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メタバース2周年記ー身体を作り、世界を巡り、縁を繋げ僕らはどこへ向かうのかー

2022年4月22日でVRChatをプレイし始めてから2年が経過した。
昨年のこの時期に書いた1周年記の中で「VRChatのことを一言で表すなら「メタバースとクリエイティブの未来」だと思っている。」という書き方をした。それから半年ほど経った昨年秋、ビッグ・テックの一角であるFacebook(現Meta)のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が「社名をMetaに変更し、今後年間百億ドル以上を投資してメタバース事業を展開していく」と宣言し、それまで一部のもの好きの間しか使われることのなかった「メタバース」というワードが急激にバズワードになり、Twitterでは月に何度もトレンド入りするしニュースサイトではやれ「どこそこの企業がメタバース企業にいくら投資した」だの「なんとかって新しいメタバースサービスが始まりました!」みたいな記事を見ることも珍しくなくなってしまった。
そんな世の中になる前から実際にメタバースで生活をするようになった側の人間の一人として、2年間という月日を過ごし今どう感じているのか、これからどうなっていくと考えているのかその辺りを中心に今回は語っていこうと思う。

2年経った現状

まずは現状の振り返りから、この記事の執筆時点でVRChatのプレイ時間は約2500時間ほどでフレンド数は約850人となっている。
VRChatの世界では「プレイ時間1000時間でチュートリアルクリア」という文化(?)があるのでそれを基準にするとだいたい2.5周していて、フレンド数に関しては4000人くらいるフレンドも居て上を見たらキリが無いのだがまあ比較的多い方ではないだろうか。

プレイ頻度に関してはそこまで大きくは変わらずで、基本的に毎日ログインしている。
平日は大体23~24時くらいに入って2時半~3時くらいに落ちるので大体2~3時間くらい、休日は4~5時といった朝方まで居ることが多いので4~5時間くらいといった感じ。
やっていることといえば相変わらず適当に集まって他愛も無い話をしていることが大半なのだが、色々と縁があっていくつかのアバター系集会のイベントのスタッフをやらせてもらったり、直近だと「JapanStreet」という日本の地方都市をイメージしたワールドのアイドル(?)をやっていたりもする。

アイドル活動としては、今の所このサイネージに写真が出るのとここの建物の2階にある事務所のアケ○スみたいな機械からカードが出てくるくらいだがそのうち何か出るかもしれない・・・。

身体(アバター)を作るということ①ーそれでもやっぱり人が多いー

VRChatの紹介記事なんかを読むとよく「美少女や動物、ロボットやモンスターなど自分のなりたい姿になることができます!」と書いてある、この記述自体は間違いではないが実際にプレイしてみるとおよそ8割くらいの人は両手両足がある6~7頭身くらいの人型アバターを使ってることが分かる。人によってはケモミミとしっぽが生えてたり、腕や足が機械だったりするが見てくれは人であり人ならざるアバターを好んで使用してるユーザーはごくわずかである。

これには明確が理由があると思っていて、1つ目は既にそういった人型アバターで居ることの土壌ができていることで、2つ目は人型で居るほうがお互いにコミュニケーションがとりやすいからである。アバターを使用することの特徴として音声だけでなく身振り手振りといったボディランゲージを用いることが多くあり、そういった場面で手足の無いアバターだと支障が出てしまうからだ。勿論必ずしも人型でなければいけないわけではなく、「8割は」と書いた通り残りの2割くらいは非人型な無機物のアバターを使用しているユーザーも居る。ただ当然ながら身振り手振りなコミュニケーションは取れないしどこを見ているのかも分からない。
まあ、そういうのは本人や周りもそれを理解した上でいることがほとんどだと思うので、これからこの世界に飛び込もうとする人が居れば特別な理由が無い限りは人型のアバターを使用することをオススメする。

非人型アバターを使っている人たちは、そういう人たち同士で集まる集会をやっていたりもする。

身体(アバター)を作るということ②ー誰になるのか、何になるのかー

この世界における「アバター」というのは、自分自身の分身であると同時に全く別の自分になることもできる着ぐるみのような物だと考える。
似たような話として、使用するキャラクターの見た目や性別を自由に作ることができるタイプのゲームで自分と同じ性別にするのかそれとも異性にするのかという物がある。
色々と意見はあるが、概ね現実と同じにする人は自分自身がそのゲームの世界に行ってると考え同じ性別の方が没入感を感じることができ、違う性別にする人はその世界の登場人物であるとか現実の自分とは異なる人物という考えの元にあるのではないだろうか。

