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名馬紹介 キングカメハメハ

【名馬紹介 キングカメハメハ】
初夏を迎えると、NHKマイルとダービーの変則二冠を制したキングカメハメハ(2001年生 牡)のことを思い出します。「最強の大王」と呼ばれた彼のことを紹介します。

1.生まれ
彼はお母さんのお腹の中にいる状態で来日しました。昔でいう「持ち込み馬」です。母はアイルランド生まれで、現役時代はイギリスで走ったマンファス。父はフランス生まれで欧州で活躍した後、米国で種牡馬生活を送ったキングマンボです。かなりの国際派です。

2.競走馬として
(1) クライマックスまで

彼の競走馬としてのクライマックスは、NHKマイルとダービーの変則二冠を制した時です。
彼は2歳の11月にデビューすると、NHKマイルを5戦4勝で迎えます。生涯唯一の敗戦は3歳初戦の京成杯です。そこで関係者は、彼は中山競馬場を不得意だと判断し、同じ中山競馬場で行われる皐月賞を回避して、春の最終目標をダービーに置いたスケジュールを組みます。

(2) クライマックス前編 NHKマイル
迎えたNHKマイル。戦前、マイル初挑戦の彼がスピード競馬に対応ができるか不安の声も多かったです。実際レースもハイペースとなりました。しかし、彼は道中を中団の外側をユッタリと進むと、直線では大外を突き抜けて他馬を置いてきぼりにする5馬身差の快勝、タイムもレースレコードと不安を他所に完璧な勝利をあげました。

(3) クライマックス後編 ダービー
3週間後のダービーでは、再び王様ぶりを発揮します。ダービーも超ハイペースで進む中、いつも通り中団の外側でユッタリと進んでいました。ところが、今回は3コーナー過ぎあたりから有力馬が仕掛けてきたことに応じて、彼もまた早目に上位に進出、直線の入口では既に先頭に立ちました。先行馬を自ら潰し、後続馬の追撃も許さないという圧巻の勝利でした。そして、掲示板に記されたタイムは、これまでのコースレコードを2秒も上回る衝撃的なものでした。テレビでは「最強の大王降臨」と実況されました。

(4) 突然の引退
秋の初戦、神戸新聞杯も、いつものように直線で他馬全てを軽く突き放しました。その後、次走に予定していた秋天前に浅屈腱炎を発症し、そのまま引退となりました。

3.ライバルたち
彼の同期にはG1馬として、また種牡馬として成功した錚々たる面子が揃っています。具体的には、ハーツクライ(有馬記念)、ダイワメジャー(秋天)、スズカマンボ(春天)、コスモバルク(シンガポール・エアラインズC)などです。そんな彼らに常に余裕をもって勝利したキングカメハメハは、本当に王様でした。

4.種牡馬として
彼は種牡馬としても、大成功を収めています。リーディングサイアーに2010年と2011年、BMSのリーダーにも2020〜2022年に輝いています。彼が引退した頃はサンデーサイレンス(SS)産駒の全盛期でした。SSの血が入っていない彼には、良家の花嫁候補がたくさんいました。
彼の種牡馬としての特徴は、様々な距離を得意とする産駒がいて、また産駒はダートでも芝でも好成績を収めたことです。
彼は母系の良さを引き出す種牡馬と言われ、確かにそうかもしれません。しかし、私は彼自身が距離も馬場も不問のオールラウンダーだったのだと考えています。

5.ベストレース
全てのレースで、他馬の争いを横目に「我れ関せず」と道中外側をユッタリと走り、直線中程からスパートしてゴールするスタイルでした。デビュー3戦目までは無理せずゴール前で少しだけかわす内容でしたが、負けた京成杯の後からは能力を解放して。常に後続に差をつけて突き抜けていました。

そんな彼のベストレースは衝撃のレコードタイムで走破したダービーだと思います。暫くはこのレコードは塗り替えられないと思ったものです。実際、ダービーレコード更新は11年後、彼の産駒のドゥラメンテの出現まで待つことになりました。

しかし、彼の衝撃の翌年、ディープインパクトが同タイムでダービーを走り切っています。この衝撃もまた、とても大きかったです。
この2頭は同一馬主なので、騎手の勝負服が同じです。両馬のダービーの直線の画像を合成して、両馬が並んで走るCMがありました。伝説的な両馬が並走する映像は、震えるほど格好良かったです。

最後に一点だけ心残りだったことを記します。それは、1歳年下のディープインパクトと未対戦だったことです。上述のテレビCMのような競り合いが、現実で見られなかったことは、本当に残念でなりません。

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