見出し画像

与田政権3年間の功罪を文章にして振り返ることが思考の整理に繋がると思うのでnote記事という大層なもので書かせてもらいます

 こんにちは、ドリーです。
 最近は書きたくなる話題が多くてnoteもちょくちょく出してますが、普段はこんなペースで書かないんだけどなぁと思っています。

 さて、去る10月13日に与田監督の今季限りの退任が発表され、シーズン終了後には立浪和義新監督の就任が発表される見通しとなっています。そこで、与田政権の3年間を振り返って何が良かったのか、何が悪かったのかを纏めていきたいと思います。

※本拠地の呼称は2020年までは「ナゴヤドーム」、2021年は「バンテリンドームナゴヤ」または「バンテリンドーム」とします

1.組閣

画像1

 采配だけでなく組閣もチェックしなければならないと思うのでまずはそこから。

事実

 ヘッドコーチには西武やロッテで監督経験もある伊東勤を招聘。投手コーチは亜細亜大学の1年先輩である阿波野秀幸、阿波野の近鉄時代の後輩の赤堀元之が就任。打撃コーチは土井正博に代わって村上隆行が就任するという形で政権の枢軸を作る。他にもバッテリーコーチに中村武志、2軍投手コーチには門倉健を招聘した。
 2019年オフには仁村徹が2軍監督に、パウエルが巡回打撃コーチ、栗原健太が打撃コーチに就任。一方で小笠原道大や奈良原浩、森野将彦ら前政権時からのコーチが多数去っていった。
 2020年オフは村上とパウエルの配置転換のみ。

評価

 「お友達内閣」と言われたこともあったが、監督に組閣を任せたらこうなるものである。OBが多ければこんなことも言われなかったのではと推測している。結果的にOBでない人が就任して次政権以降の引き継ぎには困りそうだったことは欠点か。
 伊東は監督初就任の与田を補佐するには十分の存在になると見える。仁村は1年目から2軍監督で呼ぶ予定だったが時間軸の関係で1年待つことになったらしく、育成のスペシャリストを呼んだことは良かった
 指導に疑問符の付くコーチを切ることができた一方で、自身が呼んだコーチは配置転換を行わなかったことは情が出てしまったと評価されてもおかしくない。特に今季は歴史的貧打の中でもコーチの配置転換がなく1軍パウエル・栗原、巡回(実質1軍)村上、2軍波留の体制が続いた。

 投手運用は阿波野投手コーチ、野手運用は伊東ヘッドコーチが中心として行われていたが、指導も含めてこのメンバーを集めた任命責任は監督にあり、そこでもマイナスは与田監督に問われてもおかしくないことだろう。

 もう一つ触れておくべきものは「代打三ツ間」事件。あれは初歩的なミスであったが、ああいう隙を見せてしまった以上は首脳陣間の連係ミスを疑われても仕方ないことであろう。