ゲームの場合はあくまでも第三者視点での操作なので、「そのキャラになっている」というよりは「そのキャラを操作している」という印象が強いだろう。
これがVR技術と結びつき現実の自分の肉体と連動して動くアバターになることでその感じ方は大きく変わる、自分の分身のつもりなら本当に分身に感じるし全く違う自分のつもりなら本当に全く別の自分になれてしまうのである。

バーチャルな世界だからと言って必ずしも別な自分になる必要は無く、むしろ「美少女の口から男性の声がする状態」になっている人がほとんどである。重要なのは「全く別の自分になろうと思えばなれる世界ができた」ことだと思っている。
人は生まれる境遇や性別を選ぶことができない、更には背が高いのか低いのか痩せているのか太っているのかそういった身体的な特徴も遺伝である程度は決まってしまう。
だからこそ誰しも「ああいう風になりたい」「こういう風になりたい」といった身体的コンプレックスからくる願望を抱えているのではないだろうか。
現実世界でも整形とかダイエットとかを頑張ってなりたい自分に近づけることはできるが、限度があるし運が悪ければ一生消えない傷を負う可能性だってある。
バーチャルな世界でなりたい自分になるのも今はまだ簡単ではないが、少なくとも現実世界よりも遥かに低いリスクでなることができ、今後はもっともっと簡単になりたい自分になれる世界になっていくのではないかと思う。

猫も杓子もメタバース

社名変更を発表するマーク・ザッカーバーグ「Connect2021」より

冒頭でも触れた通りザッカーバーグの発言1つで本当に誰も彼もが「メタバース」と言い出すようになり、その影響あってかVRChatやCluster、Neos VRのような現在あるメタバース関連サービスがNHKや民放各局などのTV番組に取材され地上波でその様子が流れることが多くなった。
自分はこの光景にどこか既視感を感じていた、そうまだメタバースどころかVRという言葉が一般的で無かった頃からPSVRや初代HTC Viveが発売され、全国のアミューズメント関連施設にVR ZONE/MAZARIAのようなVR体験施設ができそれらにTV取材が入り体験している様子が地上波で流れて・・・と現在のメタバースの状況と似たようなことが起きていたのである。残念ながらそういったロケーションベースなVR施設は流行るか流行らないかという段階でパンデミックに突入してしまい、かつてほどの勢いは無くなってしまったがそれでもVRという物の概念が一般的に理解されるきっかけのひとつにはなっていたと思う。

少なくとも今「VR」という単語を聞いて"全く意味が分からない、知らない"と答える人は少ないだろう、我々のように日常使いしている人でなくても
「ああ、あれでしょ。あのなんかゴーグル被って体験するやつ」とそれくらいの認識はあるだろう。
(2021年の夏頃にLINEが実施した調査によれば、18~59歳の男女の内VRが何か理解している人自体は9割にも上ったという)
今まさに「メタバース」も同じ道を歩んでいる最中であり、10年後同じような調査をした時に「ああ、あれでしょ。あのなんかアバター作ってコミュニケーションするやつ」とそういう認識になっているかもしれない。

「メタバース=VR」ではない

「マツコ会議」より

そんなこんなでメタバースという言葉が少しづつ世の中に浸透し始めてはいるのだが、同時にいろいろ間違った認識も広まっているなとも思う。
TV番組などのメタバース特集を見ると多くの番組でVR HMDを被って動いている人間とアバターや視界の映像を同時に映し「これがメタバースなんです!」と紹介している事例が多く、一見すると「メタバース=VR HMDを被ってアバターを操作して何かする物」と思いがちだが、これは違うと明確に否定しておく。

細かい説明を省き大雑把に言うとメタバースとは「インターネット上の仮想世界で、各々のアバターを用いて同一空間でコミュニケーションが取れるサービス」という感じになるだろう。
厳密にはこれだけだとオンラインゲームとの差が無いので、これに更に「アバターやワールド、アイテム等をユーザーが作成し共有できる機能」が
加わったものが真の意味でのメタバースだと個人的は考えている。

