プレイマネーMTTのオープンサイズ (翻訳)

プレイマネーでのトーナメント戦略について実践的な記事を見つけた。元記事はReplayPokerのフォーラムでの投稿。ReplayPokerはプレイマネーのポーカーサイトで、記事の投稿者はReplayPokerでランク2桁(/1,500,000)の強い方。プレイマネーはリアルマネーと違って、圧倒的にリンパーが多くマルチウェイになりやすい。このフォーラムの投稿は、プレイマネーでのプレイヤー層を考慮しており、プレイマネーでのMTT戦略としてとても参考になった。

基本は原文ママだが、日本語にしたとき理解しづらそうな部分は適当に意訳した。

前提
・ シャロースタック
・ ターボ
・ プレイマネー

posted by JoeDirk on Feb 7th, 2019

MTTの序盤・中盤・終盤でどうやってオープンレイズサイズを決めているかについて、メッセージを通して質問があった。回答が非常に長くなったので、誰かの助けになればと思いフォーラムに投稿することにした。

一般的にオープンサイズはスタックサイズとレンジの2つの要素によって決まる。厳密に最適なサイズを決定することは可能だが、私は数学的に考えるよりも論理的に考える方が好きだ。ただし、最高レベルの精度はエリートプレイヤーにのみ必要で、ReplayPokerでは関係ない。また、ポジションも別の要素だが、ReplayPokerのようなシャロースタックトーナメントでは、全てのポジションで同じサイズを使うことが好みだ。

スタックサイズとレンジはお互いに影響し合う。しかし、ここでは別々にお話したい。ReplayPokerでのトーナメントは原則的に全てターボ(6-8分ブラインレベル)で、スタックサイズもたいてい40bb以下のシャローである。トーナメント序盤で大きくレイズするのは悪くない。なぜなら、プレイヤーは心理的にフロップを見るコストが低いようで、異常にコールする傾向にある。しかし、ReplayPokerのプレイヤーはトーナメント序盤だとコールしすぎる一方で、スタックが少なくなると明らかにタイトパッシブ/フィットアンドフォールドしすぎている。

つまり、彼らはレイズに対してどのレンジでコールするか予め決めており、レイズサイズに対する柔軟性のかけらもない。例えば、9,000チップを持っていて、ブラインドが100/200とする。400にオープンすると、プレイヤーは600でオープンしたときと同じように同じレンジでコールまたはレイズする。また、彼らはフロップをミスしたら同じ頻度でCbetにフォールドするだろう。つまり、我々はそういうプレイヤーに対して、より広いレンジで2xオープンすることによってエクスプロイットできる(特にレイトポジションで)。より多くスチールすることができ(スタックがショートだと顕著)、ボードミスしてもCbetでより多く下ろすことができる。また、別の方法として、非常に強いハンドのときだけオープンサイズを大きくすることもできる。コールしすぎるプレイヤーはレイザーの強いレンジに対して、スタックの多くを失うことになる。しかし、このアプローチには多くのハンドをプレイできないという欠点があり、多くのブラインドとアンティを失ってしまう。また、レンジが相手に透けてしまい、ボードが相手に有利なとき、プレイアビリティを失う。

オープンサイズを小さくするもう一つの理由は、プレイヤーがショートスタックだから。2xオープンであれば、オールインされても簡単に降りることができ、ポッドコミットするかもしれない厄介な状況を憂慮せずに済む。例えば、スタック8,600で400にオープン、誰かが2,200をオールインしたとして、2,900を獲得するために1,800をコールしなくてはいけない。これが600オープンの場合、3,100を獲得するために1,600をコールになる。ブレークイーブンにする必要エクイティは39%から35%に下がる(ブレークイーブンになるジャストのエクイティcallはよくない)。これは自身のレンジが広いと、コールの決断が難しくなる。相手のオールインレンジを想定し、自身のハンドのエクイティがそれぞれのスポットでコールするにふさわしい金額であれば、コールすべきハンド数は13%から23%へ増加する。これは、非常に多くのハンドでじゃんけんゲームをしなくてはいけないことを意味する。もしオープンサイズが小さければ、フォールドするかどうかは簡単に決められる。

