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【やくだつ原子】Vol.4「ヘリウム(He)」


前回(炭素)のおさらい

キーンコーン♪カーンコーン♪

ひこまる先生
「さて、前回までは、三度に渡って【炭素】について授業をしてきました。
炭素とは、それほど重要で、身近な原子だということですね。せっかくなので、一人一人簡単に炭素についての特徴を振り返ってもらえますか?
ではまず、喜多くんからお願いします」


喜多
「人類の夢"カーボンナノチューブ"の素材になっている!」


YMT

「ダイヤモンドは最も硬い鉱物です。それと、炭素でできているものなら人工的に作ることもできます」


カミィ
「原子の結合の違いによって性質は変わる」


MAX

「人間は、ダイヤの原石である」


今回の原子「ヘリウム」

ひこまる先生
「はい、皆さんありがとうございます。それぞれ興味が違って面白いですね!

 それでは、今回取り上げる原子は【ヘリウム】です。原子番号は、2番目です!」

喜多
「2番じゃダメなんですか?」

ひこまる先生
「いえ、順番は関係ありません。原子番号の順番は、原子に含まれる陽子の数で決まります。例えば、前回の炭素は陽子を6個持つので、原子番号は6番です。陽子が多いほど、質量が大きいですヘリウムは2番目なので、とても軽い原子ということになります。

 さらに、ヘリウムはなんと、宇宙においても、水素に次いで2番目に多いんですよ」

MAX
「え!宇宙って真空で、何もないのではないんですか?」

ひこまる先生
「宇宙は非常に密度は低いですが、原子が全く存在しないわけではありません。宇宙では全体の原子の98%を、水素とヘリウムが占めているんです」

MAX
「へ〜!」

喜多
「ヘリウム(He)だけに?」

YMT
「くすくすっ」

ひこまる先生
「はいはい、すぐ漫才を始めない!

 宇宙は最初、水素しか存在しませんでした。しかし、ビッグバンという大爆発が起こったことで、水素同士の融合が起こり、水素から陽子2個のヘリウムや陽子3個のリチウムなどができたと言われています」

喜多
「なるほど。それがビッグバンアタックなんですね!」

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出典:DRAGON BALL/鳥山明 集英社

ひこまる先生
「違います。

そんなヘリウムについて、皆さんはどんなイメージがありますか?」

喜多
「声が変になる!」

カミィ
「変な声になる」

MAX
「変声になる!」

YMT
「えっと・・・、声が変になる」

ひこまる先生
「・・・皆さん同じですね(笑)
テレビの企画などでヘリウムガスが使われたり、パーティーグッズとしても有名なので、そういうイメージが強いですよね。
では、なぜ声が変になるのでしょうか。喜多くんわかりますか?」


ヘリウムで声が変わるのはなぜ?

喜多
「え・・・、そうですね。なんかヤバイ成分があるんじゃないですかね?」

ひこまる先生
「ヘリウムガスは無味無臭そして無害の気体です。そのためヤバイ成分などは入っていません。しかし、大量に肺に取り込むと、酸欠になり、意識障害になる事故なども起きています。変な声になるのが面白くても、吸い過ぎには注意が必要です。喜多くん、気をつけてくださいね」

喜多
「ぼ、僕はそんなもんに頼らんでも笑かします!!」

YMT
「くすくすっ」

ひこまる先生
「そうですね。ヘリウムに頼らず笑わせてください。

 ヘリウムガスを吸って声が変わるのは、ヘリウムは酸素よりも軽いからです。軽い気体の方が音の伝わりが早いので、高音になるんです。ちなみに、ヘリウムを伝わる音の速さは、空気(主に窒素と酸素)の3倍です」

喜多・MAX・カミィ
「シャアだ!!」

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出典:機動戦士ガンダム/サンライズ


YMT

(シーン)

ひこまる先生
「男子なら、そう言うと思っていました(笑)。でも、あながち間違ってはいないんですよ。ガンダムは、ヘリウムの同位体である"ヘリウム3"と重水素を科学反応させて得たエネルギーで動く設定なので、きっと、シャア専用の機体は、ヘリウムを多く使用しているのでしょう」

カミィ
「まさかのガンダムとの共通点(笑)」

喜多
「ガンダムならいくらでも語れますよね!!」

MAX
「坊やだからさ」

ヘリウムの特徴とは?