2.投手

画像2

事実

 2018年、ナゴヤドームを本拠地としながらも防御率はリーグ最下位、勝ちパターンにはその年引退する岩瀬仁紀が入っていたという投壊もいいところの状態。そこからまずは強力な中継ぎ陣を形成。ライデル・マルティネス、ジョエリー・ロドリゲス、鈴木博志の勝ちパターンに始まり、夏以降は鈴木博に代わって藤嶋健人と福敬登も入る。R.マルティネスが国際大会で離脱した時にはまさかの岡田俊哉を抑えに抜擢して13セーブと一定の活躍をする。又吉克樹や三ツ間卓也も後半戦で貢献し、就任1年目からAチームが2つあるような強力リリーフ陣が完成した。2020年は岡田や藤嶋の不振からR.マルティネスを抑えに配置転換。祖父江大輔の成長や又吉の復活もあってこの年もかなり計算できるリリーフに。2021年は福や祖父江が開幕直後は不振に陥るも又吉が安定していた。一方でBチームは他球団と比較すれば優秀だが、勝ちパターンとの差を埋めることはできなかった。
 そしてなんといっても投手陣における3年間の最大のファインプレーは谷元圭介の復活であろう。2019年は序盤から火消しとして登板を重ねていたが、息切れして最後は2軍へ。2020年は序盤に1軍昇格してから前年と同じ役割で安定感を増した。2021年は前述の通り勝ちパターンの不調で登板機会が増え、13試合連続で1イニング未満での降板ということもあった。それだけ「火消しの谷元」として信頼されていた。
 2018年オフにガルシアが退団した先発陣はコマ不足から2019年の開幕3戦目は山井大介、2020年の開幕2戦目は吉見一起が登板するほど。山井に至ってはその年チーム4番目のイニング数を投げた先発投手となった。2019年開幕投手だった笠原祥太郎の不整脈での離脱とそこからの低迷は誤算だったが、前年0勝の大野雄大が復活しタイトルまで獲得、柳裕也が2桁勝利をあげて飛躍など希望の光は見えた。2020年は就任直後に先発転向させた福谷浩司が故障の柳に代わって先発2番手に。勝野昌慶や松葉貴大も成長を見せた。大野雄大は更に飛躍して沢村賞を受賞。2021年は大野が本調子ではなくとも防御率は2点台、柳は復活して投手3冠目前、小笠原慎之介が先発3番手として1年間ローテで投げ切るなど成長を見せた。一方で開幕投手の福谷や勝野ら4番手以降は少し停滞気味に。梅津晃大も2年間制球難や故障に苦しんだ。

評価

 編成面での不安もあった中で3年間で上手く立て直したと思う。上記の実績に加えて役割分担の明確化や連投制限、球数制限など投手運用もかなり改善された。ただし、貧打も相まってか少しずつ連投制限にはルーズになっていった部分があったり、2021年には役割が固定化されたあまりに配置転換に踏み出すことができなかった。これは藤嶋に好不調の波があったり橋本のツーピッチ等の課題もあった。それで打たれることを見越しての消極的な配置転換は納得できるが、福が打ち込まれてもすぐに信用を回復させていたことを考慮すると、もう少し攻めることはできた。
 惜しまれるのは2021年キャンプ前に披露した「Aチーム2組」構想。木下雄介の故障や藤嶋の不振などで実現しなかったが、そこまで考えられるくらいにリリーフの層が厚くなった証拠だろう。
 先発は絶望的なコマ不足から3本柱を形成し、若手も控えるようになるなど成長の跡を見せた。2019年に先発ローテ入りしたこともある梅津、清水達也、山本拓実が以後2年間思うようにいかなかったのが誤算だが、福谷、勝野、松葉がローテに定着したりジャリエル・ロドリゲスも2021年最終盤に好投するなど戦力化には成功してる印象がある。大野雄はモヤモヤした状態で過ごした前政権時から与田監督との相性もあって復活した。FA権を取得した2020年オフも3年契約で残留したのもこの信頼関係のおかげと言われているので、現政権での大きな出来事であっただろう。
 個人の指導に関しては鈴木博ら伸び悩んだ選手もいたが、全員が上手く行くことなど考えられないので全体としてはかなり良かった。あとはこの時代を経験した選手がこの投手運用を次代に伝えていくことも必要となるだろう。
 バンテリンドームを本拠地とするために投手の数字が良くなっている部分もありビジターで打ち込まれることもあったので、次は若手が育ってどの球場でも抑えられる投手陣になってほしい。
 そして2021年途中まで在籍した門倉2軍投手コーチの貢献も大きかった。実際に彼が退団した後の2軍投手は成績が落ち、突き上げが弱くなったように感じる。

