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ポーカーチェイスの勝ち方

最近ポーカーチェイスにハマっています。しかし、ポーカーチェイスの戦術はまだあまり世に出ていないようなので、今回は、自分なりのポーカーチェイスの戦術について紹介したいと思います。読み手としては、ポーカーチェイスでポーカーに慣れ始めた人を想定しています(でもちょっと難しいかも)。

ポーカーチェイスとは

ポーカーチェイスは8/31にリリースされたばかりのポーカー(テキサスホールデム)のスマホアプリで、国産です。

https://poker-chase.com/

メインはランク戦と言うモードで、6人のSNG(シットアンドゴー)形式でレーティング戦をします。このレーティングというのが普通のトーナメント形式とは違うポイントで、プライズがないためバブルという概念もありません。順位が上がるとおそらく線形に獲得レートも増えていきます。また、急速に上昇するブランドストラクチャーも特徴的です。

自分の戦績について

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現状、36.8%のトップ率があります。これはおそらく上振れていると思うので、下がることはあってもこれ以上上がることはないと思います。また、自分はこれまでリングゲーム(ブラインドが上がらないポーカー)を主に遊んでいて、トーナメントはリングゲームの応用でしか戦えていません。

そのことを念頭においてもらった上で、自分が3回に1回1位をとるために何をしているのかということを紹介していきます。

相手を知る

ポーカーは麻雀と違い、相手のプレイングに合わせて自分もプレイングも変えることで、より多くのチップを獲得できます。例えば、すべてのハンドでコールするプレイヤーに対してブラフは厳禁です。まずは自分と同席しているプレイヤーの特徴を把握しておきましょう。

自分が考えるポーカーチェイスでのベースとなる全ランクでのプレイヤー像は次の3つです。

①フィットorフォールド
②異なるサイズのベットに対してもコールレンジが変わらない
③バッドコール

①フィットorフォールドに対する戦略

第一に、多くのプレイヤーはフィットorフォールドです。つまり、ハンドがヒット(フィット)していればベット/コールして、ハンドがヒットしていなければフォールドします。そのようなプレイヤーには安いブラフを多用して、相手がベットしたときはフォールドする戦略を取ります。

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$1は100と置き換えて考えてください。CO(Player6)がプリフロップでレイズして、BB(Player3)の自分はコール。フロップでCOがベットしてきたとしましょう。先程のフィットorフォールドの法則に従えば、このCOは85Kのどれかでワンペアを作っている可能性が高いです。7Tはドローも何もできていないので素直にフォールドしましょう。この法則を知ることで、ポーカーチェイスではブラフレイズをすると基本痛い目を見る、という教訓も得られます。

では、自分も58Kでヒットしてるときは相手のベットに対してコールすべきなのでしょうか。答えはもちろんYesです。ですが、それは現状勝っているからコールするのではなく、あとあとスリーカードやツーペアになったときに相手から巻き上げることを見据えています。「③バッドコール」で後述します。

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もし、相手がフロップでベットしてこなかったらどうでしょう。少しこちらに都合がいいですが、4♣が落ちるとします。相手は85Kは持っていなさそうで、4も多くの場合でヒットしていません。つまり、ブラフの機運です。自分ならポッドの半分の$6でブラフします。もう少し小さい$4でもいいと思います。理由は②で説明します。もし$6のブラフであれば3回に1回成功すると利益的です。失敗すると$6失い、成功すると$12手に入るからです。

逆に相手の視点に立てば、このシチュエーションで3回に2回は適切にコールしないとこちらに利益が生じます(実際には、もう少し低くていい)。ですが、ポーカーにある程度慣れていないとその頻度で適切にコールするのは難しく、多くのプレイヤーは守るべき期待値を捨ててしまっています。となると、フロップチェックしたプレイヤーに対して常にブラフをするだけでチップ獲得の期待値がプラスになりえます。本来、そのような偏ったプレイには、より高い頻度でレイズを仕掛けるのがよいのですが、ポーカーチェイスでレイズの遭遇率が低いことを考えると、やはり有効だと思っています。

