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なぜ中日ドラゴンズは若手に切り替えないのか

こんにちは、ドリーです。

 今季の中日ドラゴンズはなんで4位にいられるのかわからないくらいの貧打でAクラスとも引き離されBクラスほぼ確定みたいな状態になっています。そこで聞こえてくるのが「若手に切り替えろ」の声。つまりシーズンを捨てて来季以降に備えるということです。場合によっては「昨季ヤクルトは若手に切り替えたから今上位にいる」なんてことも。
 では本当に若手に切り替えることはあるのでしょうか。そして中日は若手に切り替えるべきでしょうか。調べてみることにしました。

0.「若手に切り替える」の定義

 これが少し僕の中のものと他の人の中で齟齬が生じるとこの話がグチャグチャになるのでアンケートを取ってみました。ご協力していただいた方ありがとうございます。

 予想していた通り上2つが多く票を集めています。

 「結果が出なくても若手を起用し続ける」というのはドラフト1位で入ってきたような選手や今季での覚醒が期待される選手くらいにしかされない起用法、「レギュラーを代えてでも若手を起用する」というのは後述しますが成績の悪い選手がレギュラーにいるなら別でも基本的にあり得ないものかなと思います。

1.若手に切り替える球団は存在するのか

 今の中日は8月29日に100試合に到達し残り43試合になりました。この時点で若手に切り替える球団は存在するかということです。

結論から言います。

ほとんど存在しません。

というか残り20試合くらいでも若手に切り替える球団はほぼありません。

 先述の「ヤクルトは昨季若手に切り替えた」というもの、これも違います。穴の開いたところに廣岡大志(現巨人)や濱田太貴を起用していたくらいで、昨季のヤクルトの選手層を見ると彼らが起用されるのは順当な人選となっています。中日で例えるなら昨季の序盤に高橋周平が離脱した時に石川昂弥が昇格したようなものです。塩見泰隆も2020年時点で大卒社会人3年目の27歳で中堅の年代であり、ケガなどありながらも結果を残していた選手です。

 こんな感じで暗黒期の横浜、Bクラスを続けていたころの広島、監督が途中交代となった2016年中日や2018年楽天、2020年オリックスを見てもシーズンを捨てているわけではないという結論に達しました。

2.「若手に切り替えている」という錯覚

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 しかし、「昨季のオリックスは宗佑磨や佐野皓大や大下誠一郎、広島は大盛穂や宇草孔基が出てたじゃないか!」という意見はあると思います。僕はそれを錯覚だと思っていて、これらの例に限らず前述の濱田もそうですが、起用せざるを得ない事情が出てきていたからです。

 例えば大盛の場合を見ていきましょう。8月に西川龍馬が離脱し長野久義がセンターを守る事態になったため控え選手として帯同していた大盛のセンターでのスタメン起用が増えました。そして打撃も上がってきて打順も1番に座ることが多くなったというのが実情です。

 そして重要なのが使われ始めた時にちゃんと成績を残せることです。中日の場合はファーストインパクトが弱い選手が多いのでそこを改善しないと使い続けるとまではいかないでしょう。

 また、ここ2年に関していえば今季の広島の林晃汰のように1軍にいた選手が新型コロナウイルス感染症の罹患で大量に離脱した時に1軍に昇格し、そこで結果を残した選手もいます。「クラスター(怪我人に置き換えてもOK)出て誰も使えそうな選手いないからとりあえず2軍で悪すぎない成績残してる選手上げてみるか」のパターンです。

 このようにシーズンを捨てて無理やり若手に切り替えているわけではなく、勝つためにシーズンを戦ううえで若手を使っているのを主力の離脱や不振などが要因でBクラスに沈む球団がやっているから周囲からは「若手に切り替えている」と錯覚をされてしまうわけです。

3.なぜシーズンを捨てて若手に切り替えない?

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 じゃあなんでシーズン捨てないの?というのを考えていきましょう。これは僕も詳しく知らないのでいくつかのパターンを出します。

①選手の査定に関わるから

 球団によっては(もしかしたら全球団?)選手の年俸査定がシーズンの順位確定までとなります。中日はこのタイプであると言われており、シーズンを捨てて戦うというのは選手の生活に関わってくる問題になります。使われる選手が変わるということは使われない選手も出てくるわけですから。
 例えば首脳陣がシーズンを捨ててセンターラインで守備力の落ちる若手を起用したとしましょう。中日の場合、この守備力低下は投手の年俸にも跳ね返ってきます。そういうところもチームとしてぎくしゃくするリスクがあると思います。

