸先がいいぞ!と、投稿を始める。
「みなさんも投稿してくださいね!」
うーんなかなか投稿が集まらないな。まぁそのうち来るだろう。
来る日も来る日も、投稿者は現れず。なぜかJoin数だけ増えていく。投稿数は増えない。

そんな経験、ないだろうか。私はあります。

半年ROMれ、なんて言ってないのに

往年のインターネットは初心者に厳しかった。その場の暗黙的なルールや流れを理解するまでは書き込むな、という主旨の「半年ROMれ」なんて言葉があったくらいだ。だが、今は違う。違うし、社内での情報共有チャンネルなんて知識の底上げと共有を実現したいんだからむしろ初心者にこそ参加してほしい。けれども半年と言わず、延々とROMってしまう人が多い。なぜだ。

仮説: 人が集まりすぎるからではないか

チームの人数が多いとコミュニケーションパスが増大する。下記で紹介する記事中では、「スクラムではチームの人数は5−7人程度がよい」とされている。

今回の「何かを始める」ということの対象はスクラムではない。しかし、このチームの人数は少数であることが好ましいということ、そしてその裏付けとしてコミュニケーションパスの数があることはスクラム以外でも言えることだ。

それこそ、数人程度の集まりで、かつ自主的に集まってきたところであれば「誰も発言しない」なんてことは稀だろう。では、大人数が集まってくるとなぜそれが起こるのか。

仮説1: とりあえず情報だけ取りたい人が集まってくるから

これはそれなりにありそうだ。けれども、少人数で集まるとこれは起こりにくいように感じる。なぜか。人数が広がることで、温度感がそんなに高くないけどとりあえず知りたい、くらいの人が増えるからかもしれない。

仮説2: 人が多いと発信しづらいから

これもありそうだ。というか、リアル世界での集まりにせよSlackにせよ、10人を超えると発言者は偏っていく傾向があると感じる。特に同じ組織内であれば、自分の発言が自分の利害関係者に不快なものではないか、発言によって評価されてしまわないか、といった不安がつきまとう。これが発言を鈍らせる。

そう考えると、まず少人数で始め、そこでコミュニケーションが機能し始めてから輪を広げていくというのがよさそうだ。

が、すでにたくさん集まってしまった場合、どうするとよいか。それはもう、火を起こそうとした人間が必死で火を起こさなくてはならない。

場を回す仕組みをつくる

たとえば先程のSlackの例でいうと、どう対応するのがよいのか。立ち上げたあなたが発信し続ける・・・これは、個人的にはあまりおすすめしない。なぜなら、そのチャンネルがあなたの情報発信チャンネルとみなされるようになり、「待ち」のスタンスが自然とできてしまう。

ではどうするか。そのポイントはメッセージの投げかけ方にある。

「○○してくださいね」to全体ではなく、
「XXさん、○○してくださいね」と、特定の個人に対してメッセージを投げるのだ。

その人は、少なくとも何かしらの興味をもってそこにいるのだ。不特定多数に投げられているうちはスルーしていても、直接指名した場合は応えてくれる可能性が高い。もちろん、純粋に情報収集で参加している人もいるだろうから、ここはあなたが人となりを知っている人を選択することをおすすめする。

そして、その人からまた次の人へと指名のバトンをつないでもらう。なんだか往年のチェーンメールのようで気が引けるような気もするし、「あいつウザいな」って思われるかも・・・という心配がないわけではない。

しかし、あなたがやりたいことは何かを動かすことだ。そのために火をつけることが必要ならば、そして働きかけることでそれができるならば、「ウザい」と思われることは些細なことだ。そしてあなたが思ってるより、周囲はあなたのことに関心がない。安心すぎてやりすぎてよい。(もちろんフィードバックをいただいたなら、そのフィードバックをもとに行動は変えるべきだろう)

燃やせ燃やせ!!

今回、伝えたいことをまとめると、以下のようになる。

・新しいことを始めると、最初はだいたい人がついてこない
・ついていくっぽい発言をしていた人もついてこない
・人がたくさん来てくれたときほどそうなる
・これは「人が来すぎている」から、そこで発言しづらいというのがある
・なので多少強引でも発言を引き出しましょう。「よかったら発言してくださいね」では人は動きません
・ウザがられるかもしれませんが、受け入れてください。ウザがられることを嫌がるより変化しないことを恐れてください

ちょっと覚悟がいることだが、ぜひガンガン火をつけて延焼させていってほしい。

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