皐月賞は、3着までの全馬が完璧な作戦を立案、実行しています。2、3着馬に敗因はないものの、勝ち負けだけがあったという印象です。
感動的で素晴らしいレースの主役だった、3着までの人馬のレースっぷりを振り返ってみます。（一部はわたしの想像です）

3着　ジャンタルマンタル
彼は前走の共同通信杯でスタート直後から引っ掛かり、川田騎手は力の限り手綱を引いて、競馬を教えこむことに集中しました。一昨日も好スタートを切ったので、さてどうなるかと見ていましたが、今回は引っ掛からず好位をとれました。学習能力のある賢い馬のようです。
川田騎手はジャンタルマンタルにとって2000ｍは適性距離より長いと考え、勝つならば早めに抜け出して、粘り切るしかないと作戦を練っていたと想像します。4コーナーを回ると、他馬の仕掛けを待つことなく最初にスパートをかけました。やはり距離の限界があったのか、ゴール前200ｍで勢いは止まり、最後に2頭にかわされました。
しかし、作戦を完遂した人馬は、一昨日の皐月賞の直線を盛り上げてくれました。

2着　コスモキュランダ
彼は弥生賞で3コーナーから大捲りをする強引なレースで勝っており、モレイラ騎手も彼のロングスパート能力に勝負をかけることで覚悟を決めていたと想像します。わたしはスタート直後に二の脚が出ず、後方に下がってしまったと思いましたが、モレイラ騎手によると作戦よりも少し前目につけられたとのことです。
そして、4コーナーの手前からロングスパートをかけ残り200ｍの時点では、彼が突き抜けて鮮やかに勝つような鋭い勢いでした。しかし、ジャスティンミラノの残り200ｍからの末脚もまた鋭く、差を詰められず惜敗しました。
この人馬もまた、作戦を完璧に実行しています。ジャンタルマンタル同様に彼らにも敗因はなく、ただ彼よりも前に強い馬が一頭いました。

1着　ジャスティンミラノ
レース前、道中前目のポジションをとることが大切だと考えた戸崎騎手は、スタートに全集中していたと想像します。狙い通りに遅れることなくスタートをすると、そのままジャンタルマンタルの後ろ、4～5番手に狙い通り位置取りできました。直線では先にスパートをかけたジャンタルマンタルを追いかけずに、ギリギリまで追い出しを待ちました。
残り200ｍ地点で外からコスモキュランダが並びかけてくると、戸崎騎手は初めてそこでゴーサインを出します。そのサインに素早く応えたジャスティンミラノは、コスモキュランダに抜かれることなく、一方ジャンタルマンタルをゴール前でかわして、1着でゴールしました。好スタート、道中のポジション取り、直線の進路選択、追い出すタイミング、すべてが完璧でした。もちろん、騎手の指示に敏に正確に応えたジャスティンミラノの能力が、とても高い水準にあることも間違いありません。
なお、父のキズナは産駒5世代目で、初めてクラシックホースを輩出しました。ジャスティンミラノは父親孝行でもあります。

◆　最後に
1年前、ソールオリエンスが83回の歴史で、史上初めて3戦目で皐月賞を制したとニュースになりましたが、ジャスティンミラノも一昨日が3戦目でした。しかも特徴的なのは、彼は関西馬なのに、3戦ともすべて関東に遠征してきていたことです。また、過去2戦はダービーが行われる府中でのレースを選択しており、デビューから一貫してダービー優勝を目指していると思われる足取りです。
まずは1冠を制しました。ダービーで2冠を達成できるか、ライバルが巻き返すか、或いは皐月賞未出走馬の台頭があるのか、非常に楽しみです。