3.捕手

画像3

事実

 2018年はFA移籍してきた大野奨太が待望の正捕手として期待されたものの、故障の影響から松井雅人や武山真吾と併用され、どんぐりの背比べとなっていた。
 伊東ヘッドコーチと中村バッテリーコーチが就任すると、秋季キャンプでまず目をつけたのが加藤匠馬。理由は「日本シリーズで活躍した甲斐拓也くらい肩が強いから」。その他の捕手としての能力や打撃には不安を残す彼の抜擢は2019年実際に行われ、開幕スタメンに始まり途中の2軍降格を挟みながらも最終的には92試合に出場。2番手捕手には大野奨や武山、木下拓哉がいたが、技術の拙さなどから大野奨は正捕手争いから完全に脱落、武山は引退した。
 2020年は加藤匠の不振や捕手としての技術不足から木下拓やルーキーの郡司裕也、支配下登録されたアリエル・マルティネスが出てくる。木下拓は当初ツーピッチになる配球で非難を呼んだが秋ごろに改善。打撃も成長を見せ正捕手になった。
 2021年は木下拓が正捕手に定着。しかし、開幕直後からフル出場が多く体力面を考慮できていないのではという指摘もされた。2番手捕手は桂依央利になったが、捕手として木下拓との差は大きい。そして8月の木下拓スタメン外し。代わりに起用されたのは大野奨太や桂といった総合的に能力の劣る選手だったのが波紋を呼んだ。結局木下拓がスタメンに復帰してシーズンを終えることになった。

評価

 捕手の育成能力は個人的な期待通り高いものだったと思う。長年の課題だった正捕手に木下拓が定着したのは大きい。郡司や石橋康太が1軍に定着してほしかったが本人の素質などもあるので合格点をあげられる。加藤匠も結果的に2021年途中にトレードとなったが、1軍レベルに成長できたのは現政権の功績だろう。
 一方で運用面では2021年に先述の木下拓の完全固定や夏場の不可解なベンチスタートなど課題が見つかった。結局木下拓が夏以降も正捕手になったあたり捕手としての能力は彼が一番上であるということである。これが誰の方針なのかはわからないが、次政権からは上手く運用してほしい。そこを除くと、木下拓が先発投手との相性も考えて週4~5試合程度のスタメンマスクということになり、割と理想的な運用となったのではないか。

4.打撃・攻撃

画像4

事実

 就任前の2018年は後半戦から打順が固定化されるようになり、チーム打率はリーグ2位ながらナゴヤドームが本拠地であることからホームラン数は少なく得点は伸び悩んでいる状態だった。
 2019年は阿部寿樹や井領雅貴や遠藤一星といった伸び悩んでいた中堅が戦力となり、堂上直倫は長打を増やして貢献した。夏以降は故障のソイロ・アルモンテの穴を福田永将が率も長打も稼ぐスタイルで見事に埋め、3番に定着。高橋周平は3割近くを打ち5番に定着。得点圏での弱さと長打不足や控え野手の層の薄さには不安があったものの、平田良介やアルモンテらが離脱する中で攻撃力はほぼ1年フルメンバーで戦えた前年と比べて近い水準を保てた。
 2020年は長打増加を掲げるものの、平田が絶不調、アルモンテと福田はシーズンの半分しか稼働せず数字も求められたものとは遠く、阿部は打撃が低迷。そして開幕直後はパウエル巡回打撃コーチとともに打撃改造に取り組み絶好調だったダヤン・ビシエドが死球によって成績が降下。高橋周は初の3割を残し大島洋平は2年連続の最多安打を獲得したが、彼ら以外は成績を残せなかった。そこでバントやランエンドヒットなど小技での介入で改善を図ったが、その作戦自体が失敗のリスクを背負うことや得点効率を下げることから成功とはならなかった。
 2021年は機動力を重視し、高松渡や滝野要といった俊足の若手選手を抜擢、他にも根尾昂が前半戦は1軍に定着した。高松は走攻守全てに課題を抱えながら1軍完走し、試合に出ながら成長することもできた。しかし、打線は歴史的貧打に悩まされ、ビシエドはマークが集中して好不調の波が激しく、高橋周は大不振でスタメンを外れることも。京田陽太は5年目にして初の2軍落ち。14年ぶり復帰の福留孝介がスタメンを張ることが多くなる有様だった。後半戦は渡辺勝のスタメン起用が増加するなど、シーズン最後まで機動力重視の姿勢は変わらず貧打のままシーズンを終えた。

