みや

ハンドメイドと小説。 小説は完結したものだけ載せてます。 最近時々エッセイみたいな物を…

みや

ハンドメイドと小説。 小説は完結したものだけ載せてます。 最近時々エッセイみたいな物を更新中。 昔漫画家を目指してた普通の主婦です。

マガジン

  • 君と僕の二週間

    以前書いた小説をアップしました。 題名を修正しました。

  • 悪魔の羽根

    拙い小説です。 やっと完成しました。 全21話。

  • ハンドメイド

    作品の記録

最近の記事

頭がいいって言われたくない

誰にも話したことがない、子どものときから思っていたこと。 世間話で友達や職場の人に言ったら自慢?嫌味?ってなるのがわかっているから絶対言わないこと。 私は中学生ぐらいまでずっと"頭がよくていいね"って言われてきた。 逆に妬まれたことも多々あった。 一番覚えているのは私立高校の特進クラスに受かって、さらに県で一番の県立の女子高校にも合格したとき、"あなたが私立受けなければ他の人がその枠に入れたのに"と言われた。 進学校である高校、国立大学に通ったあとだから私なんて全然平凡で私

    • クモの巣

      通勤には自転車を使用している。 ここ最近なぜか私の自転車にはクモの巣が張っている。 マンションの駐輪場にずらーっと並んだ自転車の中で、私のだけである。 乗る前にサッと取り除く。 乗り始めたら一瞬でクモの巣のことは忘れる。 そして次の日にはまた新しいクモの巣が張っていることに驚く。 一晩で綺麗な完成形のクモの巣が張られるのである。 納得いかない。 マンガや小説、アニメにおけるクモの巣とは、長い間使われていないものの表現のひとつではないか。 それが毎日使う私の自

      • 君と僕の二週間 22

         (終わった・・・)  和也はどこへ向かっているのかわからないままふらふらと足を進めた。  もう、傍らに小さい姿はない。  (終わったんだ。)  昼間の商店街の真ん中なので人の往来は多かった。  すれ違う人々が全員不審な目で見ていく。  それで初めて自分が泣いていることに気づいた。  それでも涙を流したまま歩き続けた。  失ったものの大きさを噛み締めた。  あれは夢だったのだ。  幸せすぎる夢。  ずっとは続かない。  もう目覚めてしまったのだ。  一人で生きていこうと決めた

        • 君と僕の二週間 21

           父親が一人掛けのソファーに座り、和也は隣の三人掛けのソファーの真ん中あたりに座る。  「最初に言っておくが千夏にお願いされたから、話を聞いてやるんだからな。  終わったらすぐに通報してやる。」  父親は不機嫌をまったく隠すことなく言う。  「はい、ありがとうございます。」  和也は頭を下げた。  その態度に父親は少しだけまとう空気を和らげた。  「で、なんだ?話ってのは。」  父親はソファーに深々と体を預け、手を組み視線を和也からはずす。  「この二週間で聞いた千夏の言葉を

        頭がいいって言われたくない

        マガジン

        • 君と僕の二週間
          22本
        • 悪魔の羽根
          20本
        • ハンドメイド
          6本

        記事

          君と僕の二週間 20

           千夏に手を引かれて和也は家の中に入った。  居間に通されたが、初めてのはずなのに懐かしい感じがした。どこもきれいに整頓され、家具も雑貨も同じ色で統一されている。  (昔の俺の家に似てるのか?)  父がリストラされる前。専業主婦だった母はいつも部屋をきれいに整えていた。  毎日のように今日はどこそこですてきな雑貨を見つけたの、春にはこのカーテンにしようと思うがどうだろうかと父や和也に話してきた。当然父も和也も反応が鈍く、母は張り合いがないわぁとぼやきながらも楽しそうだった。

          君と僕の二週間 20

          君と僕の二週間 19

           三時間後、二人は近くの駅への道を歩いていた。  千夏は初めてこの道を歩いたときと同じ服装をしていた。  左手にはあの、二人を出会わせてくれたピンクのボールを抱えて。 二人は手をつないで歩いた。  捕まるのを恐れての帰宅なのに、二人は堂々と顔を上げて並んで歩いた。  一言もしゃべらなかった。  二人の目は真っ赤になっていた。  駅に着いた。  千夏はこの二週間肌身離さずでいた百円玉を券売機に入れた。  九十円の切符と十円玉を手に取る。  後ろで待っている和也のほうを振り返る。

          君と僕の二週間 19

          君と僕の二週間 18

           千夏は和也がシャワーを浴びる音を背中で聞いていた。  疲れてなんていなかった。眠くもなかった。  ただ、さっきの出来事を繰り返し思い出していた。  和也がアイスを買いに出かけたあと、千夏は食器を洗い始めた。隣で小夜子が洗われた食器を拭いていく。数が少なかったのでその作業はすぐに終わった。  千夏がシンク前に置かれた踏み台から下りたとき、小夜子が話しかけてきた。  「・・・千夏ちゃん。」  「・・・はい・・」  小夜子の声はさっきまでの友達感覚はなく、ため口で答えるのが憚られ

          君と僕の二週間 18

          君と僕の二週間 17

           「おまたせしました、和也。」  苦しい一時間あまりが過ぎ、千夏の手によって目の前にカレーとサラダが運ばれてきた。  「和也、食べて!私が野菜を全部切ったんだよ!」  横に座った千夏がきらっきらの笑顔で和也の顔を覗き込む。  「上手なのよ、千夏ちゃん。きっとおうちでよくお手伝いしてるんだね。」  小夜子が千夏と自分の分のカレーを持ってきて、和也の向かい側の席に座る。  「さあ、どうぞ。」  千夏と小夜子の視線が和也に突き刺ささって痛い。  「・・・二人がかりでそんなに見られて