本当はブラフすべきでない状況も多々あるでしょうが、それ含めても10回中10回ブラフする戦略は簡単で誰でも実践できます。もちろん、ブラフでコールされたら、ドローを引いたりなどしない限り潔く諦めましょう。

②異なるサイズのベットに対してもコールレンジが変わらないことに対する戦略

第二に、ベットサイズに対するコールレンジがほぼ変わらないことが多いです。非弾力的なレンジと言うようです。そのようなプレイヤーにはブラフベットは安く、バリューベット(勝ってるハンドで相手からチップを引き出すこと)は少し大きくします。

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プリフロップでCO(Player6)の自分がレイズしてBB(Player3)がコールしたとします。フロップBBはチェックでした。①で考えた通りブラフしたいですね。では、COはどれくらいのサイズで打つべきでしょうか。私はこのとき、ポッドの3分の1である$4でブラフします。なぜなら、3分の1でも半分でも、相手がコールするハンドはおそらく変わらないからです。それなら、ブラフで晒すチップのリスクは小さいほうがよいです。これは、①の後半のブラフサイズ額が小さくてもいいと思うという話と同じです。ただし、さすがにポッドの3分の1より小さいサイズのブラフは迫力が弱すぎて、成功確率をガクッと下げてしまうと思います。

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こちらはプリフロップです。自分は基本2BBでオープンレイズ(そこまでフォールドが回ってきた場合のレイズ)します。ポーカーチェイスでは3BBにおすすめ!と書かれていますが、3BBでも2BBでも降ろせるものは降ろせるので、リスクは小さくします。後述する分散を小さくすることにも繋がります。とはいえ、AAが来たら3BB以上にするかというとしません。オープンレイズはテーブルの全員が注目しているが多く、さすがにバレバレでしょう。

知っておかなくてはいけないことは、自分のハンドの強さでベットサイズを変えるのは、相手にこちらのハンドの強さを知らせているようなものです。本来はやらないほうがいいことですが、慣れていないとそれに気づかないプレイヤーは多いです。バレにくい範囲でやりましょう。

③バッドコールに対する戦略

①と②の特徴からは主に効率よくブラフに関する戦略を考えました。高頻度で小さく稼ぎます。③の特徴からはバリューを最大化する戦略を考えます。低頻度で大きく稼ぎます。

バッドコールとは相手に負けてるハンドでコールしてしまうことです。もうブラフがないようなシチュエーションで、ハンドの未練を捨てきれず、ブラフかもしれないと言って弱いハンドでバッドコールをしてしまいます。オーバーポケットペアやボードより大きいターン/リバーカードが落ちたときによく起きます。こちらとしては、安全に大きく勝てるのですから積極的に弱点を攻めていきましょう。①の高頻度ブラフ戦略との相性もいいです。

バッドコールに対する戦略は、自分のハンドを2枚とも使ったツーペア以上(できればスリーカード以上)の役を作ることです。その可能性を最大にするためには、できるだけ多くのハンドで参加することが必要です。

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UTG(Player4)がリンプしてきて、57oで私もリンプしていきます。普通57oはクズハンドですが、バッドコールするプレイヤーが多い場合、ストレートやスリーカードができたときにスタックを倍にしてくれます。UTGが3BBのオープンレイズだったとしても、ブラインドレベルが1(100/200/50)のときはまだ安いので57oでもコールしていきます。ブラインドレベル2(140/280/70)や3(200/400/100)は57sならコールします。また、フロップで何もできなくても、多くは①で紹介したブラフでなんとかなります。このブラフは相手からバッドコールを引き出すための材料にもなります。

あれよあれよとブラインドが上がるポーカーチェイスでは、序盤に積極的に参加してどこかで1回でもオールインのバッドコールを引き出せれば、中盤まで運否天賦オールインを避けることができます。