評価

 就任1年目は首脳陣が交代した影響で指導方針が変わったからか成長が見られる選手がいた。打順も大島の2番起用や経験の浅い選手の1番起用など面白いものもあった。しかし、2年目以降は不振に陥る選手が多く、そこから脱却できないことも多数。選手の取り組み方にも問題がないとは言えないが、首脳陣の指導にも問題があることは間違いないだろう。長打増への取り組みを始めたのは広い本拠地を理由にそこから逃げてきた過去から考えると褒められることだが、強く振ることを推奨するのみで打球角度やメカニクスなどに言及することはなかなか見られなかった

 作戦面でも疑問に思うことが多々あった。まずはヒットエンドラン・ランエンドヒットの乱発。フルカウントになればとりあえず走らせることでランナーが盗塁死したり打者が当てにいくことで打撃の状態を狂わせることがあった。高橋周やビシエドがランナーでも走っていたのだからやり過ぎである。次は打順。シーズン前は高橋周や平田の2番起用を模索するも結局は京田をはじめとする俊足型の打者を置いてバントをさせることが続いた。よく言われる木下拓はチャンスで打てないことがあり下位打順で正解だったかもしれないが、「打てる打者を上位に置く」という打順配置の原則とは違ったオーダーも見られた。偶に打順が改善されても繋がらず元に戻ることがしばしばあった。大島が2番を嫌がっているという話は本当なのだろうか…。そして、2021年には特定の選手を固定してしまうことが増えていた。例えば阿部。堂上や三ツ俣が控えているのにもかかわらず、6月になっても打撃不振の阿部を使い続けたことには首をかしげることもあった。
 そして2020年の長打増失敗によって機動力にシフトした時、これは危ないなと思っていたら本当に大変なことになってしまった。采配が狂っていく姿を目の前で見せられ、やりきれない気持ちになった。高松は代走中心で14盗塁を成功させる(失敗9)など爪痕を残し、渡辺やシーズン途中で移籍してきた加藤翔平は高い盗塁成功率をマークした。走塁意識は変わったものの、渡辺や高松は牽制死が目立ち、細かい走塁技術に関しては改善すべき点が多い

 高橋周のレギュラー完全定着や木下の打撃覚醒など悪いことばかりではなかったが、どうしても悪いところが目立ってしまう。

5.守備

画像5

事実

 ビシエドや京田の守備が上達してきた前年に続き、高橋周がサードに固定。守備での安定感を誇る阿部がセカンドに定着し、鉄壁の内野陣を形成した。これが3年間の基本線となる。
 控えは抜群の安定感を誇る堂上がいて三ツ俣大樹も菊池涼介(広島)との自主トレから守備面で成長するなど全体的にレベルアップできた。2軍でも石垣雅海の守備が上達してきたように見えた。

 外野は大島が加齢による衰えがありながらもセンターを守り続け、平田は円熟味を増した。2021年になると福田も守備の動きが良くなり、根尾は好守を見せることも。一方でドラフト指名された外野手は外野経験が浅いこともあってか、身体能力は高いものの動きや球際でのミスが目立った。

評価

 内野守備は奈良原・荒木両内野守備走塁コーチのおかげと言っても過言ではない。この3年間の投手陣を支えたのは内野守備である。ただし、高橋周のサード守備が増量などで一気に悪くなった中で改善が見えなかったのは課題か。
 外野守備は個人的にはまだ改善できると感じる。根尾も追い方に不安を残すことがある。これは次政権への課題となるだろう。