以上のことからオープンレンジを考える。ポーカーの勉強をしている間は、非常に強いハンドでだけオープンすればいい。相手は広すぎるハンドでコールしてきてくれるだろう。しかし、多くのプレイヤーがそうしているように、QQ+/AKのときのみオープンする場合は事情が変わる。2xオープンではプレミアムハンドの十分なバリューを引き出せず、マルチウェイを避けるにも小さすぎる。その一方で、スターティングハンドの80%をオープンするならば、2xでオープンするのがよいだろう。なぜなら、ひどいハンドで大きなポットを戦いたくないし、3betされたときに大きな損失を被りたくないから。レンジのどこを広げるかは状況によって変わる(相手の数やコールの頻度、スタックサイズ)。もし、2-2.25xオープンの戦略を取る場合、プレミアムハンドだけではなく、Ax、スーコネ、ポケットペア、スーテッドブロードウェイでもレイズできる。もし他のプレイヤーにオールインを被されず、マニアックに見られていないならば、あなたのレンジは十分に強いだろう。さて、MTTの後半では、プレイの余地も狭まり、フォールドエクイティも少ないため、トップペアやブロッカータイプのハンドに重点を置く傾向にある。つまり、スーコネよりはむしろA7やKTのようなハンドで参加したい。

まとめると、スモールオープンは、誰かにオールインされてスタックを晒さなくてはいけないリスクを小さくできる。そして、ポストフロップ以降で戦いやすい。広いハンドでポットに関わることができるし、フィッシュがクラッシュアウトしたあとのトーナメント後半で、うまいタイトパッシブなプレイヤーからたくさんフォールドをしてもらえる可能性がある。ポストフロップ以降で苦労しているならば、オープンサイズを大きくしたり、より基本に立ち戻ったアプローチがミスを減らすことに役立つかもしれない。自身のポストフロップのスキルにあった最適な戦略を見つけてほしい。

最後にもう一つ、もし20bb以下になったとき、プッシュorフォールドするべきだ。プッシュが正着かは計算機で求め、特定の状況ではフォールドする。しかし、ReplayPokerでは、急速にスタックがシャローになるため、そうでない状況が存在すると考えている。例えば、私の強みとして、他のプレイヤーよりもポストフロップで適切な決定ができる。なので、KTsを20bbでオールインすることは数学的に正しいのだが、私の場合はそれ以上にバリューを引き出すポテンシャルがある。2xオープンによって、a)ブラインドスチールする、b)オールインに適当なハンドでフォールドする、c)Cbetまたは強いハンドでポストフロップを勝つ、という3つの勝ち方が生まれ、マージナルなブロッカーや単純なエクイティでプッシュするよりは、私のトーナメントライフを危険に晒すことがなく、優れているようである。もしAQのような強いハンド、少なくともA4のようなブロッカー/ショーダウンバリューがあるハンドであれば、私でもプッシュする勇気が出ただろう。15bb以下であれば、2xオープンですら選択の余地がなく、プッシュが唯一の選択になる。したがって、KTsが自身のレンジの硬さやプッシュできそうなスポット等の状況によってはフォールドするちょうど折り目になるかもしれない。

簡単に言えば、40-60bb以下のとき、3bet/shoveにコールできないようなハンドでレイズして、3bb+をリスクに晒したくはない。同様に、3bet/shoveにコールできるハンドでだけオープンしたいとも思わない。結論として、小さくオープンする方がベターだ。

追記:リンパーがいる場合レイズ額を増やす必要がある。リンパー1人に付き1x増やすのは、スタックがシャローのときだと実際には大きすぎる(ROL(Raise Over Limp)してコールされると14.5bbまでポットが膨らんでしまう状況で、AJで20bbのスタックでコミットしてしまいたいとは思わない)。私はよくリンパー1人につき0.5xを使う。しかし、リンパーは大抵コールしてくるので、ROLの場合でも注意している。特に、弱いレンジでROLするのは簡単ではない。

この投稿に続いて別の方ともう少しディスカッションしている。簡単にいうと、強いハンドでもバッドビートを食らうことは十分にあるから、プレミアムハンド以外はプリフロップのポッドサイズは小さくしたいという内容。

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