②首脳陣の契約がどうなるかわからないから

 順位によって首脳陣の次のシーズンの契約が決まることもあるので、シーズンを捨てるなんて言語道断なんてこともあります。また、ほとんどの監督は退任すれば球団から離れます。そんな自分がいなくなった後のことを考えて成功するかわからない世代交代を推し進める前に自分の次の年の仕事考えたらどうなんだと感じます。シーズン序盤は優勝すると意気込んでいてシーズン終われば「6位(※若手に切り替えたから)」と書いてもらえるなら良いですが、そんなことしてくれる人はほとんどいないですよね。
 逆に一部の評論家やファンからしたら彼らの生活なんて知ったことではないので若手に切り替えろと言えるわけです。監督経験のある評論家は若手に切り替えろという人が少ない気がするのは気のせいでしょうか。

③2軍でも活躍できない選手を使う意味があるのか

 これは別の議論になってしまいますが、育成にも段階があって2軍でも箸にも棒にもかからない選手を1軍で起用したところで自信を失うだけだと思います。使い続ければ活躍するとは限りません。もしそうなら根尾昂は既にレギュラーです。

4.中日ドラゴンズは誰を使うべきか

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 では中日はこれからどう戦い、誰を起用すべきでしょうか。何人かの若手を見ていきましょう。

①石垣雅海

 ブレイクが待たれるスラッガーで、石垣以前に高卒野手が少ない反動で過大評価されてない?と思うこともありますがチームに欲しいタイプの選手です。エキシビションマッチでの1軍昇格は惜しくも逃しましたが、最近また調子を上げてきています。課題はアウトコースへの対応。これはウエスタンリーグの他球団どこもが知っています。失投も減る1軍でこれに耐えられるかですね。
 もう1~2カード調子がガタ落ちしなければ昇格させても良いと思います。というか今すぐ上げて良いくらい。セカンドとサードはスタメンが固まっていない状況なのでチャンスは十分にあります。

②伊藤康祐

 2軍で好成績を残してついに昇格しました。しかし、7打数無安打の後は代打での1打席のみ。そのうち4三振では印象が悪くなりますよね…。赤星憲広氏からは2軍での四球獲得率の高さから1軍でもボールを見極めようとして振り遅れているのではないかという指摘もありました。1軍のスピードに慣れればといったところでしょうか。1軍の両翼はそんなに良い成績を残せているわけでもない渡辺勝と体力的にレギュラー出場の厳しい福留孝介、打撃で不安の残る加藤翔平がスタメンで出ています。次与えられた出場機会でアピールできるかが鍵になりそうですね。

③石橋康太

 開幕直後は1軍にいたものの出場機会は少なく14打数2安打(2本とも単打)で2軍行き。仁村徹2軍監督からは週に最低3試合はマスクを被らせる構想を披露しましたが、そんなこともなかなかなく、最近はサードでの起用が増えています。
 つまりサードでの昇格はあり得るということです。長打力のある打者なので調子が上がれば使ってほしいですね。少し打率が下がっているので、固め打ちなどがあれば大きなアピールになると思います。

④郡司裕也

 サブポジは?と思ったら2軍の正捕手に。捕手としてのスキルを上げて1軍でハイレベルな争いを期待したいです。打撃は少し落ち気味な気が…。少し時間がかかるかもしれません。

⑤岡林勇希

 2軍でも少し苦しみ気味で8月30日時点の打率は.252。エキシビションマッチも安打は結局ランニングホームラン1本のみ。かといって守備や走塁にも課題があるため1軍で戦力になるかというと厳しい状況です。

⑥土田龍空

 良い選手で1年目にしては十分な成績を残しています。ただし、体力面を考えると1年間2軍でレギュラー格としてプレーをしてプロの1年間に慣れさせるべきではないかと思います。

 根尾昂ら他の若手選手は怪我や2軍での不振があるので1軍昇格は時期尚早だと思います。

 仁村2軍監督は1軍昇格の推薦を出す基準が今季は厳しくなっており、なかなか入れ替えも行える状況ではありません。これは中途半端な状態で昇格させて再調整になるのを防ぐメリットがある一方で代謝が悪くなるというデメリットもあるので上手くバランスを取ってほしいですね。そして、選手は推薦を出させるアピールをしないといけません。

5.まとめ

 ここまで中日ドラゴンズはシーズンを捨てて若手に切り替えるべきかということを調べました。僕の主張を纏めると、

・シーズンを捨てるのは総合的に判断してなし
・若手選手は与えられたチャンスを絶対に逃さない
・厳しすぎない昇格基準を作ってほしい
・とりあえず石垣雅海と伊藤康祐は使ってみてもいいんじゃないの?

といった感じです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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