そういうわけで定義として重要なのは「アバター」と「仮想世界」の2つであって、そこに「VR」は含まれないのである。
VRChatとかNeosVRとか確かにVRモードで入ったほうが没入感はあるしフレンドのアバターも近くに感じるけど、それが必須というわけではない。
(VRChatなんてサービス名に「VR」と付けてしまっているせいで、VR機器を使わないと利用できないように思えるがある程度のスペックがあればデスクトップモードで十分に楽しむことが可能である。)

「サマーウォーズ」より

映画「サマーウォーズ」でみんなで集合してラブマシーンに立ち向かうシーンを思い出して欲しい、OZのアバターを操作するのにカズマはハイスペックなスパコンをわざわざ用意していたが一方で夏木先輩や陣内家の大人たちはガラケーだし子どもたちに至ってはDSっぽいものと実に多種多様である。
これだけの機器に対応するコストを考えるとそれだけで胃が頭が痛くなりそうだが、まあそれはそれとして目的や用途次第によってどのデバイスを使って世界に入るのか使い分けて行けるようになるのが理想系ではないだろうか。

対応機器という観点で見ると現状一番OZに近いのはClusterだろう。リリース時こそデスクトップとPCVRしか対応していなかったが、現在ではそれらに加えiOS/AndroidスマートフォンやMeta(Oculus) Quest2単体でも動作するようになり、更にこれらの機種を利用する人全てが同一空間に集まることが可能なのである。


NFTが無くても経済は回る

「メタバース」と共に急激に広まっている概念として「NFT」がある。
NFTとは非代替性トークンのことで、3Dモデルや画像や音楽等のデジタルデータに紐づけを行いそれらが専用のマーケットで取引された際に
「過去に誰がこのデータを所持していたのか」「登録者は誰なのか」といった情報を分かりやすく確認できるようにした物である。

雑にググると「NFTを使うと複製不可能なデータを作ることができる」「NFTを使うとそのデータが唯一無二であると証明できる」といった記載が出てくるが、これらは全て間違いでありNFT自体に複製を防止する機能や唯一性を証明するような機能は一切無い、あくまでも取引の過程を分かりやすく表示できるようにしただけである。
そしてこれらと同列に「メタバースの中で使用するアバターは他人に使用されると困るため、唯一性が証明できるNFT技術が必須」みたいな記述も出てくるがこれも間違いであると否定しておく。

もしかしたら10年先の未来では取引の主軸がNFTを用いた物になっている可能性もゼロではないが、少なくとも現時点ではそのようなことは全く無く
VRChatやNeos VR、Cluster辺りのサービスを利用している人はBOOTH等のストアで日本円を用い数千円程度でアバターを購入しているのがほとんどである。アバター本体だけでなく、アバター用の服やアクセサリ、あるいはワールド制作用の家具や建物の3Dモデル、その他ツール等についても同様だ。
売上を公表している人は多くは無いが、中には(累計で)数百万円ほどの売上が出ているショップもあり、既にある程度の経済圏ができていると言っても過言ではないだろう。

念のために書いておくが別にNFT技術自体を否定しているわけではない、ただ「NFTを使わなくてもある程度の経済圏は既にできているし、無理やり煽るようなことはやめて欲しい」というのがメタバース原住民としての正直な気持ちである。

NeosVRに遊びに行ってみた

今自分の活動のメインはVRChatであるが、Neos VRのことは知っており「VRChatよりも更にクリエイティブに特化した世界」というのが目下流れ聞こえてくる印象だった。
Twitterで調べていたらオレンジさんという方が毎週火曜日に初心者案内デーというイベントをやっていることを見つけたのでこれに参加してみることにした。

Neos VRの初心者案内を受けてる様子

実際に案内を受けNeos VRの世界を堪能してみて思ったのは、「とにかく全ての動作をNeos VR内で完結させる」が徹底されているということ。
例えばVRChatの場合アバターを使うためにはUnityという本来はゲーム開発に使われるソフトをダウンロードし、更にはSDKという専用のプログラムを入れその他必要な物をいくつかダウンロードして・・・ととにかく手間がかかる。(今ではすっかり慣れてしまったし、自分は元々Unityを使っていたのでさして支障は無かったが初心者バイバイもいいところである)
Neosの場合Unityのような外部ツールは一切使用せず、Neos側にアバターの3Dモデルとテクスチャをインポートしその場で作っていくという感じで
噂には聞いてはいたものの(自分の場合は案内してくれた人に対応してもらったので)目の前で自分のアバターが作られていく光景はなんとも不思議な感覚だった。