ひこまる先生
「はいはい!ガンダムについては先生も熱が入ってしまうので、授業が終わってから男子会をしましょう(笑)

 話を戻しますが、ヘリウムは、とても軽いという性質がありますが、どんなものに利用されているか、何か思い浮かびますか?」

カミィ
「バルーンとか、飛行艇に使われてますよね!ジブリ映画でも描かれた・・・なんだっけ、ほら・・・」

YMT・カミィ
「魔女の宅急便!(はっ!!)」

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出典:魔女の宅急便/スタジオジブリ


ひこまる先生

「おや、息ぴったりですね(笑)。その通りです。バルーンや飛行艇、気球などにも使われているんですよ。

 なぜ浮くのかに関しては、私も敬愛している柳田理科雄先生が、「1日1科学」というチャンネルで、ヘリウムについての動画をあげているので、参考にしてみてください」


なくてはならないヘリウム

MAX
「先生!軽い原子を入れることで気球が浮かぶなら、水素でも良いということですか?」

ひこまる先生
「MAXくん、いい質問です。その通り、水素でも浮かせられます。ただ、水素は燃える性質を持っているので、静電気でも走ったら爆発してしまい、とても危険なのです」

喜多
「水素って、水っていう字なのに爆発するんだ・・・」

ひこまる先生
「今回はヘリウムの授業なので、水素はまた別の機会に詳しく説明しますが、燃える性質を持ちます。そのため、安全なヘリウムが使われているんですね。

 ヘリウムは他にも、医療用MRIやリニアモーターカーなどに利用されています。とても私たちの生活に役立っている原子なのです。

 しかし、その利用しやすさから最近問題になっているのは、ヘリウムガスの不足です。ヘリウムは気体の中でも高価なのですが、最近はそもそも入手することができない時すらあります」

MAX
「先生、ヘリウムって、この宇宙ではとても多いんじゃないんですか?」

ひこまる先生
「鋭い質問ですね!確かに、宇宙には多く存在します。しかし、ヘリウムは軽く早いため重力の影響を受けにくいのです。そのため地球にはあまり多く存在しません」

カミィ
「なるほど。だから、月に多いと言われる"ヘリウム3"を得る為に、人類は月を目指しているんですね」

喜多
「そうなると、月の裏側に宇宙人の基地があるっていう都市伝説も、信憑性がありますね」

ひこまる先生
「月にある"ヘリウム3"からエネルギーを取り出すのは現代の技術では難しいです。ちょっと脱線しましたが、また別の機会に触れていくことにしましょう。

月の"ヘリウム3"をエネルギーとして使う予定は、おそらく今後もないので、難しいと断言してしまって良いと思います。

 さて、そろそろ授業は終わりますが、ヘリウムを学んできて、どんな印象を持ちましたか?」

喜多
「ヘリウムは、声を変えるだけの原子じゃなかったんですね」

MAX
「伊達に、原子番号2番じゃない、重要な原子なんですね」

YMT
「まさか、『魔女の宅急便』に繋がるとは思ってませんでした(笑)」

カミィ
「ガンダムと繋がりのある、同位体の"ヘリウム3"が気になります」

ひこまる先生
「ヘリウムは、声を変えるだけではなくて、とても重要な原子です。ぜひ、今回の授業を機に、ヘリウムについてもっと学んでいきたいですね!

 それでは、今回はガンダムとヘリウムの関係について、もっと語り合いたいということで、男子は残って補習しましょう!」

男子
「はーい!!!」


今回のまとめ

・ヘリウムは水素の次に軽い原子
・ヘリウムは空気の3倍速く音が伝わる為、声が変わって聞こえる
・無害の気体のため、バルーンや飛行艇、気球に使われている
・生成が難しく、貴重な気体の為、高額でもある
・医療やリニアなど、現代科学にはなくてはならない原子
・同位体の"ヘリウム3"は、エネルギー資源の可能性を秘めている



制作秘話やボツになったネタなど、「道楽コソコソ噂話」として、MAX個人noteで配信しています。


道楽舎では、「なりたつ原子」アニメ化プロジェクトを実行中!!物語にして小説化、漫画化、そしてアニメ化を目指しています!

「やくだつ原子」シリーズもプロジェクトの一環として、書籍化を予定していています。過去コラムも今のうちに要チェックです!




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