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とはいうものの、すべてのハンドで参加するわけではありません。自分が参加するのはストレート狙いのオフスートワンギャッパー(46oや57oなど)やフラッシュ狙いのスーテッド(27sなど)からです。35%ほどはフォールドします。さらに、これはトーナメント最序盤の話で、ブラインドが上がるにつれてレンジは絞っていきます。その結果、プロフィール画像にあるようにVPIPが54%になるようです。

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実際に強いハンドができたときのアクションも見ていきましょう。プリフロップはリンプで回って5人参加で、フロップツーペアができたとします。BB(Player3)から1BBのミニベット(よく見る)が来て、UTG(Player4)がコール。書き入れ時どきです。大きくレイズします。理由は2つあり、1つ目はハンドが強いから、2つ目は人数が多いとツーペアは簡単に逆転されてしまうからです。コールする相手にも相応のリスクを背負ってもらいます。

例としてはここで終わってもいいのですが、このツーペアのターン以降のアクションは実は難しいです。ついでにもう少し見てみましょう。

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2人にコールされたとしましょう。大きくレイズしたのに複数人にコールされることもよくあると思います。ターンはJが落ちてチェックで自分まで回ってきました。結論から言うと、もうこのツーペアは勝ってると確信を持てるほど強くないが、チェックするほど弱くもないので、小さめの3分の1でバリューベットします。これは、リバーで逆転を防ぐ安いプロテクトにもなっています。一番やってはいけないのはオールインです。コールしてもらいたいQのワンペアやフラッシュドローはフォールドし、本当に強いQJやJ7などのツーペアだけがコールしてきます。J♣ではなくJ♡が落ちた場合、フラッシュドローにブラフレイズオールインされないようチェックがいいです。

もしリバーでフルハウスになったら相手からバッドコールを引き出しましょう。AQやKKが出てきたら大成功です。このようなプレイはクズ手をプリフロップで降ろさなかった相手のミスであり、広いハンドで参加したからこそ得られた利益だとも言えます。

ここまでの戦略まとめ

①フィットorフォールド
⇒ 相手がチェックしたら毎回小さくブラフする
⇒ 相手がベット/レイズしたときはブラフを考えない

②異なるサイズのベットに対してもコールレンジが変わらない
⇒ ブラフベットは安く、バリューベットは少し大きくする
⇒ オープンレイズは2BBにする

③バッドコール
⇒ 広いハンドで参加して強いハンドの機会を作る
⇒ 強いハンドでバンバンベット/レイズする(スロープレイしない)

分散を小さくする

相手を知ることで戦略を変えるのは、トーナメントとリングゲームのどちらでも大切です。分散を小さくすることは、苦しいオールインを何度も迫られるトーナメントにおいて安定して勝ち続けるために常に意識しなくてはいけないことです。ブラインドが急速に上がるポーカーチェイスにおいてはなおのことです。

すでに紹介した戦略とかぶる部分もありますが、自分が意識していることは次の5つです。

①オープンレイズサイズは2BB
②序盤はリンプもして広いハンドで参加する
③プリフロップレイズは本当に強いハンドでしかしない
④CB(オープンレイズした人がフロップベットすること)は小さく
⑤プッシュorフォールドはぎりぎりまでしない

5つを要約すると、「高頻度で小さく稼ぐ堅実作戦」です。

分散が大きくなる例

分散が大きくなる例を見ましょう。ブラインドレベルが1(100/200/50)だとします。COが3bbの600でオープンレイズして、ATsだったBTNの自分が9bbの1800でレイズして、COだけコールです。ポッドは4200とすでに巨大です。

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トップペアができました。ポッドベットを打ち、COはコールします。

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ターンで相手のドンクオールインです。すでにチップの全スタックの6割をポッドに入れてしまっています。トップペアは強いですし、ポッドの12600に対して3950のベットは小さいです。コールしたいでしょうか。相手はJJ以上のオーバーペアや3のスリーカード、66でのフルハウス、ダイヤ◇のフラッシュに、A◇やK◇のブラフ、55や77などが負けてると思って転じたフルハウスドローのブラフ、その以外にこのタフなシチュエーションを見てのピュアブラフも考えられます。