アバターセットアップをしている様子

ある程度アバターが出来上がると今度は揺れ物の設定に入るのだが、実際にそのアバターを着用した状態で「はい、じゃあまず前髪から入れますね。」「とりあえず設定しました、どうですかね?もう少し揺れたほうがいいですか?」と頭を振って確認していく。
さながら美容院や床屋で髪の毛をセットアップしてもらっているのと似たような感じでこれもまた不思議な感覚だった。

プリクラ作成機で作った写真

外部ツールを使用しないアバター作成以外にもNoesの特徴として「アイテム(インベントリー)」というVRChatには無い概念がある。
このアイテムの概念が実に広く、「帽子」とか「剣」みたいないかにもアイテムという物から「アバターアクキー製造機」とか「プリクラ撮影機」みたいなVRChatで言う所のワールドギミックを自由に持ち運べて(許可されていれば)どこでも出して使えるというなんとも凄い機能だった。

一方でアバター自体に対する依存度はそこまで高く無く、例えば「髪の毛や服を着替えてオシャレする」というのはNeosではあまり見られずどっちかといえば「とりあえず一体セットアップして、後はそれをベースにアイテムを付けたりしてカスタマイズしていく」という感じでここはプラットフォームごとの特色の違いなのかなと感じた。

メタバースの目指すべき形

様々なメタバース世界での自分の集合写真

フィクションの世界でのメタバースは、多くの場合「特定のひとつのサービスがその世界でのインフラレベルに普及している」ように描かれ「いくつものメタバース世界が乱立している」という風になっていることは少ない。
例えばサマーウォーズの世界ではOZ(オズ)の登録者数は10億人以上となっており地方行政が参加していて納税などの手続きが行えれるレベルになっていたり、レディ・プレイヤー1のOASIS(オアシス)は社会不安に陥ってしまった世界で学校や公共施設が構築されていて第二の社会とも呼べるレベルになっているがどちらの作品でもOZとOASIS以外の同様のサービスは登場していない。
制作コスト的な面も無くはないだろうか、それぞれのサービスがここまで普及していればわざわざ同類のサービスを作ろうと思う人はいないだろう。

メタバース原住民からの視点で2022年現在の主要なメタバース関連サービスを上げると「VRChat」「Cluster」「VirtualCast」「Neos VR」の4つがまずあり、それらの後を追うような形で「DMM Connect Chat」「xambr」等と複数のサービスが乱立している状態である。
しかしこれからがみな似たような物かといえばそうではなく、「アバターを使って仮想空間に集まることができる」を根底に置きつつもイベント用に特化したClusterは同一空間に何百人と入れたり、元々配信に特化しているVirtualCastは視聴者とコミュニケーションできる機能があったりクリエイティブに特化したNeos VRは紹介した通りモデリングやプログラミングなどとにかくNeosの中で全ての動作が完結しているといった感じでそれぞれ何かしら独自に特化した部分がある。
(ちなみにVRChatの場合はシステムがどうというよりも単純にプレイ人口がダントツで多く、より多くの人とコミュニケーションできるという面で特化してる)

これらを踏まえた上でメタバースの目指すべき未来とは、フィクションの世界のメタバースのようにひとつのサービスの中で全てをするのではなく
同一のアバターを用い目的の用途別にそれぞれ特化したメタバースサービスを相互利用する世界」ではないだろうか。
実際に自分は既にこれに近いことを行っており、フレンドとお喋りしたい時はVRChatを利用し、月に一回推しのバーチャルアーティストがClusterでライブをしているのでその時はClusterを使って何十人という同じファンのみんなとライブを楽しみ、クリエイティブな空気を感じにNeos VRに遊びに行ったりとそういった形で各種サービスを使い分けている。
一番の壁は「異なる世界で同一の見た目のアバターを使うこと」であり、一応VRMというアバター利用を想定した3Dモデルの統一規格自体はあるものの今はまだ全てのサービスで使えるわけではなく、対応していないサービスに関してはそれぞれのプラットフォームのやり方で同じものを一から作るという非常に手間のかかることをやらないといけない(実際大変だった)。
そういった感じなのでどこかしらのプラットフォームに根付いてしまうと中々他の世界に行くハードルが高いのだが、そのハードルを超えた先では元の世界では味わえない新鮮な体験ができるのでVRMかあるいは別の概念かは分からないが簡単に同じ見た目のアバターで相互利用できるようになって欲しいと思う。

