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【やくだつ原子】Vol.10「フッ素(F)」

本日の原子【フッ素】

キーンコーン♪カーンコーン♪

ひこまる先生
「みなさん、前回から随分空いてしまい、久しぶりの授業となりますが、元気にしていましたか?」

喜多
「あれから色々ありました・・・色々と」

カミィ
「それはもう、本当に・・・」

MAX
「年号がぁ!変わっているぅ!!!」

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(画像出典:『鬼滅の刃』/吾峠呼世晴 集英社)

YMT
「変わってないですよ(笑)」

ひこまる先生
「3ヶ月も空いてしまったので、それは色々ありましたよね・・・。年号が変わるほどではないですが(笑)。それでも、お変わりなく元気そうで何よりです(笑)
 それでは、今回の授業を始める前に、前回取り上げた【銅】について簡単に振り返りたいと思います。ではまず、喜多くんからお願いします」

喜多
【銅】は、生活に欠かせないものだけど、毒にもなる「生殺与奪の権」を持った原子!」

MAX
「歴史的な建造物には欠かせない。でも、時間が経つと自由の女神や奈良の大仏のように、青っぽい色に変色してしまう」

カミィ
「炎色反応を利用して、花火にも使われている。色は確か、青緑だったかな」

YMT
「体に必要な栄養素でもあるんですよね」

ひこまる先生
「はい、みなさんありがとうございます。【銅】は、とても身近で必要な原子の一つなので、覚えておきましょうね!
 さて、それでは、本日取り上げる原子は【フッ素】です。【フッ素】は、【水素】の次に小さい原子で、原子番号は9です。聞き覚えのある原子だと思いますが、【フッ素】と聞いて、何を思い浮かべますか?MAXくんからお願いします」

MAX
「そうですねぇ。歯磨き粉とかに入ってましたっけ?」

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喜多
(言われたっ!)

YMT
「フライパンのコーティングにも使われてますよね」

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カミィ
「それくらいしか思いつかないよね(^^;」

ひこまる先生
「そうですね。やはりその二つが有名だと思います。
 【フッ素】は、反応性が高い原子で、実は単体では自然界に存在しないんですよ。蛍石や氷結晶などに含まれるのですが、ほとんどは「化合物」になります」

喜多
「そうなんですか?【フッ素】単体を取り出すことってできるんですか?」

ひこまる先生
「喜多くん、鋭いですね。実は、【フッ素】そのものには強い毒性があって、【フッ素】単体を検出した科学者の中には、亡くなった方もいるんです。つまり、取り出したとしても・・・」

喜多
「ひえっ!」

MAX
「そんな毒性があるのに、歯磨き粉とかフライパンに使われてるって、ヤバくないですか!?」


虫歯を予防してくれる【フッ化ナトリウム】

ひこまる先生
「それが、【フッ素】の面白いところなんです。歯磨き粉やフライパンに使われている【フッ素】は、【フッ素】と言いながら「フッ化物」と呼ばれる化合物なんです。歯磨き粉や歯医者で使用されているのは、【フッ化ナトリウム】です。【フッ化ナトリウム】は、溶けるとカルシウムと反応しやすく、【フッ化カルシウム】が生成されます。それが、「再石灰化」と言われ、歯を丈夫にしたり、虫歯を予防してくれる効果があるんです」

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(参照:https://koga-dental.com/wordpress/?p=7210)

喜多
「おぉ!つまり、【フッ化ナトリウム】があれば、虫歯にならないってことですね!」

ひこまる先生
「喜多くん。その様に表現してしまうと、実は違法なんですよ(笑)」

MAX
「それ、違法です!」

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ひこまる先生
【フッ素】があるから虫歯にならないわけではないんですよ。あくまで、予防効果が高まるのであって、虫歯にならない訳ではありません。なので、『虫歯が治る』といった表記があるものは違法なので、注意しましょうね」