6.若手起用

画像6

事実

 2019年は野手では2年目の伊藤康祐を4月から交流戦にかけて起用、夏場には石橋康太や石垣も昇格した。編成上若手選手が少なく、中堅選手を戦力化することが優先された。投手では柳裕也が先発2番手に。先発不足から梅津、清水、山本に登板機会が積極的に与えられ、小笠原慎之介も夏以降好成績を残し、藤嶋はセットアッパーになった。
 2020年になると開幕ローテには梅津も山本も入ったが結果を残せなかった。一方で勝野がローテに定着。Y.ロドリゲスも10試合に先発した。野手では郡司が30試合に出場し、岡林勇希や石川昂弥は序盤に1軍の舞台を経験した。石垣は2ヶ月以上1軍にいたものの25試合34打席の出場にとどまる。根尾は9試合、滝野は10試合に出場。A.マルティネスも故障がありながらも39試合に出場した。
 2021年は根尾が前半戦1軍に定着。しかし打撃での適応ができず、守備固めとしての起用が続く時期もあった。石橋は開幕1軍を勝ち取ったが木下拓の前に出場機会を掴めず11試合の出場。郡司は序盤の打撃不振やサブポジ練習→打撃不振の流れも重なり9試合の出場に。前半戦2軍で好調だった伊藤は24試合に出場したものの、打撃で結果を残せなかった。岡林も不調期があり、昇格したのは10月だったがその後は活躍。石垣は怪我や不調でチャンスを逃し続け、10月にようやく1軍昇格。滝野は代走(実はチーム2位の起用回数15)を中心に31試合出場した。野手で1年間戦力になったのは先述の高松だった。投手は小笠原が1年間ローテを守り、勝野は前半戦は1軍に定着、中継ぎでは橋本が前半戦で28試合に登板した。藤嶋もBチーム中心に1年間完走し、ルーキーの森博人も終盤に1軍昇格を果たした。

評価

 若手の少ない編成崩壊の状態からだんだん若手選手が増えてきた中で、勝つことを考えると若手の成長速度を見たら使いづらかった部分があったと思う。結果をある程度残せなかったら使ってもらえないのは他球団でも同じことで、そこは選手自身のアピール不足もある。しかし、野手の出場機会の配分については不満があり、主力選手の休養時に使われる選手が中堅だったり、打撃で期待できない選手を代打で使うのに若手はベンチ漬けのままだったりということがあった。やれることは限られているが、やれることをやっていないという印象が残る。投手は非常に良い結果を出した。使われるべき選手に割と適切な登板機会の配分が行われたと感じる。
 また、後の与田監督のインタビューから無理に若手を1軍で起用することは防いでいたということもあった。だからこそ中堅・ベテランが若手を安心して育てられるように活躍してほしかったのだが。
 退任発表後に若手やこれまで使われなかった選手が中心となったり高松のスタメンが増えたりしたのは意外。順位確定まで主力で戦うと思っていた。

7.編成

画像7

事実

 ドラフトでは3年間とも素材型の指名が多かった。2018年は梅津や勝野、2019年は橋本や岡野祐一郎や郡司、2020年は森が1年目から出てきた選手。
「何年も続けて監督をやるわけではない。就任するときに次の監督にどうバトンを渡すのかを考えていたし、フロントともそういう話をしてきた。だから3年間、ドラフトでも即戦力を1位で取らずに根尾、石川、高橋と高校生を取ってきた。フロントも含めた、みんなで話をして最低ファームで2年間は基礎体力をつけさせようという方針でやってきたが、なかなか思い通りにならかったことも多かった。ドラフトも含め、すべてにおいて球団はよくやってくれたと思う。感謝の気持ちしかない」
と与田監督は語ったという。