          君と僕の二週間 17

          君と僕の二週間 16

           (あーやっぱり断ればよかったかな・・・)  和也はバイト前にメールで小夜子を例の公園に呼びだしていた。  待っている間中、後悔しきりである。  (でも千夏、小夜子のオムライスをすごく喜んでいたからな・・・タッパーも返さなくちゃならないしな・・・)  和也の右手にはタッパーの入った水色のランチバッグがあった。タッパーの上には千夏の熱い想いがこめられた手紙が乗せられている。  千夏は今日の昼間えらい時間をかけてこの手紙を書いていた。中身は秘密、とか言って全く見せてくれなかった。

          君と僕の二週間 16

          君と僕の二週間 15

            ピンポーン  部屋のチャイムが鳴った。和也はバイトで不在だった。千夏が一人で晩ご飯を食べようかと思ったときだった。  (新聞屋?ううん、小夜子さんかも・・・?)  どちらにしても千夏はじっと息を殺した。誰が来ても絶対ドアを開けない。今でも変わらない和也との約束だ。   ピンポーン  また鳴った。千夏は足音を忍ばせて玄関のドアに近づいていった。  「・・・ちゃん。千夏ちゃん。」  (え?)  女の人の声だ。自分の名前を呼んでいる。  (警察?)  千夏は一気に警戒心を強め

          君と僕の二週間 15

          悪魔の羽根 21(終)

          『以上だ。』  悪魔が画面に現れる。  『大切に想っていた男に、伝えたくなかった真実を話さなくてはならなくなり、絶望させ、果ては警察に捕まるほどのことをさせてしまった。かなりの心理的ダメージだったろう。』  悪魔が声を出して、クククと笑う。  まさか、美緒への復讐に、僕を使うとは。  美緒への復讐を願った僕に後悔させることで、復讐の道具にしたのだ。  僕のために復讐しているように見せかけて、僕をも陥れた。  はめたんだ。  悪魔が人のためになにかしてくれるわけはない。  悪

          有料
          100

          悪魔の羽根 21(終)

          君と僕の二週間 14

           深夜2時のコンビニ。店内に客はいなかった。   ぴんぽろーん  来客を知らせるチャイムが鳴って客が入ってきた。  「いらっしゃいませーー・・・」  バイト中の和也はレジ点検の最中だった。入ってきた客の顔を見た瞬間、もう少しで数え中の千円札の束を落とすところだった。  「こんばんは。」  「・・・・・・」  「まだここで働いていたんだね。」  「・・・いらっしゃいませーー」  動揺を隠して、あくまでお客としての対応をすることにした。  「和也、話があるの。」  「仕事中です

          君と僕の二週間 14

          君と僕の二週間 13

           「母と二人残されて、これからは俺がしっかりしなくちゃいけないと思った。高校を辞めて働くことにした。家計が苦しくなっていたのはわかっていたから。でも高校中退なんて今の世の中すぐに雇ってくれるところもなく、とりあえずコンビニでバイトを始めた。今バイトしてるとこだ。  初めて給料を手にしたときは嬉しかった。母と二人で頑張ろうと思った。それなのに・・・」  和也は今まで話してきたなかでも、一番つらそうな顔をした。  「父が死んで一年もしないうちに、母親が再婚すると言い出した。その話

          君と僕の二週間 13

          君と僕の二週間 12

          「かっこ悪いところ見せたな。」  二人は近所で評判の洋食屋に入った。和也いわく、女の子連れやカップルに人気で一度入ってみたかったのだが、一人では入りにくかったので今日は千夏と来られてラッキーだそうだ。さっきの女の人とは来なかったの?と千夏は聞いてみたかったが、あまりに不謹慎なのでやめた。  「まあ、予想はつくと思うが、さっきのやつと、一年前までつき合ってた。」  「うん。」  千夏はなんと返していいのかわからないので、とりあえずうなずいておいた。  「さっきも言ってたけど、あ

          君と僕の二週間 12

          君と僕の二週間 11

           「・・・お前がもう会わないって言ったんだよな?」  二人は玄関でそのまま話しているようだ。  「ごめんなさい!・・・ごめんなさい。自分でも勝手だと思ったけど、どうしても和也に会いたくなったの。」  女性は泣き出した。和也の大きなため息が聞こえる。  「何があったか知らんが、先輩とやらに慰めてもらえばいいだろ?俺のところに来るな。」  「・・・ひっ・・・く・・・だって、その、牧原先輩、他にも、つき合ってる女の人がたくさんいて、私は、その中の、ひとりだったんだって・・・」  そ

          君と僕の二週間 11

          君と僕の二週間 10

           もう一つの出来事は、千夏の行方不明のニュースを見た次の日に起きた。和也はバイトが入っていて、千夏が夜一人でアパートにいるときだった。 部屋の電気を豆電球だけにしてさあ寝ようというときだった。    ピンポーン  玄関のチャイムが鳴った。  千夏はドキッとして玄関の扉を見た。  今までにも、和也がいないときに一回だけ玄関のチャイムが鳴ったことがあった。和也に言われたように千夏は応えず、息を殺して鳴らした主が去るのを待った。すぐに足音が遠ざかっていくのが聞こえて千夏はほっと肩

          君と僕の二週間 10