カミィ
「健康関連の商品は、問題になることが多いですよね。『がんが治る』とか、大抵は胡散臭いけど(笑)」

ひこまる先生
「そうですね。決められたルールがあるものは、気をつけなければならないですね」

YMT
「ひこまる先生、フライパンなどに使われるのも、【フッ化ナトリウム】なんですか?」


フライパンなどに使われている【フッ素樹脂】

ひこまる先生
「フライパンなどに使われるのは、また違う「フッ化物」です。いわゆる「テフロン加工」と呼ばれているものに【フッ素】が使われているのですが、【フッ素樹脂】というものです」

YMT
「あ、うちで使っているのもテフロン加工のフライパンです」

ひこまる先生
「おそらく、多くの家庭で「テフロン加工」のフライパンが使われていると思いますが、【フッ素樹脂】は、熱に強く、油を弾く性質があるんです。焦げ付きにくいので、とても便利ですね。こういった特性があるので、幅広く工業利用されています」

MAX
「フッ素樹脂が剥がれてしまったりして、体に悪影響はないんですか?」

ひこまる先生
「医学的には、問題はないとのことですが、物事に絶対はないので、気をつけるに越したことはないでしょうね。長く使うと、コーティングが剥がれてしまうので、定期的に買い換える必要があるそうです。焦げちゃいますしね(笑)」

喜多
「毒性があったり、生活に役立っていたり、【フッ素】も「生殺与奪の権」を持った原子なんですね!」


とても危険な【フッ化水素酸】

ひこまる先生
「喜多くんならそう言うと思っていました(笑)。「フッ化物」はとても身近なものですが、中には危険なものもあります。それが【フッ化水素酸】です。【フッ化水素酸】は、ガラスを溶かしたり、体に触れたりしたら、骨まで染みてしまい、場合によっては死に至ることもあります。過去には、歯医者でフッ素塗布をする際、誤って【フッ化水素】を塗布してしまい、死亡するという事故もありました」

喜多
「それ、マジヤバイじゃないですかぁ・・・」

ひこまる先生
「そうですね。基本的には工業用に使われていて、購入するにも許可がいるので、一般には出回らないものです。それでも、もし【フッ化水素】という文字を見つけたら、絶対に近付かないでくださいね」

カミィ
「ダメと言われたらやりたくなる・・・」

ひこまる先生
「カミィくん、ダメ、絶対!!
 というわけで、【フッ素】について学んできましたが、いかがでしたか?」

喜多
『生殺与奪の権』を握っている!【フッ化水素酸】ヤバイ!」

MAX
「毎回一緒(笑)
 子供が虫歯予防でやっているフッ素洗口って、【フッ化ナトリウム】だったんですね」

YMT
「テフロン加工のフライパンを使ってますが、【フッ素】はとても役立っていたんですね」

カミィ
「ちなみに俺は最近、鉄のフライパンを育てています(実話)。肉を焼くとめっちゃうまい!ただ、すぐ錆びるからメンテナンスが面倒だけどね(笑)」

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MAX
「美味しいものを作るのは、手間がかかるってことだね」

YMT
「ほんと!鉄で焼いたお肉、美味しかったですよ(^^)」

MAX・喜多
(えっ!?なんか怪しい!!)

ひこまる先生
「はい、皆さんありがとうございます。【フッ素】は、身近で便利な原子ですが、危険性もあるので、しっかり覚えておきたいですね。

 それでは、授業を終わります」


【フッ素】のまとめ

・【フッ素】は、自然界に単体では存在せず、ほとんどが「フッ化物」と呼ばれる化合物
・【フッ素】そのものは、強い毒性がある
・【フッ化ナトリウム】は、虫歯の予防効果がある。「虫歯な治る」と表現は違法
・テフロン加工のフライパンに使われているのは【フッ素樹脂】で、熱に強く油を弾く性質がある
・【フッ化水素酸】は、死に至るほど有害なので、絶対に近付かない


道楽舎では、「なりたつ原子」アニメ化プロジェクトを実行中!!物語にして小説化、漫画化、そしてアニメ化を目指しています!

「やくだつ原子」シリーズもプロジェクトの一環として、書籍化を予定していています。過去コラムも今のうちに要チェックです!



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