 FA補強はなし、外国人補強は経営事情から5000万円級の選手しか獲得できず、特に2021年のガーバーはチームに大打撃を与えた。

評価

 繋ぎの監督であったということであろうか。これで勝てというのもなかなか酷な話である。「球団の心臓は編成部である」という野村克也の言葉が痛切に理解できた。

8.成績

事実

 1年目は終盤に追い上げたものの5位、2年目は序盤苦しんだものの追い上げて3位、3年目はBクラスの混戦に入って最終盤は最下位争いで最終戦で5位。

評価

 先述の様々な采配があるなかで選手層を考えたら十分と考えられる。采配の拙いところもあったが、結局は選手層が厚くないと勝てないとわかった3年間だった。
 2020年の3位は「クライマックスシリーズがなかったから意味がない」とか、翌年に低迷したため「あんなことせずに若手を使っていればよかった」などと文句を言われがちだが、ずっとBクラスにいたという負の流れを排除しつつ勝ち方を知ることを考えたら十分良かったと思う。無理に若手を使うことによって選手が大きく育たないというリスクもあるので間違った選択ではないはず。

9.総括と次政権への期待

画像8

 ここまで与田政権の3年間を振り返って評価をしてみました。総合的に見ると再建の中で3年間使ったことは「必要経費」だったかなと思います。若手がいきなりポンポン出てくるなら良いですが、そんな簡単に行くはずもありません。そのなかで投手陣の再建などを進め、Aクラスに入ることができたのはこれからの希望となるでしょう。若手を使うことだけが再建ではなく、不要な中堅やベテランを切るのも再建、勝つことも再建です。
 一方で攻撃力の低下は気になります。編成での失敗もありますが、ここは現政権での大きな失敗となります。
 「代打三ツ間」や応援歌での騒動などポイントポイントで大きな話題になることがありました。しかし、実際の評価としては世間での評価からはもう少し上なんじゃないかなと思います。
 モチベーターとしての能力の高さも1年目から評価されていました。投手陣の復活には投手出身である与田監督のその能力が生かされたと感じています。優しいと評された一方で、柳や小笠原や藤嶋といった主力として期待する投手には厳しいコメントを出すこともあったことも忘れてはいけません。しかし、技術を伴わなければやっていけないので野手陣に対しては失敗したかもしれないと思います。

 3年間で色々ありましたが、ここでの退任は正解ではないかと思います。たしかに惜しい人材もいたものの、采配は年々硬直化したり過去に囚われたようになってきており、来季以降采配で上昇する気配がなかなかしなかったです。ただし、それだからと言ってこの3年間を否定しているわけではなく、再建に向けて動けた時間でした。

 次政権に期待したいことも多くあります。

 まずは投手育成や運用のクオリティを落とさないこと。落合英二・大塚晶則投手コーチならきっと大丈夫でしょう。
 次はやはり野手の指導と采配です。とにかく打てるようにしないといけません。ドラフトでもブライト健太らを指名したので彼らを大きく育ててほしいです。長打を意識した指導が重要となるでしょう。そして、采配でも現代野球を理解した打順の組み方やサインプレーをしてもらわないと、いつまでも他球団に後れを取って勝てないままだと思います。ここは少し不安なので早く安心材料が欲しいところです。
 若手の育成はある程度は時間が解決する部分もあります。良い選手が集まっているので使いたくなくても使わざるを得ないくらいの実力になるときが来るはずです。その時に然るべき運用をしてもらいたいです。
 あとは球団や親会社が政権をサポートできるかです。与田政権では経済事情から補強は最小限に抑え、将来を考えてドラフトは素材型中心とした割に親会社は選手批判よりも采配批判。当然補強については何も言わず「若手を使って勝て」の一点張り。そこまでして監督を引きずり下ろしたかったのでしょうか。非常に見苦しいです。与田降ろしの風を吹かしてまで誕生させたミスタードラゴンズ・立浪和義監督に恥をかかせたくないならグループ総出でサポートするべきです。


 かなり長い文章となってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?