リングゲームならまだしも、いちど飛ぶと終わりのトーナメントにおいて、あまりに苦しいコールになってしまっています。このような無茶なオールインを繰り返していては3回に1回は飛んでしまい、優勝はほど遠いです。では、何がいけなかったのでしょう。

自分からすると、ATsでのプリフロップのレイズという選択と、レイズするとしてもその額、フロップのベット額を直したいです。ポッドを小さく保つことで、ただのワンペアでは小さく勝つか小さく負けるのどちらかにして、オールインは必ず勝っているときの必殺技にしたいです。もちろん、オールインにブラフがないと相手は本当に強いハンドでしかコールしてくれなくなりますが、それについてはバッドコールのところで説明しました。

⑤プッシュorフォールドはぎりぎりまでしない

上であげた5つの内、これ以外はわかりやすいでしょう。

プッシュorフォールドとは、ブラインドに対して自分のスタックが小さくなってきたとき、コールはしないでプリフロップオールインかフォールドの2択だけをする戦略のことです。これは相手からフォールドを勝ち取ることでブラインドを頂く作戦で、ブラインドが高騰する終盤で非常に有効です。コールされてもハンドでの勝負があります。ブラインドを出したらオールインになっていたという自然死状況になる前に、プッシュorフォールドで戦線復帰できるくらいにはチップを稼ぎたいところです。

問題となるのは、自分のスタックが小さくなってきたという判断基準です。プッシュorフォールドはフロップ以降の細かい鍔迫り合いがなくなり、運任せのオールインになります。分散を小さくするという視点では可能な限り避けたいです。自分は3BBになるぎりぎりまでプッシュorフォールドをしないようにしています。理由は、レイズオールインではなくコールに留めるプレイヤーが多いからと、フロップのベットに降りすぎるからです

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例えば、ブラインドに対して自分が5BBしかないとします。普通はプッシュorフォールドですが、ここでは2BBオープンレイズをしています。レイズされたら悲惨ですが、コールに留めるプレイヤーが実際には多いように思います。

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そしてフロップが開いたらオールインです。ここでは2がヒットしていますが、相手がドンクしてこない限りどんなフロップでもベットしてよいでしょう。フロップでワンペアを作る確率は3回に1回です。おそらく相手は3回に1回しかコールしてこないです。たとえコールされたとしてもこちらがそれより上のペアを持っているか、逆転すればよいのです。

個人的なポイントは、相手にプリフロップとフロップの合わせて2回のコールを強いるところです。これはプリフロップで5bbオールインするよりもより成功率が高いと考えています。これに対する相手の適切な対応はプリフロップでコールするのではなくレイズオールインorフォールドすることです。

まとめ・補足

ここまでいくつか戦略を紹介しました。ところどころで説明不足のところがあったと思います。

・複数人参加ポッドでのブラフとバリュー
・ドンクベット
・相手がベットしてきたときのワンペアの守り方
・常にブラフすることで失う期待値
・想定するプレイヤー像からはずれるプレイヤー
・などなど

記事が長くなってしまったのでそこまでは説明できませんでした。しかし、戦略の核となる「相手を知る」と「分散を小さくする」を抑えることで勝率改善の助けになると思います。

また、各例のシチュエーションはPokerSnowieやGTO+でも大きくずれていないか一応検証しています。一応というのは、GTO+の場合レンジとして手持ちのPreflop Solutionを用いており、実際のレンジと乖離していると思われるためです。

さいごに

ここまで読んでくださってありがとうございます。思ったよりも分量が多くなってしまいました。自分自身まだまだ勉強の身で、いろいろ改善点あるかもしれません。ですが、この記事でポーカーを楽しむ人がより増えてくれると嬉しいです。

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