また、単純に特定の分野でひとつのサービスが独占してしまうと競い合う相手が居ないため、そのサービスができること以上の発展が無く放置しておけばそのまま衰退してしまうだろう。
「PlayStationとXbox」「MacとWindows」「iOSとAndroid」といった具合に、過去大きな発展をとげた分野はどれも良きライバルが居てお互いに切磋琢磨してきたからこそ、その分野ごと発展できたわけでありメタバース分野に関してもそれぞれに特化したサービスがお互いの強みと弱みを補っていくことで大きな発展を遂げることができのではないだろうか。

まとめー100回の想像よりも1回の体験ー

メタバースに限った話ではないが、それまで無かった新しい概念がTVや雑誌などで取り上げられ多くの人の目に留まるようになると「〇〇は△△だから流行らない」「どうせ前にあった□□と同じでしょ」とロクに調べもせずにとりあえず上から目線で否定する人が現れる。
そしてそういった人たちの言動を見て、興味を持った人たちが「なんだそんな感じなんだ…」と伸ばしかけていた手を戻し触れる機会が永遠に無くなる負の連鎖が発生する。

メタバースの場合そういうことを言う人達の言葉は大抵の場合こうだ、「どうせセカンドライフと同じでしょ?アレ流行らなかったし」「VRとか着けるの面倒だし流行らないでしょ」と。
まずはセカンドライフの話から行こう。細かい説明は割愛するがセカンドライフはメタバースの先駆け的なサービスだった、しかしながらインフラ的なレベルにまで普及したかと言えばそうはなっていない。
利用するためには何十万もする高度なスペックのPCが必要だったにも関わらず当時のPCは今のスマホよりも低い性能で、更にインターネット回線も今ほど速くなかったのでよくカクついていたらしい。
熱中していたユーザーも居ただろうし参入していた企業も少なくは無かったが、そんな状態では流行るものも流行らないだろう。世間の期待とは裏腹に技術的な障壁が大きかったのだ。
それからおよそ20年の月日が経ち、PCの性能は比較にならないくらい高くなりインターネット回線も何倍も速くなった。当時課題だった技術的な障壁はもはや無くなったと言ってもいいだろう。

次にVRの話、今のVRはまだデカイゴーグルを頭に被り人によっては足の動きを検知するためのセンサーを別に付けたりしていて、ハッキリ言って相当に準備がめんどくさい。
だがそれでも僕らは毎日のようにそのめんどくさい行為を繰り返している、それは何故か。その「めんどくさい行為」を超えた先の世界でしか会えない人が居てできない体験が待っているからだ。
例えどれだけめんどくさい行為でもそれを超えた先にめんどくさいの何倍以上に得るものがあるのなら、そのめんどくさいはもはや気にならなくなりいつしか日常になるだろう。
充電するのがめんどくさいからと言ってスマホを使わない人はいない、それと同じことだ。

まあ要するに何が言いたいのかといえば、もうすでに流行るための土俵は準備されており後はそこに手を伸ばすかどうかということ。
メタバースとかVRとかに興味のある人は、ロクに調べもせずに書かれた記事とか意識高い系の本なんか読むよりも、まずは一度こちらの世界に来て実際にどうなっているかを目で見て体を使って感じてほしいと思う。
いきなりVRで来いとは言わない、別にデスクトップモードだっていい。こっち側で生活している人間の空気感を感じることができればそれは記事や本を読むよりも何倍も濃い体験になるだろう。
恥ずかしながら自分もVRChatやNeos VRを始めるまでは、Twitterやまとめ記事を見て大体こんな感じかなと分かった気でいる側の人間だった。
それが実際にこっちの世界に来て様々な人と話し文化を感じて、それまでの自分がいかに浅はかな考えを持っていたのか思い知らされた
とにかく一度体験してみることが大事であり、そしてそれを温かく迎え入れるのが我々メタバース原住民がこれからしていくべきことなのではないだろうか。

以上-------2022.04.22

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